TRPGカフェに行くことになった経緯と行った時の体験談
(※)は後日知ったこと、解説です。
職場で昼や空いてる時間に人と話す習慣を増やせと言われ続けて半年。行きたくない習い事をさせられるよりは、見てて羨ましくて胸が裂けそうになるTRPGに挑戦して砕けて来た方がマシだ。
「でも、クトゥル〇しか知らないし、ルールブック持ってるけど、まともに読んだことないんだよね」
クトゥル〇のルールブックは、昔やりたくて買っていた。何買えばいいか分からなかったから、2〇10、2〇15と基本ルールブックまである。しかし、動画見る際には必要無かったので読んでなかった。
「参加するまでに頑張って読み込めばいいや」
初めてTRPGを遊ぶ人を対象に募集しているものを探した。
「初心者歓迎で、店員がゲームマスターをしていて、参加人数が少ない、これだな。よし日付は…」
3日後でした。
「仕事もあってルルブ読みきれねえよ!でもこの機会逃すと何時あるのか分からないっ。読むのは諦めて、動画で雰囲気掴んで参加じゃあ」
◇◆◇当日◇◆◇
「本当にあの通っていいか迷う道を通るのが正解だったとは。HPはよく見るものだな」
(※分かりづらい場所にあることがあるので、余裕を持って行動しよう)
「ここの、2階で、うわあ…」
金属製の重そうな扉から漏れてくる声は楽しそうな声…そんなに声上げて恥ずかしくない?もしかして、TRPGオフセはあんなに声出さないといけないというルールがあるのか?
(※ありません。お店によっては注意されます)
声に引きつつ、扉を開けようとする…重い。え、閉まってる?慌ててスマホを見るとお店は営業時間内であり、空いてるらしい。
(※緊張で見てなかっただけで、OPENというプレートがかかってました)
気合いを入れ直し、扉を開けると、扉が隠していた、暖かな雰囲気が視覚に、楽しそうな奇声が耳に突き刺さる!
(※営業時間からしばらく経つと、遊んでいる人達が盛り上がっていることが多く、ドアを開けた瞬間はボリュームに驚くと思います)
「…っ」
ここに足を踏み入れるのは、場違いではないか。今からでも遅くない、回れ右をして、無かったことにしよう。そうだ、自分はここには入れない、入れないに決まっている。この耳に残る音を想い出として、動画ROM専に戻るべきだ。そう考え帰ろうとするが、足が動かない…緊張で足をつったようだ。
「え」
足が動かないので、視線を動かす。隣には「とってください」と書かれた紙と黒い機械、「鳴らしてください」と書かれた紙とベルが置かれていた。これ参加するとしても何すればいいのかわからなくね?
足が痛くて逃げられないし、何すればいいか分からず頭がパニックになってると
「初めて御来店の方ですか?」
鈴のような澄んだ音が響いた。音源を探すとエプロン姿で胸に「スタッフ〇〇」と書かれた札をつけた可愛らしい女性がいた。
(※大抵のお店は、待っているとスタッフさんが来てくれます)
「まずはこちらに来てくださいね」
まず、会員登録が必要らしい。で、その際に身分証明書が必要だった。危ない、いつも持ち歩いてないから登録出来ないとこだった。HNを書いて…あ、本名も書くんだ。緊急事態に本名分からないと困るからか?
(※会員登録、身分証明書が不要なお店もあります。HPで確認しよう!)
