第4章『父娘、救出・前編』第18話~その頃のリンネVS外法使いの男~
【第1視点】
冬麻・ミューレ・ウルリカVSラース・ヴィレッタ・ユーリ
【第2視点】
リンネVS外法使い・???
【上記以外】
ヴィーチェ
…以上でお送りしております。
[フローレスの森・ガルディア王国軍拠点内《転移門》前]
「………」
「くっ…」
「………」
国内では随一、大陸で上から数えれば間違いなく十指には入る実力を持つ『剣聖』リンネ……だが、彼女は今現在目的地である《転移門》を前にして苦戦を強いられていた………
「…【魔力よ…】」
「「「【魔力ヨ…】」」」
「っ…またですか!」
不規則に襲ってくる第2部隊の見知った顔触れにリンネは防戦一方に陥り、時折詠唱される攻撃魔術に手を焼いていた…
「…参りましたね…まさか、人を操る外法の使い手がこの国に居たとは…」
(陛下はこのような手は好まぬ御方…なら、やはり宰相殿?…だとすると、猶予があまり無いかもしれませんね…それに、ヴォルフ殿達を救出した後はやはり身を隠すべきかもしれません)
「【雷纏い・我が敵を・打ち砕け】!」
「「「【雷纏イ…我ガ敵ヲ…打チ砕ケ…】」」」
「ッ!…『迅雷』!!」
(魔術の攻撃範囲に操られた騎士達も入ってるのに……精鋭の片翼を担う第2部隊を完全に捨て駒のつもりで私に宛がうなんて!!)
距離を空けて陣取る黒ローブの術者と操られた騎士達が、詠唱を終える瞬間、リンネは身体強化系戦技の一つ『迅雷』を発動させ蒼い雷に変質した気を纏うと、周囲に居る剣や槍を携えた騎士達の群れから一足跳びで抜け出す。
「流石は剣聖殿…貴女の性格上、そう出てくるのは読めてましたよ?……【雷光の火閃】!」
「「「【雷光ノ火閃】」」」
空中に飛び出たリンネに狙い済ましたかのように連続斉射された雷火の咆哮が襲いかかりその姿を捉える。
「読めてた?……コレも、ですか?薙ぎ払え!『飛燕・雷の太刀』!!」
「な!?」
リンネを確実に補足し、致命傷の一打になりえる威力を含めた四つの攻撃魔術は彼女の刀に収束された『迅雷』をリンネが得意とする戦技の一つ、気の斬撃を放つ『飛燕』と合わせて振り抜いた一撃で纏めて掻き消す。
戦技と戦技を融合させた一撃に黒ローブの男も驚きは隠せないでいた。
「…戦技の複合技…調整をするのが難しく使い手は一握りだというのに…容易く扱うとは、流石というべきでしょうかね?……ですが、お遊びはそろそろお仕舞いにしましょうか…『魔女』の相手もする予定ですし…他にも用事がありますから」
「私を相手に大した余裕ですね!……飛燕ッ!」
(……このザラザラする気配…あの男、何者なの?)
ローブの男の気配が僅かな変化を漂わせるやリンネは即座に滞空状態から『飛燕』を放ち追撃を試みるが…男の前に一人の騎士が颯爽と現れリンネの『飛燕』を手にした双剣を振るい叩き斬り、悠然とその姿を戦場に見せる。
「………」
「…やはり、貴方も……ですか」
(もしやとは思ったのですが…そう都合良くは行かないもの、ですね)
「…………」
「ふふ……余裕なんてそんなまさか…貴女の相手は私一人では厳しいに決まってるじゃないですか?なので当然、援軍を呼ばせてもらいましたよ?まぁ…彼に『納得』してもらうのには少々手こずりましたが、ね」
「………リ……ン…ネ…」
「……クルツ…意識はかろうじてあるみたいですね」
(…クルツも騎士達も斬りたくはない、けど…あの術者をどうにかするためにはクルツ達をどうにかしないと……)
第二の戦場では剣士と騎士、二人の使い手が《転移門》前でそれぞれの得物を手に望まぬ戦いを強いられようとしていた…。




