第1章『異世界来訪』第3話~何かと戦う前から全力全開!じゃないと死ぬからマジで!~
よし!そうと決めたら全力でやるぞ!この高さと落下速度じゃ、普通は海面にあたる衝撃で粉微塵だろうからな!いや、マジで!よくテレビで見る船とかが高いところから豆粒みたいなサイズで映る時ってあるじゃない?冗談抜きであの高さだから!
やれるだけやって死ぬならともかく、余力なんか残してられるかよ!
まずは生きることが最優先だ!
「…………ッ!!」
まずはゆっくりと……制御可能なありったけを開放ッ!
ゆっくりと身体の奥底から沸き上がる暖さを持った波動…さっきまで漏れでてくるのを抑え込んでいた《気》が身体全体から溢れ出てくるのを感じる…………
何だか、さっきよりも多く感じるのは気のせいか?……いや、今は気にするな!例えそうだとしても今は多ければ多いほど生存率が上がる筈だからむしろ好都合だと解釈するんだ!
「……よし、次!っと…焦るなよ俺…まだ時間は大丈夫だから」
次は衝撃の対策をどうするかを考えろ!
今の俺は気を全身に纏わせて身体強化をしつつ、更にその上から気を放出させてそのまま維持…
つまりは核を硬化した上で更に強度と柔軟性を織り混ぜた上で気の密度を出来る限り高めた防御膜で覆った二段構えの防御手段を講じているが……《気》にまだ余裕がある感じがする……これならもう少し無茶が出来そうなので、余っている分の気を瞬間的に放出させていわゆる逆噴射を起こして少しでも落下速度の勢いを打ち消そう!
「……上手くいくかわからないが……使える限りの力をっ、集中!」
ブゥゥゥゥゥン…
「……ッ!!」
ぐっ……これは…ちょっと気合いを入れすぎたか!一瞬、意識が飛びかけたぞ!?…だが、今更加減なんぞ出来るかよ!!
少しでも勢いを消すならさっさとしないと、あの高さからの海面直撃のダメージはシャレにならないからな!
「っあぁぁぁぁぁぁぁッ!いっけぇぇぇぇ!!!」
ズドォォォォォォォンッ!!!!
「…………っ!」
マズイ…また意識が飛びかけた……
でも、その甲斐もあって落下速度が少し落ちた!もう一頑張りだ!
「…はぁっ、はぁ…気全開ッッ!!」
残った力を正真正銘、振り絞るかのように防御膜に注ぎ込み海面直撃の衝撃に備える
(……カウント開始、10……9……8……7……6……5……4…3…2…1……0ッ!)
ザッパァァァァァァァァァン!!!!
…叩きつけられた衝撃は気の防御膜でも打ち消しきれず俺の身体の内部まで響かせる…
(いってぇぇぇ……でも…)
直後に感じるのは自分自身の心臓の鼓動…ってことは…
「……やった、何とか……生き、てる」
絶体絶命な危機を何とか回避した、と認識した時……
俺の意識は自然と闇に呑まれていったのだった…………。