(※登録が必要な場合は少し余裕をもって来店しよう)
「ファンぶった」
「またか」
「体力ヤバくね?ロストわんちゃんあるぞ」
「ふはははは剣の加護!」
「「おー!?」」
会員登録用紙記入の合間にも耳を傾けると、楽しそうに遊ぶ音が後ろから聞こえる。動画みたいにワイワイやってる。いいな、自分はあれに混ざれる気がしない。…会員登録の紙、書き終えたけど、この後どうすればいいんだ。いつの間にか足の痛みがなくなったけど、店員さんもいなくなってた。
(※店員さんはゲームマスター兼受付をしていることがあるため、離れることがあります)
カランカラン♪
音がする方向を見ると、キョロキョロ周囲を見ている人がいた。自分と同じ初参加だろう。先ほどの店員が迎えに来て自分の隣に案内してきた。お隣さんに挨拶しようとするが、緊張で声が出ない。挨拶を諦め、店員に紙を渡す。
「はい、△さんですね、今日はどちらの卓ですか?」
△って誰?と、思考がフリーズ。店員の目を見ると自分を指している。あ、自分だった。慣れない名前は反応出来ない。慌てて声を絞り出して答える
(※ちなみにHNでなく本名でも問題ありませんが、名字は他の人と被る可能性が高いです)
「…クトゥル〇…です」
「では、ここになります♪」
流石、店員さん。掠れた声でも聴きとって笑顔で答えてくれた。笑顔で不安が浄化された気がする。自分はまだここに居ていいんだ。釣られて笑顔になるが、案内されたテーブルで無言になる。
「…」
大量の付箋がつけられたルールブックを無言で読み込む人
「…」
無言でスマホを弄る帽子をかぶった人
「…」
無言でお菓子を紙皿に入れてる人
ここだけ面接会場か!?他のテーブルと空気違スギィ
暗い、電気ついてるはずなのに暗いよっ
(※初心者は慣れていないため会話がない事が多い)
でも、話題思いつかねえ!こんな雰囲気飛ばせてたら、上司達に怒られ続けないって。とりあえず、挨拶やっておこう
「こんにちは。初めてクトゥル〇にきた、△です。よろしくお願いします」
「「「よろしく」」」
「…」
「…」
「…」
「…」
無言怖い。釣られて無言になっちゃったよ。参加人数揃ったら変わるよね、ね?終始これなら習い事の方がマシなんだけど!あと、お菓子持ってきてないけど、持ってこなきゃいけなかった?
(※お菓子は持ってきてもいいし持ってこなくてもいい。自分が行ったことのあるお店は持ってくる人の方が多い傾向にあります)
自分も無言でスマホ弄りその2となって、3分経過。最後の一人共にスタッフさんがくると、空気が変わった。
「クトゥル〇TRPGの世界へようこそ!」
力強い音、自信溢れる表情…身振り手振りと声の抑揚で表現される話は聞いていて面白い。悪い空気を吹っ飛ばしていく。スタッフさんが初心者向けの説明を話す度に空気が更新されていく、暗い、面接会場の待合室のような雰囲気は溶けて、周囲の楽しそうにやっている雰囲気が流れてきた。ああ、無言組の表情も柔らかい。プロってすげー。
(※このお店の場合は、参加した人達がどれくらいTRPGに触れたことがあるか(動画やリプレイ小説だけ見た事がある、身内で別のシステム遊んだことあるなど)に合わせて説明をかえてくれました)
初参加組のために、簡単な説明からはじまった。まず、ダイスの振り方。1d100は100面ダイス1個、3d6は6面ダイスを3個を振ることを表しているそうだ。説明を聞きながら、キャラクターを作成していく…記念すべき初3d6は7、その後も最高値が10という低飛行でステータスが埋まった。期待値ってなんだっけ?
(※筆記用具とサイコロは貸し出してくれます)
次にキャラクターの職業と技能決めだ。自分に近い、もしくはイメージしやすいといいらしいが、自分に近いと終始無言で絡みづらい。役に立つ職業として医者にしてみた。動画の真似で医学と、目星と聞き耳と図書館、あとメス投げてみたいから投擲でポイント尽きた。名前は食べ物からとった。完了。スタッフさんにキャラクターシートを渡し、OKを貰う…あ、他の人と相談して技能とってねえ!?
(※キャラ作成の際は他の人と相談しよう)
キャラクター作成終わったので、プレイヤーとキャラクターの自己紹介ターンになった。自分は何も考えてなくてパニックになる。けど、流石プロスタッフ様だ、その年で医者だと~で、~かなと、設定にフォローを付け足していってくれる。ありがたい。
(※キャラ自己紹介は何ができるか説明の程度でもいいんです)
さて、本編
キャラクターの自己紹介を聞いて、即興でシナリオを作るそうだ。すげー!?
