外伝・第五話~ヴィーチェ=エルトリンデ編~『偽りの《守護者》④』
次から第6章突入です!
10月20日、誤字&加筆修正しました。
~ヴィーチェが《守護者》及び《白き翼の魔女》となって5年後~
「ハァァァァァッ!!!」
高速で駆け抜ける2つの影が白い翼を広げて跳躍、互いの拳と拳、蹴りと蹴りが激しくぶつかり合う
ガッ!バキッ!
「なんのぉぉぉ!!」
一瞬の滞空の後、気合いを纏った互いの両腕が相手を打ちのめすべく拳打の雨を放つ
ガガガガガガガッ!!
「ぬぅ!?」
「くぅ!?」
それもまた互角だったが、二人の戦意は更に燃え上がるかのように次なる拳を振り上げる
「「まだまだぁ!!」」
……
…………
………………
……………………
「…いたた。もう!少しは手加減してよヴェル!あ、ココも痣になってるし!」
組手(という名の条件付き実戦式訓練)が終わり、妾とウルリカは怪我の手当てを各自で行っていた。
「ウル…加減ならキチンとしておるわい。
妾の本気は一度、その身で味わったじゃろうが?」
妾も自分自身を手当てしながら呆れつつも言い返すとウルはバツが悪そうに唇を尖らせてコチラを見る
「うぅ~…あの時は勝てると思ったのになぁ…」
「…やれやれ」
そう。妾は二年ほど前に族長とエリス様、師匠達の指示でウルリカの今の実力を図る為に本気の本気で戦うよう言われたのじゃが…
予想していた通り妾が優勢のままウルを追い詰めてくなか…ウルリカは文字通り『切り札』を妾達の誰もが予想しない形で使ってきたのじゃ。
………そう。
突然、ウルリカの身体より溢れ出た異様な気に最初に気付いたのは師匠で僅かな時間差でエリス様、族長が反応したと同時に妾も警戒を強めた間際……
溢れる気を急激圧縮させ気の鎧を薄皮一枚に纏わせる《神の尖兵》を発動させたウルリカを見た瞬間、妾を含めた全員が目玉が飛び出すかと思ったくらい驚いたのじゃからな…。
ちなみに驚いた妾は不意を突かれて《神兵》発動状態のウルリカの拳をまともに受けてかなり痛い目にあった。
正直…一撃で意識を持ってかれそうになったが日頃、常駐待機させていた『状態回復魔法』と『治癒魔法』のお陰で瞬時に復帰した。
当然ながら、仕返しはキッチリさせてもらったのじゃ!
百を超える火球と二十を超える雷槍の並列起動&一斉掃射はウルリカに軽い心的外傷を植え付ける事となったが……まぁ、それはどうでもよい。
問題なのは…………
…………
………………
「「…どうしよう?」」
「…どうするのじゃ?」
「……予想外だね、これは」
「……?」
上からエリス様&アンリエッタ様、妾、師匠、事態を把握していない本人である。
妾が継承した称号《守護者》は有翼種族最強の戦士に与えられる位階なのじゃが……
実を言うと“とりあえず”空位よりはマシ、という形で『腕試しの儀』で優勝した妾が引き継いだのじゃ。
つまりは《守護者(仮)》と言うことなのじゃが…そこ!ダサいとか突っ込むな!
守護者(仮)←その理由については至極簡単、先代《守護者》アズマール=リッケルトにも備わっていた《異能》である《神の尖兵》と呼ばれる能力が妾には発現していなかったからじゃ。
本来、有翼種族の《守護者》とは《神の尖兵》という《異能》を発現させた者に与えられるべき位階だったという訳で…
正直、誰かが《神兵》を発現させた時には改めて《守護者》の座を巡って妾と一対一で戦わねばならなかったのじゃが……
まさか、ウルリカとはのぅ…ていうかこやつ…危うく妾を本気で殺しかけたんじゃが、わかってたんじゃろうか?
「「「「…………」」」」
「え?なに?どしたの?」
あ、わかってないわコレ
まぁ、仕方ないかのぅ
「エリス、説明」
「エリス様、説明を」
「エリスが説明するべきだね」
アンリエッタ様、妾、師匠がタイミングを揃えて一斉に名指しするとエリス様はゆっくりと妾達を見回して…
「え、私がするの!?」
素で驚きおった。
って、おい!?
父親と同じ道を歩む娘に一から話しておくべきだとは思わんのかい!?
と、皆が呆れた視線を送るなか母親は溜め息をつきながらサラッと毒を吐き出す
「はぁ……この子、頭悪いから理解できるかどうかわからないんだけどなぁ……」
コラ!
いくら事実とはいえ口に出して良いことと悪いことがあるじゃろうが!
ウルリカはちょっと、いや少々…?
結構…?わりかし?そう『わりかしダメな子』ってだけじゃ!
………ぬ?これってフォローになっとるんじゃろうか?まぁ、良いか!
……
…………
「なるほど!」
まぁ、時間はかかったがウルリカはどうにか理解してくれたようじゃ……たぶん。
妾達が新たに決めたのは以下の通り
1つ…来るべき時までウルリカが《異能》を発現した事は伏せておく事。
2つ…表向き《守護者》はヴィーチェで貫き通し、厄介事もヴィーチェが対応すること。
3つ…『セーネスの惨劇』の真相・黒幕は必ず情報を共有し単独で行動しないこと。
4つ…命を脅かされた時は各自、全力で迎え撃つべし。但し、《異能》発現を知られた相手には殺すか他言無用の為の契約魔法を施すこと。
……とりあえずは以上じゃ。
「危ない時は使ってもいいけど、知られたら殺って良いって事だね!」
おい母親!理解の仕方が極端すぎじゃろ!?
他種族にはそうそうバレんが同族に見られたらとにかく殺れって、言ってるのも同然なのをわかっとるのか!?
親子が意思を通じたかのように互いに親指を立て、とても良い笑顔で………って、コラ!
「「………」」
ああ!?族長と師匠が諦めて明後日の方に顔を向けておる!
待って!?妾には手に余るから見捨てないで!
………とまぁ、些か疲れたが妾は表向きの《守護者》として囮の役目を務める事となったがその後の進展は無かった。
…しかし年月が一年、また一年と過ぎてゆくなか…
《空から墜ちてきた少年》が現れたその日に妾達の運命は廻り始めた。
トーマ=クジョウ………人族ではあるが異界より来訪せし《異世界人》
内包した気の潜在量は妾が視た所では既に一級品。
しかし、使い方を知らなければ宝の持ち腐れとなるじゃろう。
生憎と妾では上手く指導できるかわからぬので、基礎鍛練を積ませて師匠が戻ってきたときにでも押し付けようかと思案していた矢先に………まさか、このような命懸けの実戦が待っていようとは思ってもいなかったが…
………まぁ、全ては生き延びてから考えるとしよう!
うむ。
初見の方々を含めた皆様の来訪が励みとなり、執筆の意欲となっているのをひしひしと実感しております…!
これからも宜しくお願い致します!
【追記】
緊急で仕事が増えてしまい次回投稿が少し遅れてしまいます。
活動報告には後程、書き込みますが皆様に一足速く御詫びを申し上げさせていただきます。




