表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/45

4.異世界最初の会話(?)

 全然眠れなかった。猪が何回も来てその度に起された。同じ猪か違う猪かは分からなかった。

 暗くてよくは見えなかったし。


 失敗したな。木の実が生っている木ならすぐ木の実が取れて楽だーなんて単純な考えだったが明日があるなら木の実の生っている木はやめておこう。


 昨日の過ちを悔やみながら降りる。

 あんなに突撃されてたら木は傷ついているだろう。そう思っていたが。


 むしろ滑らかになっている。よく神社とかの御神木とかが撫でられまくって擦れたみたいになっている。

 あの猪は大きなコブがあった。

 突撃する時、衝撃を吸収するのだろうか。



 それにしても朝になったのか。

 体感時間でしかないが、まだ森は暗い。

 だが今日は俺はやる事がある!


 何とかして下山し、人に出会うのだ!


 それならば木の実を食べて水を飲み、ちょっと木の実を持ってすぐに出発しよう。


 今日の予定を考えながら片手で木の実を口に入れる。

 味は……ないな。これ。

 無味だ。木の実だというからには甘いと勝手に思っていたが、全然味がしない。

 なんか、空気食ってるみたいだ。

 葡萄の1粒1粒くらいの大きさだが、葡萄のような甘さは持ち合わせていない。


 腹は満たされたが、気持ちまでは満たされない。

 これから美味しい食べ物が見つかれば良いのだが。



 木の実をポケットに入れながらそんな不満を感じていると、突然草むらが揺れた。

 反射的に音がした方を見るとそこには1人の少女が立っていた。

 淡い水色の髪をして、その長い髪は後ろ手に結われて揺れていた。

 服は半袖半ズボンに近く袖のあいだから手や足がすらりと出ている。


「あ……!」


 俺に見つかった事がまずいと思ったのか少女は後ずさる。

 この世界に来てから初めての人だ。

 できればこのまま逃がしたくはない。

 俺は少女に会話を試みる。


「その、ここは何処なんでしょうか? 森に遭難しちゃって気付いたらここに……」


 できる限りこちらに敵意はないことを示してみたがどうだろうか。

 というか、通じるのか?異世界語だったら何言っても伝わらないんじゃないか?


「あの……その……ごめんなさいっ!」


 そう言うと木の影にいた少女は逃げ出した。

 言葉が通じたことに安心しながら少女を追いかける。天使の翻訳機能でも付いていたのだろう。天使様様だ。

 山の中で、しかも夜に猪が出るような所に少女が1人で住んでいる事は無いだろう。

 だとしたら他にも人がいるに違いない。





 あの少女凄く速い!山の中だというのに普通に走っているみたいに逃げていく。

 追いかけようと駆け出したはいいがすぐに見失った。

 少女を追いかけるのに夢中になりあの崖の上に戻る道が分からなくなった。


 だがしばらくすると少女は木に隠れてこちらを見る。その度に話しかけてみるがすぐに逃げられる。

 さっきからこの繰り返しだ。



 正直もう体力がない。木に背中から寄りかかり座り込む。少女は案の定また木の影にいる。

 話しかけてもいいが、どうせ逃げてしまうだろう。

 この世界で初めてみた人だというのに会話1つもしないまま終わるのか。


 そんな事を残念に思っていると突然少女は話しかけてきた。


「あの……! こっちに、む、村があって! き、き、来ませんか!?」


 すごい緊張しているな。でも最初の目的の村に行けるなら、断る必要はない。飯も食べられるだろうし。

 話しかけたら逃げるかもしれないと思い、俺はただ頭を縦に降った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