(※このスタッフさんが特殊なだけでした。想定されたシナリオで遊ぶのが一般的です)
今回医者キャラが多かったので、舞台は大学病院、1人の院生が同僚に仕事を押し付けられるシーンからはじま…
お菓子の人「同僚がそわそわしてるんですよね?では、押し付けられる前に、隠られませんか?」
スタッフ「いいね、振ってみようか」
お菓子の人「成功。死角に隠れます。すすすっと」
スタッフ「では、君を探していた同僚は、君を探していると別の院生に見つけられ、仕事を押し付けられた。彼の目は死んだ目になったね」
お菓子の人「お先に失礼~♪と言って帰りましょう」
すげー!目の前でキャラクターが動いてる、ストーリーが紡がれている!!
(※サイコロは、ゲームマスターに許可貰ってから振ろう)
感動してると、いつの間にか自分のキャラクター導入ターン。教授に呼ばれて個室に行くらしい。
スタッフ「さて、目星判定しようか」
自分「え。90代…失敗」
おお、いきなり判定入った。ダイス振っちゃった!記念すべき初判定は失敗だけど、ナマのTRPGは楽しい。テンションがあがってるとスタッフさんはニヤリと笑った
スタッフ「幸運判定してね」
自分「…っ、良かった、成功」
スタッフ「君は慌てて移動してたから何も気付かなかったようだね」
失敗したらどうなったの?と、ワクワクしてると別の人のシーンへ。なにこれ楽しい。
話は進んでまた自分のシーンにきた。
(※導入は終わったものの合流することなく各自単独行動を始めていた。多分、個々の個性を潰さないために別々に探索させてたんだと思う)
教授の部屋に来たが、教授は用事があると言って外へ出ていってしまった。探索チャンスだ!とイキイキと棚を物色してみた。何かの研究ノートを見つけてテンションがさらに上がる。
スタッフ「ここで読むかい?」
お菓子の人「まだ、事件起きてないから折半詰まってないし、タイトルだけみて戻したら?」
るるぶの人「今は中身をみず、戻した方がいいと思いますよ」
話が進むにつれ、自然と増える会話。出てくる個性。いつの間にか休憩時間も何が起きてるかを推理しあうようになってた。TRPGってすげー。
(※キャラクターは合流していないものの、PL同士は話せるのでどう動かすか相談しながら進めてました)
残り時間が迫っているのにまだ見えぬ黒幕。明らかに危険そうなものへ突っ込むべきか?正気度と耐久値をどこまで払って見るべきだろうか?どうやってこの事件を解決出来るのだろうか?話してるだけで楽しい。
カーン、カーン♪
お店の昼の部終わりのチャイムが鳴った。想定していた時間を過ぎたようだ。しかし、物語は終盤で続いていく
(※時間内に終わらせられないこともあります。延長や早送りで進めるなどで対応されてますね。規定時間を過ぎると延長料金がかかります)
クライマックス、自分のキャラクターはファンブルで怪しげな物体を踏んづけ、慌てて靴を脱いで投げて、綺麗なフォームで靴を投げた方向へ仰け反ってまた踏んでいた…ここまでポンコツだと見てて楽しい。
徐々に何かに飲まれ死ぬと覚悟を決めた時、現れたのは電気修理屋(るるぶの人)!一か八かで高圧電流で怪しげな物体をバチッとやったら消し炭だ、電気が効くことを発見したぞ!よし、反撃の時間だっー…パニックホラーらしく、最後は反撃して終了。
原因は取り残してたので、不穏な描写が入ったけど、最大限できることした結果なので、しょうがないねと笑ってた。ここまでくると終わった後にはワイワイ雑談するまでになってるもんだ。スタッフさんありがとう。
セッションの感想を言いながら、会計に並ぶ。長い列だが、会話が楽しいので気にならない。帰り道も盛り上れただろうが、自分は興奮しすぎて疲れてきてたので他の人とは別の道で帰った。別れた際に見送った他の人達は楽しそうに話しながら駅へ向かっていっていた。
帰りの電車で自分は興奮のまま、スマホを弄る。
来週も遊びたい、参加募集が締め切られる前に参加しなければと、募集を探していた。