第5章『父娘、救出・後編』第3話~ヴィーチェとユーリ②~
すみません!だいぶ間を空けてしまいました!
物語はまだ続きますので引き続き暖かい眼で見守って下さるよう宜しくお願いします!
「……何故?」
死を覚悟したユーリが眼にしたのは、眼前まで迫った筈の雷槍を寸前で掴み取り呆れた表情をしていたヴィーチェだった。
「何故、と聞かれれば……まぁ、本気で殺しにかかってこなかった相手に少々やり過ぎた…と思ったのと」
苦笑いしつつヴィーチェはユーリに向けた視線をチラリと女魔術師と妹分が戦う場へ向ける
「なるほど…ミューレ=トゥールが心配、ですか。なら尚更、そのまま私を」
「その先の言葉は不要じゃ。お主が根っからの悪人ならば躊躇わずに炭にするが…しかし、主からは悪意は感じなかったからのぅ…それに、何故か同じ気配があちこちから感じるのがどうにも気になっての…ネタばらしをさせた方が良いと思ったのじゃが…喋る気はあるかの?」
「………………」
掴んだ雷槍を魔力へと霧散させ、口を閉ざしたユーリを見つめるヴィーチェだが…やがてニヤリと笑うとユーリへ背を向けてミューレが戦う場へ歩みを進め始める
「まぁ、対峙した時からガルディアの軍属とは思っておらぬが…なかなか厄介な《異能持ち》みたいじゃし、ここいらで手を引いてくれるとありがたいのじゃがな?」
「……手を引くだけで良いのですか?私達の狙いは貴女方のガルディア城への手引きなのですが?」
ユーリの発言にヴィーチェは思わず歩みを止め振り替える
「…予想外な返事が返ってきおったが、どういう意味じゃ?」
「そのままの意味ですよ?…ちなみに今は本体の私を相手にトウマ君と…あぁ、先ほどからウルリカさんが加わっての2対1ですかね。」
「…ぬ?ウルリカがトーマの所に?なら…《転移門》の方は…」
「そちらは剣聖殿一人で……いえ、こちらからも一人と一匹が援軍に向かってるのでそろそろ到着する頃かと思います。
そして《転移門》を守るのはクルツ殿と配下の騎士達…そして、宰相配下の暗殺者と…あぁ、クルツ殿と騎士達が操られているみたいでリンネ殿は本気になれないみたいですよ」
スラスラと状況を話すユーリにヴィーチェは訝しく思うも虚言では無いと自身の心が囁くのを信じる事にして、行き先をミューレが居る戦地ではなくリンネが苦戦する《転移門》へと向かうことにした。
「……御武運を…ヴィーチェ殿」
「情報提供、感謝するぞ……そういえば名を聞いておらんかったの?」
ユーリはクスリと微笑むとヴィーチェに背を向け、ミューレとヴィレッタの元へと歩き始めていく
「ユーリ…と言います。ですが、ここにいる私は《分身体》です。お礼なら《本体》にお願いします……それと、あちらは私に任せて下さい、二人とも貴重な戦力ですからね」
「……ふむ。戦力か、では…《転移門》は妾に任せよ。傀儡の外法使いを相手にするのは初めてじゃが…《魔女》の二つ名は伊達では無い事を教えてくれよう、なのじゃ!」
(妾にリンネ、ウルリカとミューレ、そしてトーマ…確かに一国を相手にしながらマーベリック父娘を助けるには人手が足りぬからのぅ…ユーリと言ったか、纏う雰囲気と潜ませている気の圧力はかなりの力量じゃが…本体とやらがいかほどの使い手なのか気になるのぉ…。それにまだ味方が居るみたいじゃし……うむ!ここは1つ借りれる手は借りておくとしようかの♪)
バサリと白い翼をはためかせるとヴィーチェはふわりと浮かび上がり、転移門強奪の助太刀へと向かっていく
そして、ユーリは己の目的の為にミューレとヴィレッタを引き入れるべく地を駆け出す。
「…操られたのがクルツ殿と騎士達だけで済んだのは良かった、というべきですかね…とはいえ、これ以上後手に回るわけにも行きませんし…早く二人を引き入れて本体と合流するとしましょう」
(しかし…流石はヴィーチェ=エルトリンデ。魔力と気を殆ど使ってしまいましたよ…)
弱々しい気を身体に纏わせ身体強化を施したユーリは少しでも急ぐべくミューレとヴィレッタのもとへと速度を上げて走り続けるのだった…。




