快適な拠点を作ろう
翌朝、今日も空気穴の日差しで目が覚めた。昨日は寝落ちしたため夕食を食べていなかったので空腹での目覚めかもしれない。
朝の儀式として『引き換え券』を貰い、計4枚になった券を何に交換するか、リンカを食べながら考えた。
「拠点をどうにかしたいが、先に箸や皿を作るかな。折角、イノシシもあるんだし。となると、木の伐採かな。」
タブレットのMPを充電し開いた。
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異世界4日目
人里を探す
拠点の壁が崩れないか心配。
回復手段が必要。
①木の伐採。
②箸、皿を作る。
③イノシシ肉を使って料理。
④果物、薬草の採取。
⑤レベル上げ。
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今日のToDoはこんなものだな。
あとは、引き換え券を取り出し、
「『ノコギリ』『小刀』『カンナ』」
と、交換した。
本当は斧が欲しいけど、買ったことがないのはわかりきってたしなぁ。ってか、一般人が斧を買ったことありますか?って話ですよ!
ノコギリをアイテムBOXから取り出し『鑑定』した。
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『ノコギリ』(道具)
:異世界から召喚された金属製のノコギリ。
金属が変化、名もなき金属となった。
鉄以上ダマスカス鋼以下の強度がある。
魔法耐性はないに等しい。
木や木材は切れるが生き物は切れない。
:装備ボーナス[伐採レベル3][工作レベル2]
:[合成]アイテムが足りません
:[分解]✕
:[加工]アイテムが足りません
:[錬金術]○
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『錬金術』できんのかよ……やると電ノコにでもなるのか?
さっきまで欲しかった斧が、なにそれ美味しいの?ってレベルで魅力がなくなったな。電化製品だけが、錬金術の対象だと思ったけど、別のも出来るなら引き換え券の必要性が抜群にあがったな。
今後は慎重に錬金術使わないと、世の中にバレたら…ヤバいな。
「まっ!人里降りたら文明が発達しまくってる可能性もあるし、今はビビる必要なし!んなことより、今日は物作りをやらなきやな。」
『錬金術』により、木を切る時間が大幅にカット出来そうだ。少し木を切る作業は心配していたので、有り難く思いながらノコギリをアイテムBOXにしまい『錬金術』を仕様した。安定の『MP充電型ノコギリ』に変化した。アイテムBOXから取り出しMPを充電した。見た目は変わったように見えなかった。
「スイッチみたいなのはあるな。とりあえず押してみるか。」
スイッチを押したことにより、ノコギリのギザギザの刃がチェーンソーのように回転し始めた。ノコギリに繋ぎ目は無かったはずなのに回転する。全く持って異世界不思議パワーであった。魔法、魔導具は物理法則を知らないらしい。
「魔導具化が成功したのは確認した。あとは本番でどの程度働いてくれるか楽しみだ。」
一樹は森へと向かった。そして、適当な大きさの木に『鑑定』をかけた。
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『ツクエノ木』
:心材は紅色を帯びた褐色。辺材はやや紅色を帯びた淡黄褐色。
:重く、硬い。加工が難しい。
:家具、器具、楽器、木刀に適している。
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『カツラノ木』
:心材は褐色。辺材は黄白色。
:軽軟。加工しやすい。
:家具用材、洗濯板に適している。
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拠点から近い場所にある木は、この2種類であった。この2種類の木は真逆といっていいような性質であったため使う用途で変えやすそうである。
まずはツクエノ木を切ることにした。魔導具ノコギリを木にあててスイッチオン!すると、
(スパンっ!)
豆腐を包丁で切るように簡単に木が切れてしまった。唖然としている間に切った木が倒れていた。
「おぉっふ……魔導具スゲーな。この森を簡単に丸裸にできるぞ。しないけど。」
伐採したツクエノ木をアイテムBOXに入れてから、カツラノ木も1本だけ伐採してアイテムBOXにしまった。木材で作りたいものは多いが、まだどの程度のことがスキルで出来るのか判明していないので伐採したのは1本ずつにしたのである。伐採するだけして使わなければ、ただの自然破壊だ。この世界が自然に対してどの程度の意識があるのかでこちらも今後が変わってくる。一樹は少し慎重だった。
「おし!まだ1時間もたってないか……昨日の場所で果物と薬草を採取して戻ったら拠点生活を強化、実験だな!」
一樹は軽い足取りで採取に向かった。
拠点に戻ってからすぐに木材の実験をおこなった。スキルの加工によって小物を作りたいのだ。
ますはステータスを確認し、『加工』の項目を開いた。
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『加工』
[ ① ]に対して[ ② ]を使って加工する。 【実行】
:加工の内容は思考によって行われる。
:思考の内容が曖昧な場合、失敗とされ材料のみ消滅する。
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(ふむふむ……なかなか自由度が高そうでよかった。あとは加工するのが道具だけが対象なのかどうかだか、さてさてどうかな?)
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『加工』
[ツクエノ木]に対して[そよ風][ ③ ]を使って加工する。 【実行】
:加工の内容は思考によって行われる。
:思考の内容が曖昧な場合、失敗とされ材料のみ消滅する。
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「よし!生活魔法が選択できるじゃねぇーか!さすが神様のくれたスキルだ!!」
一樹は思わず喜びの声が漏れて、ニヤニヤしながら【実行】を押した。
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『加工』
『乾燥したツクエノ木』が完成しました。
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「よっしゃ!無事完成だ!次だ!!」
もう一度、ステータスを確認し加工画面に飛んだ。
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『加工』
[乾燥したツクエノ木]に対して[MP充電型ノコギリ]を使って加工する。 【実行】
:加工の内容は思考によって行われる。
:思考の内容が曖昧な場合、失敗とされ材料のみ消滅する。
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実行してみると
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『加工』
『乾燥した木材』✕20『乾燥した枝』✕40が完成した。
アイテムBOXの容量オーバーしています。どれを廃棄しますか?
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果物と薬草を採取してアイテムBOXに入れていたためオーバーしてしまった。やはりまだ20✕20だと節約しながら使わないとすぐにいっぱいになる。枝✕20を廃棄し、ギリギリアイテムBOXに入った。
『病治りて薬師忘れる』
病気が治れば医者の有り難みを忘れるということ。
類似:喉元すぎれば熱さを忘れる。