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ー綾ー  作者: 城塚崇はだいぶいい
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なんでだよ・・・人は、人を簡単に騙す。 人が、人を簡単に信じるからだよ。

「遠藤、今から言うことは俺の憶測でしかない。だから、俺が言ったことを信じるかどうかはお前が判断してくれ」

 俺は大急ぎで廊下へ遠藤を呼び出し、遠藤の目を見て静かに言った。

「ど、どうしたんだよ急に?か、顔色が悪いぞ。それに、変な汗かいてる」

 遠藤は動揺しながら答えた。

「いいから、今から話すことをよく聞いてくれ」

 直貴はたった今、考え付いてしまった最悪の未来を語り始めた。もちろん、遠藤以外には聞こえないほどの小さな声で。

「俺の部屋は入り口から数えて六番目の部屋だった。そして、途中の部屋のドアもいくつか空いていて、俺は少し覗いて見たが、こことほぼ同じ形をした部屋だった。おそらくここと同じように五人、またはそれ以上の人間が通されたと思うんだ。そう考えると、六つの部屋に五人の人間がいるから三〇人がこの話にのったことになる」

「あぁ、そうなるな。それがどうかしたか?」

 遠藤は真剣に考えているがわからないようだ。

「バリケードの中で呼びかけをしていた男は三人、俺達をここまで案内した奴が一人、この建物の地下に監禁されているはずの殺人鬼が一人、そして、この話にのったのが仮に三〇人だとしたら、全部で三五人だ。奴等の話が本当なら、このゲームの生き残りは現在三四人のはずだろ?」

 もしかしたら、俺の部屋は五人通されたが他の部屋は四人だったりするのかもしれない。または六番目の部屋に通されただけで四番目や五番目の部屋は空室で本当はまだ三〇人も集まっていないのかもしれない。だから、この考えはまだ憶測の段階。

「考えすぎじゃないか?でも、そんなに言うなら、調べてみるか?」

 遠藤はそう返してきた。

 そっと廊下を覗く。

 五、六人ほどの人間が廊下で落ち着きなくうろうろとしている。五、六人、いや、六人だ。隣の部屋、その隣の部屋と、静かに覗いて人数を数えていく・・・。

 三〇人。確かにいる。まずいぞ。奴等は嘘をついている。

 奴等は言った。『六人死んだ。』『殺人鬼を地下に監禁している。』

 このどちらか、または両方が嘘と言う事になる。そして、このどちらか一方でも嘘である場合『全員助かる』この言葉も嘘になる。

 まず、俺達を『全員助かる』という嘘で油断させる。その後、『六人死んだ。』『殺人鬼を地下に監禁している。』など理由をくっつけてやればそれで俺達は安心してしまう。奴等の言っていることの裏を取ることもしないで、鵜呑みにしてしまう。このままいれば今夜あたりに寝首をかかれて終わりだろう。

 何故信じた?何処の馬の骨とも知れぬ男の言うことをまたしても。それは、俺達があまえているからだ。

 窮地に立った時、『絶対に助かる方法』を聞いた。今の自分ではその話が真実であることが確認できない。しかし、他にいい方法が思い付かない。だから、イチかバチかこの話にかけてみよう。

 この考え方、この考え方があまえと言うもの。自分のいざと言う時の行動を何の確信もない他者の考えに預けてしまう。自分では何も考えずに。そんな甘い考えは即からめとられる。格好の餌食だ。

窮地に立ったのは自分。自分の未来を他者に決めさせるな。

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