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ー綾ー  作者: 城塚崇はだいぶいい
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情報は平等に与えられている。しかし、使いこなしたのは二人だけ

「あんた、何者だ?」

 直貴の額から嫌な汗が滲み出してきた。

「時間が無いから手短に話すわね。それがすんだらあなたにはあたしの指示に従って行動してもらう」

 女は早口でしゃべりだした。

「スタートする前にスーツの男が言っていたでしょ。このゲームは衛星や、監視カメラで撮影され、観客に流されているって」

 あぁ、それがどうした?

 直貴はそう思った。

「観客に見れるってことは、あたし達にも見れるってことよ。ハッキングに使えそうな端末さえあればいいってこと。ゲーム開始後すぐにあたしはこのビルをしらみつぶしに探したわ。そしたらやっぱりあった。しかし、ハッキングの技術は必要なかった。奴等あえて全ての情報を垂れ流しにしてた。このパソコンからは衛星、監視カメラからの映像はもちろんのこと、参加者の細かいデータ、弾丸の残りや所持金額まで全てのデータが自由に見られるようになってたの」

「な、なんだと?なんでそんなことを?」

「ゲームの結果を読みづらくするため、とかそんな感じでしょうね。あたし達にはオッズがつけられていてギャンブルのネタになってるとも言っていた。つまり、誰が勝つか当てられてしまったら相応の配当を支払わなきゃならなくなる。しかし、このゲームにはそう簡単に結果を当てられないように、イレギュラーが起こりやすいようにいろんな物が用意されているみたいだわ。このパソコンの他にも、補充用の弾丸や、食料、救急箱なんかも」

「じゃぁ俺達が必死に隠れたり隠したりしてたのが全部筒抜けだったってのか!もうむちゃくちゃだ!そんな奴に勝てる訳無いだろ!」

「別にあたしはズルしてるわけじゃないわ。衛星から監視されているという情報は皆に平等に与えられた。そこからハッキングに辿り着けなかったあなたたちの思考回路の弱さが敗北の原因よ」

 馬鹿言うな。お前いったい何者だ?普通の人間はハッキングとかそういう知識も技術も持ち合わせちゃいないんだよ。当然この状況でパソコン探そうなんて夢にも思わねぇよ。

「あなたたちが金を隠しているところはこのパソコンを通じて見ていたわ。あなたたちがいなくなってから回収しておいたって訳。このことに気が付いたのはあたしともう一人、このビルの最上階にいる及川という男。ここまではわかった?」

 女は早口で続けていた。

「あぁわかったよ。あんたは無敵だ。俺の力なんか必要無い程にね。いったい何をさせるつもりだ?」

 女はあきれた顔で返してきた。

「馬鹿ね。ちっともわかってない。いい?この情報を手に入れたのはあたしの他にもう一人いるって言ったでしょ?お互いにお互いの位置情報を知っている。そして、このパソコンはこの部屋から持ち出せない。つまり、この部屋を出て奴を倒しに行くことはできない。そしてそれは向こうも同じ」

 なるほどね・・・少し読めてきた。

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