桃次郎
初めて完結させた小説です。よろしくお願いします。
むかしむかしほどではないが、ほんのりとむかしに桃次郎と言う青年がいた。桃次郎は病弱でちからも弱かったが、頭は悪くなかった。しかし、その体質と性格のおかげか働きもせずに怠けていた。見かねた両親に催促されて働きに出るもの長続きしない。そういったことを何度か繰り返している内に家に居場所がなくなっていく桃次郎。そんな中、家族や親戚に罵倒され頭を抱えていた桃次郎はふと妙案を思いついた。そして、家族と親戚一同を集めてこう言い放った。
『俺は鬼ヶ島へ鬼退治に行く!!』
その為には準備が必要だと言い1年後に出発することになった。そして1年後。
『ついにこの日が来たっ!では行って参る!!』
こうして意気揚々と桃次郎は実家を旅立っていった。桃次郎が歩いていると、ブタが近寄ってきた。
『どこへ行くブヒか?』
桃次郎は鬼ヶ島へ人に化けている鬼を狩りに行くと答えた。奴らには仲間が何匹も連れ去られている。お供するのでチカラが湧いてくる食べ物を下さいとブタは言った。
『すまない食べ物は持っていないんだ。』
桃次郎はそう言ってかわりにできることはこれくらいのことしかないとブタの体をマッサージしてからブラッシングをした。ブタはブヒブヒと言いながらそのお心違いで胸がいっぱいです、ついて行きますと答えた。しかし桃次郎は腹が膨れておらぬのにチカラが入るものか、ブタの心はこの桃次郎と共にある。さあ、皆の元へ帰り私の朗報を待っておるのだと答えた。ブタは桃次郎のあまりの優しさと心の深さに感動し、
『このご恩はいつか必ず返すブヒ。桃次郎様の旅に幸あれ』
と、他のブタ達の元へ帰っていった。そのまましばらく歩いているとウシが近寄ってきた。
『どこへ行くんだモ〜?』
桃次郎は鬼ヶ島へ人に化けている鬼を狩りに行くと答えた。奴らには仲間が何匹も連れ去られている。お供するのでチカラが湧いてくる食べ物を下さいとウシは言った。
『すまない食べ物は持っていないんだ。』
桃次郎はそう言ってかわりにできることはこれくらいのことしかないとウシの体をマッサージしてからブラッシングをした。ウシはンモォと言いながらそのお心違いで胸がいっぱいです、ついて行きますと答えた。しかし桃次郎は腹が膨れておらぬのにチカラが入るものか、ウシの心はこの桃次郎と共にある。さあ、皆の元へ帰り私の朗報を待っておるのだと答えた。ウシは桃次郎のあまりの優しさと心の深さに感動し、
『このご恩はいつか必ず返すモ〜。桃次郎様の旅に幸あれ』
と、他のウシ達の元へ帰っていった。そのまましばらく歩いているとニワトリが近寄ってきた。
『どこへ行くケッコ?』
桃次郎は鬼ヶ島へ人に化けている鬼を狩りに行くと答えた。奴らには仲間が何匹も連れ去られている。お供するのでチカラが湧いてくる食べ物を下さいとニワトリは言った。
『すまない食べ物は持っていないんだ。』
桃次郎はそう言ってかわりにできることはこれくらいのことしかないとニワトリの体をマッサージしてからブラッシングをした。ニワトリはコケコッと言いながらそのお心違いで胸がいっぱいです、ついて行きますと答えた。しかし桃次郎は腹が膨れておらぬのにチカラが入るものか、ニワトリの心はこの桃次郎と共にある。さあ、皆の元へ帰り私の朗報を待っておるのだと答えた。ニワトリはあまりの優しさと心の深さに感動し、
『このご恩はいつか必ず返すコケッ。桃次郎様の旅に幸あれ』
と、他のニワトリ達の元へ帰っていった。それからさらに半日ほど歩いては休んでを繰り返しながら鬼ヶ島へ辿り着いた桃次郎。しかし辺りは暗く視界が悪かった為、近くの安全そうな場所で野宿をすることにした。翌朝、桃次郎が目を覚ますとそこにはブタウシニワトリの3匹がいた。
『お主ら、なぜ来てしまったのだ・・・』
怪訝そうな顔をしている桃次郎に3匹は声をあわせて答えた。
『我らの命、桃次郎様と共にあり!』
