第5章『父娘、救出・後編』第9話~師弟契約②~
皆様、お待たせしました(汗)
近々、近況を(ようやく)更新します。
気が向いた時にでも当作品共々ご覧になってくださいませ。
【???】
〔………〕
「………」
(……何だか懐かしい匂いがする……)
……
…………
〔………〕
「………」
(柔らかい…こんな枕なら何時間でも寝れそうだ……)
ツンツン←頬を指先で突く
「……ぅ…」
モゾ…
〔!!〕
ツンツンツンツン←倍速で突く
「…っ……ぁ…?」
(…邪魔するなって…折角良い気持ちで寝てるのに、まったく…)
モゾモゾ…
〔ッ!?〕
ツンツンツンツンツンツンツンツン←更に倍速
「んぅ……うぅ…?」
むぎゅ
(……ちがう。この柔らかさは…枕じゃ、ない?あれ?ていうか、俺…寝てたのか?何で…確かさっきまで)
〔~~ッ!!?〕
ゴスッ!←拳が叩き込まれる音
「ぐぁっ!?」
(鳩尾っ!?)
ゴスッ!!←更に力強く叩き込まれた音
「っ!?」
(後頭部っ!?)
今のを例えるならば天国から地獄に落とされた如くの衝撃に眠気が吹き飛び一気に意識が覚醒した冬麻はよろけつつも立ちあがる
ちなみに先程の瞬間を段階的に説明すると
寝ぼけて何かを掴む
↓
咄嗟に放たれた一撃が、位置的に腹部近くにめり込む(これが鳩尾への一撃である)
↓
刹那の硬直後、痛みを思い出したかのように起き上がると同時に犯人(?)の振りかぶった追撃が同じタイミングで炸裂(これが後頭部への一撃)
↓
結果、コントの流れのように殴り飛ばされる事となった。
…当然、後頭部と鳩尾はズキズキと激しい痛みに襲われている。
〔おはようございます。九条冬麻さん〕
「…………オハヨウゴザイマス。誰だアンタ?」
眼を開いた冬麻の視界に映ったのは満面の笑みで怒りのオーラを漂わせる銀髪の美女だった…何処かで似た誰かを見た気がするとは思うものの記憶の中を掘り返してもどうにもヒットしないので直球を投げることにした。
「……ここ…俺の精神の世界、だよな?」
〔なぜ…そう思います?〕
笑みを崩さない美女の顔が僅かに強張ったのを冬麻は感じるが気にせず言葉を続ける
「前にレーヴェの幼女モードと美冬さんの精神体と会った場所と雰囲気が似てるからな…違いの詳細はわからないけど、ここは『俺の力が眠る俺の世界』って感じがする」
〔なるほど。………で、レーヴェさんとミフユさんとは誰ですか?〕
女の質問に少し引っ掛かるがとりあえず答えることにする。
「…レーヴェリア=アーマライト=クロムウェル。俺の《神器》、《龍帝の遺産》に宿る《魂》…美冬さんは俺の義理の母親。俺をこの《異世界》に呼んだのも美冬さんだ。」
〔アーマライト…クロムウェル…ですか。この場では嘘は言えませんから間違いないみたいですが、二大皇帝家の血脈と同じ…つまりは分かたれる前の時代の人物、いわゆる始祖の一人ですかね…だとしたら大物中の大物ですが…《神器名》がレーヴェリア・レガシィ…ですか?武器タイプでは無さそうですが…まぁ、私は詳しくない方ですから後で他の人に聞いてみるとみましょう〕
(こいつ……『違う』)
「来いっ!《童子切り》」
一瞬、眩い光りが空間を走ると俺の左手にもう一つの《神器》が現れそのまま掌に納まる
「誰だ……お前?場所の雰囲気で流されそうになったが段々、感じ取れてきた『感覚』とお前から流れてきたこの『違和感』…どうやって俺の精神に入り込んできた?」
〔おや…もうバレました?感覚を鈍らせて喋りやすくする薬はもちろんですが最も心を許す相手の姿を記憶から読み取ったりもしたのですが…〕
女の言葉に思わず感情が昂った冬麻は気を《安綱》に注ぐと下から上へと刃を振り上げる刹那に注いだ気を解放し斬撃を放つ
「ッ『一閃』!」
(こいつ…ずけずけと人の心を覗き込んだのか!)
〔っと、【彼方への・道を拓き・我が身を誘え】・【逃走空間】〕
斬撃が切り裂く瞬間、術が間に合ったようで女の体が空間に揺らぐように気配と実体が薄く消えかけると斬撃は何事もなくすり抜けてしまい直後に女の身体は元に戻る
「…やはり魔術師、か」
(途中から予想はしていたが、このタイミングで仕掛けて来たなら俺は…いや俺も含めて全員が見張られていたってことか?なら、俺がやることはひとつ……)
「……来い!《龍帝》!!」
(こいつを倒して現実へと戻ってリンネやヴィーチェ達と一刻も早く合流する!)
〔っ!?まさか呼べるはずはありません…!ここは確かに君の精神世界ですが、私が幾重にも他者の精神を侵入除外する『結界』を……って、話は最後まで聞いてほしいのですが…〕
「こいっ!《龍帝》ッ!俺は…此処に居るぞ!」
(…言葉が頭に浮かんでくる。これは『熾天の楯』の時にも感じた…なら、これは『力ある呪文』。レーヴェを呼ぶ…そう、強制召喚する為の呪文!)
〔無駄だと言ってるのに…君は知らないでしょうが、私の『結界』は特化術式…神や天使、魔族など上級種族にすら通じるのに一介の《神器保持者》の呼びかけなんて…〕
「【扉よ開け・果てより果てへ・道無き道を繋げ】」
一言。ただの一言を耳にした侵入者は戦慄し、威圧される。
少年の発した言葉は『ある』魔術を発動させる詠唱ではあるが、普通の詠唱ではないのは《魔力感知》を持つ中級位階以上の熟達した魔術師なら理解できる
が、上級位階以上なら更に踏み込んで理解できる事がある
〔嘘…《魔力上限解放》?熟練の上級位階の魔術師でようやく使える人もいるのに…こんな少年が…この境地に到達してるなんて〕
(《肉体限界突破》や《練気上限解放》を武術の奥義とするのに対し《魔力上限解放》は《術式最大増強魔法》と並ぶ魔術の奥義の1つ…この少年はいったい…)
「【遮る壁は無意味・塞がれた道は無価値・空間を繋ぎし扉よ・我等が前へ現れ・誘いの道を開け】!」
〔底上げした魔力で強制召喚ですか…どんな化け物を呼ぶというの…?〕
「【空間開放】!来い…レーヴェ!」
冬麻の力ある叫びに空間が軋み、捻れると一気に拡がり始めやがて人一人が通れそうな大きさまでなると同時に蒼い髪の少女が現れて冬麻に抱きつく
〔ッ…トウマさん!急に精神結合が途切れそうになったから心配したんですよ!?いったい、何があったんです……かっ!?〕
「レーヴェ、話はあとだ。あいつを先に〔………か?〕……ん?なんだって?」
〔誰ですか!あの女!?〕
〔「え!?」〕←冬麻&侵入者
(いきなりキレた!?)
〔ちょ、め、メス!?え?私ですか?あ、そか私しか居ないのか…いやいや、それでもいきなりメス呼ばわりされるのはどうかなぁ!?〕
〔…私の油断があったとはいえトウマさんの精神の一部を限定封鎖するなんて…なんてうらやま、じゃなくて…「おいコラなんて言いかけた?」ゴホン…断じて許せません「おいレーヴェ今、言い直したな?」…断じて!許せません!!〕
「…………」
〔…………〕
((無理矢理、誤魔化した!!))
〔それにその姿…貴女、トウマさんの記憶から投影しましたね?それだけで私が八つ裂きにするには十分な理由です。楽に死ねるとは思わない事です〕
〔!!〕
「ッ!」
(殺気…!レーヴェの奴、珍しく本気か…!?)
眼を細める少女が放つ殺気に侵入者の女だけではなく隣にいた冬麻さえ悪寒を感じてしまっていた。
〔え、いや…確かに記憶を覗きこんで投影はするつもりでしたが…結果的に投影はしてませんよ?私の姿のままです〕
……
…………
「…そうなのか?」
〔何をバカな!嘘をつくんじゃありません!その姿は間違いなくアリサの姿です!ミフユより二回りは小さいその胸が…………くっ、負けた……!「〔…は?〕」と、とにかく!それが証拠です!すぐバレる嘘はやめなさい、見苦しいですよ!?〕
〔えぇ!?〕
「お前の発言は聞き苦しいわ!!?」
スパァァァァァン!!!
瞬間的に冬麻の突っ込みがレーヴェの頭頂部に炸裂
響き渡る音が威力を物語ると余程、痛かったのかレーヴェが涙目で訴えかけてきた
〔流石に痛いです…強すぎですよ〕
「やかましい!お前は何処で人を判断してるんだ!?」
〔胸!〕
「自信満々で断言すんな!」
スパァァァァァン!!
〔いたぁ!?あ、でもこれはコレで癖になりそうかも……〕
「…ちっ、このレベルの痛みすらご褒美になったか!」
〔…変態幼女?〕
〔くぅっ!?ま、まさか敵にまで言葉攻めされるなんて………素晴らしい1日ですね!〕
〔ひぃっ!?〕
「もう帰れ!?」
〔え?あれ?いやいや、つい我を忘れちゃいましたがコイツを追っ払わないとダメですよね!?〕
………………
〔…………ですよね?〕
「………………ぁ」
〔………………〕
〔……場を仕切り直しましょうか?〕
「あ、すいません」
〔痛みが嬉しくて、つい…ご面倒をおかけします〕




