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ー綾ー  作者: 城塚崇はだいぶいい
25/60

このゲームにおける最強の武器 それが銃でないことは間違いない

 大丈夫、奴は撃てない、撃てるはずが無い。

 俺はそう心に言い聞かせ、じりじりとドアに向って動いた。

「動くなって言ってんだろ!!!」

 ほらみろやっぱり、怒鳴り散らすばっかりで撃てないんだ。

 このゲームで受け取った物は金か銃、攻撃力としてはおそらく銃が最強、無敵の武器であることは間違いない。しかし、撃てなければ意味はない。撃てない状況では無敵の攻撃力も何の意味もないのだ。

 情報、それも真実の、それを持っている者が最強だ。銃にも勝る最強。この状況、やはり、金の情報を持っている俺の方が一枚上手だ。まもなく金は奴の手に渡ってしまうだろう。しかし、ここを凌げばまだ先はある。必ず取り返してみせる。そのために今は一歩でもドアへ近づく。

 そんなことを思っていた矢先のこと。思いがけない出来事が起きた。

 パ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ン

 遠藤は引き金を引いたのだ。もちろん、俺に向けて・・・。

 弾丸は真っ直ぐに飛んで俺の左足太ももの外側をこそぎ落した。

「うぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・っ」

 俺は足を押さえて転げた。

「馬鹿が!動くなって言ってんだろうが!これでもう逃げられねぇ。観念しな。」

 遠藤の声には再び優越感が戻ったようだ。

 足を狙われた。確かに足を撃てば俺も死なず、逃げられなくもなる。奴にとっては申し分ない状況に至る。しかし、素人の撃った弾がそうそう狙った場所に当たるとは限らないじゃないか。もし今の一発が俺の胸や頭に当たってたらどうするつもりだ?

 いや、そういったリスクを考慮しても撃つべき状況だったのかもしれない。逃げられるのと殺してしまうのでは逃げられた方がよりまずい状況になると判断したのなら・・・。

 ぐ・・・完全に読み違えた。奴は撃てる。ただ殺せないだけ。手や足なら、致命傷、即死を避けられる部位になら今後も何発でも撃つことができる。

 床に突っ伏してうずくまって傷口を押さえる。

 まずい・・・。このままでは・・・。

 パ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ン

 その時、外の廊下の向こうから新たな銃声が響き渡った!顔を上げてみると脇腹から出血しもがいている遠藤、廊下に面した窓から銃を構えた男が見えた。銃口は真っ直ぐ遠藤に向かっていた。 そうか、遠藤はこのビルに来てもう四発も銃を撃っている。銃声を聞きつけてまだ負債額分の金が手に入っていない奴がよってきたんだ。銃声を無駄に鳴らすのは大声で自分の居場所を叫んでいるのと同じようなものだ。居場所という情報を敵に知られるということはもはや致命的。

 床に突っ伏していたおかげで奴はまだ俺に気付いていないようだ。

 今しかない・・・。走れるか?いや、走れなかったらその時は死ぬだけだろう。

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