桃次郎は目頭が熱くなっていくのを感じた。そして、誰1匹足りとも欠ける事はこの桃次郎が許さぬ、全員揃って帰還するぞと鼓舞し戦の準備を整えた。人に化けた鬼達のアジトに辿り着いた一同。人の皮を被った鬼どもがうじゃうじゃと蠢いている。桃次郎の作戦は、雑魚鬼共は放置して一気に鬼の幹部と棟梁を叩くというものだった。慎重に行動しながら建物の最上階を目指す。無事何事もなく最上階の会議室に到着した一同。いざ決戦の場へ。会議室の扉の前で生唾を飲む一同。
ゆっくりと扉を開く。そこには4人の鬼がテーブルに座り何やら会議を行っていた。
『今まで攫っていったブタウシニワトリ達を返してもらうぞ』
そう言い放ち桃次郎が鬼達に斬りかかる。
『なぜここまで何事もなく辿り着けたか疑問にも思わぬか?鈍感な人間よ』
棟梁と見られる鬼の1人がそう呟き何かのボタンを押す動作をした。すると桃次郎の床に穴が現れて桃次郎は真っ逆さまに落ちてしまった。
『桃次郎さまぁあああああああああ』
お供の3匹の声が会議室で虚しく反響する。さあどうすると棟梁は3匹に問いかける。
『愚問。桃次郎様をお助けするのみ』
潔く3匹は一列に並んで突進していく。しかし棟梁は掌をかざし待てと言い放った。
『貴様らに一日の選択の猶予をやろう。このまま桃次郎を見捨てて立ち去るなら貴様らは助かる、が貴様ら3匹がこの鬼塚一族の下僕として一生働くのなら桃次郎の命だけは助けてやる。明日の正午までにこの場所へ来なければ桃次郎の命はない。』
では楽しみに待っているぞと言い残し棟梁はどこかへ去って行った。残りの鬼達に、さあ出て行けと言われ3匹は鬼ヶ島を後にした。
翌朝。鬼の幹部が呟いた。
『奴らやってきますかね?』
必ず来るさと棟梁は即答した。来なければ桃次郎の命はないのだから。まだ正午までは幾許かの猶予が残されていた。すると遥か遠くの方から地鳴りのような音が微かに聞こえた。その音は鬼達のいる方向に向かっているようだった。やりやがったと幹部の鬼の1人が呟いた。そう、その地鳴りのような音はブタウシニワトリの大軍の押し寄せてくる足音が生成していたのだ。ドドドという音と共にウォオオオという掛け声も聞こえる。数百数千数万ではなく数十万以上のブタとウシとニワトリの群れ。さすがの鬼の幹部達も冷や汗をかいている。恐らくブタとウシとニワトリの3匹は一晩かけて仲間を説得したのであろう。それほどの狂気と気迫を感じられずにはいられない鬼達だった。
『問題ない。想定の範囲内だ。』
静かに鬼の棟梁が呟く。その小さなたった一言が鬼達の冷や汗を止め冷静さを取り戻させた。押し寄せる大軍がアジトの目前まで来た瞬間に棟梁が振り上げた右手を垂直に振り落とし合図を送る。
すると正門が開き大軍はあっさりと中に入ってしまった。しかし問題はその後であった。中は凄まじく広いドームになっており出口は塞がれてしまった。足元は水浸しだった。そして彼らは足元から強烈な電流を感じ次々と気絶していった。これぞまさしく一網打尽である。下っ端の雑魚鬼が棟梁の元へ駆けつける。
『速報。ウシブタニワトリ全てを電気ショックにより確保完了。』
そう告げると、棟梁はこう答えた。
『まさかこれほどまで上手くいくとはな、さすがはお前の考えた策だ。なあ桃次郎?』
そこには鬼の幹部達と共に会議室に椅子に座っている桃次郎の姿があった。
『何度言えばわかるんだ?社内では社長と呼べ。1年下調べと準備を重ねてきたんだ。わざわざ人に化けた鬼という噂まで流してな。当然の結果だろう。これでブタとウシとニワトリの養殖資金の元手がだいぶ浮いた。こいつらを更に大量に繁殖させてこの1年の経費を回収しなくてはな。』
そのことについて相談があると鬼の幹部、いや桃次郎の叔父が尋ねた。
『出荷したウシブタニワトリの骨が大量に余ってしまうがどう処理するつもりだ。』
桃次郎は妙案があると答えた。それぞれの骨からダシを取ってスープを作ると。そして試行錯誤を繰り返しそれぞれのスープをブレンドして1つの商品を作り上げると。幹部全員が口を揃えて商品名を教えて欲しいと尋ねた。桃次郎は力強くそして、はっきりとこう答えた。
『桃次郎ラーメン』
無事完結させれました。