表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/45

12.無味無臭のミシュー

ミシューって凄い木の実だったんだな。

まず、無味。これは俺が食べたから分かる。それと無臭。あの時は匂いを嗅いでなかったから気付かなかった。

その無味無臭が調味料として凄い力を持つ。


なんとどんな食べ物でもミシューを潰して汁として垂らせば匂いが無くなる。

どんなにうまそうな匂いがする料理でもミシューの汁を垂らすと途端に匂いが無くなるそうだ。

さらにソースみたいな液体状にして食べ物と一緒に食べると味が無くなる。

つまりどんなに不味い料理でもミシューソースがあれば苦痛に感じず食べられると言う事だ。

逆もまた然り。


アルイさんの話によると食べ物にミシューソースを塗り込んで味を無くす悪戯で村人同士で大喧嘩したこともあるんだとか。

効果が強すぎるので悪用禁止な上に明確な理由がないと所持してるだけで悪い噂が立つという徹底ぶり。


なのでミシューソースを持っている人はかなり変な物を食べてる事は間違いないとまで言われてるとか。



ミシューソースはともかく、ミシューの汁はかなり有効活用できる。

肉の生臭さから土の匂いが付いた山菜、さらに食べ物関連だけでなく、汗の臭いや生ゴミの臭いまで何でも消せるとか。

極論う〇この臭いも消せる。


使う機会が意外と多いミシューの汁はこの世界での日用品になっているようだ。



うんうん。この世界の常識がどんどん分かってくる。これでまた賢くなれたな。

世界で1番頭が良くなるには後何をするべきか……

やはり村から出て国とか行かないとならないかな。でも異世界語はまだマスターしてない。


このままアルイさんに異世界語教えてもらおう。といっても今日アルイさんの規格外の身体能力を見せられて俺は何もできなかった。

これじゃあただ飯食らいだ。かといって他の村人の所で仕事を手伝おうと思ってもアルイさんの翻訳がないと上手くできないかもしれない。



「おーい? りょうさーん?」


ハッとする。

ずっと考え事をしていたのでアルイさんに声掛けられていた事に気付かなかった。


「あ、やっと気が付きましたね。悩み事ですか?」


心の中でギクッとする。キュイアー家にお礼をできない事が歯痒い。


「何でもないよ。今日村に戻ったら何か手伝うことある?」


自分の気持ちを偽ってアルイさんに伝える。


「うーん、特にないです。あ、村の子供たちと遊びますか?」


村の子供たちか。

大人と会話するよりも使う言葉は難しくないだろうし、気分転換にもなるかもしれない。


アルイさんの意見を受け入れる事にした。


「分かった。それと村に帰るまで言葉とか単語を教えて欲しいんだけど、いい?」


「いいですよ」













くそっ、まさかこんな事になるなんて!


「おい! りゅう? だったか? 早くしろよー」


「リュウ、ジャナイ、リョウ!」


瓦礫をどかす。後ろで男の子が催促してくる。

村外れの寂れた城で焦りながら作業する。

この世界が異世界だと分かっていたけど!


「あんなにでかい奴がゴブリンなんて聞いてねえぞ!」


「? りゅうなんて言った?」


「ダカラ、リョウ!」


早くこの場から逃げ出さないと!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