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ー綾ー  作者: 城塚崇はだいぶいい
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情けに報いると書いて 情報

 パァ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ン!!!

 死角から銃声と共に襲ってきた銃弾は、遠藤のわき腹へ飛び込み、肋骨にあたって動きを止めた。

 ぐぁっ・・・・

 突然襲ってきた激痛と喉から溢れてきた悲鳴を無理やり噛み殺すと、遠藤は銃声がした方向へ速やかに銃口を向けた。

 そこには、銃を構えた男の姿があった。

 その瞬間、倒れていた直貴が全速力で部屋から逃げていった。

 しまった!

 遠藤は逃げて行く直貴の背中へ銃口を向けなおした。

 しかし、廊下に現れた第三の男はそれを見逃さなかった。

 パァ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ン!!!

 廊下の男の銃は二発目の弾丸を発射した。

 弾丸は遠藤の右手に命中、右手に持っていた銃と一緒に人指し指が飛び散った。

「ぐぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

 銃と一緒に弾け飛んでいった人差し指を見た瞬間、今度は我慢できずに大声で悲鳴を上げてしまった。

 そして、遠藤がとっさに拾いに行ったのは、弾き飛ばされた銃ではなく、人差し指だった。絶対的優勢な立場から突然に窮地に陥った遠藤は軽いパニック状態、冷静な判断ができなかった。

 人差し指というかけがえの無いものを落とした。生涯手放すつもりの無かった大切なもの。それを落としたのだ。拾いに行ってももはや意味は無い。そんなことは分かっている。分かっていてもそれでも失いたくなかった。銃と人差し指、どちらが大切か?遠藤は大切な方を拾いに行っただけなのだ。

 そして、この瞬間、勝負は決まった。状況によっては人差し指より銃が大切な局面がある。

 廊下の男は速やかに三発目を発射した。

 弾丸は遠藤の頭にするりと潜り込み、脳みそをかき混ぜると、やがて動きを止めた。そして遠藤の動きもまた・・・・止まった。

 遠藤は人差し指だけではなく、命を落とすことになった。

 それは自分の居場所という情報を他者に知られたこと。

 そして、パニックに陥り現状という情報を冷静に分析できなかったことが原因だ。

 情けに報いると書いて『情報』

 これは、情報を侮った者への報い。

 現実とは情報を持たざるものに対し、決して情け容赦を与えたりはしない。

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