第3章『2つの神器』第13話~冬麻の精神世界(深層第二階層)にて~
第3話終了です!
(…………)
(…………?)
(…………っ…)
(……うぅ……腰と…頭が、ていうか…何だコレ?身体のあちこちが痛い…)
〔おや?気が付きましたか?〕
〔あら?〕
最近、よく聴くようになった冬麻の中に住み着いてまだ間もない《神器》の少女(?)の声に反応し起きあがろうとすると…
〔冬麻さん…まだ寝ていた方が良いわよ?〕
〔そうですよー?トーマさんはまだ寝てなきゃダメなんですからね?〕
「いや、今はのんびりと寝てる場合じゃ無いだろうに……?…龍帝…と、もう一人?誰か…いるのか…?」
〔ええ、いますよ?ちなみに実は貴方はまだ、気絶中なのですが…なのに、『気が付いた』とはなかなかトンチが聞いてると思いません?〕
〔うふふ♪そうねぇ~〕
「はぁ…?何をいっ…て……る…」
俺はふらつく頭を軽く揺すり、自分にしっかりしろと言い聞かせつつ周囲を見渡すと……ある二人の人物を捉える
「………………は?」
〔いやぁ、この反応!トーマさんは、実に可愛い反応しますねぇ♪〕
一人はボロい大きめの布切れを首から下の全てを隠すように巻き付けている蒼い長髪の少女
〔でしょう!?でもね!でもね!小さい頃はね!?もっともっと可愛かったのよ!〕
もう一人は先程まで穏やかな微笑みを浮かべていたが、今は若干暴走気味な感じで捲し立て始めるグラマラスな美女…服装はゆったりとした紺色のカーディガンを白いYシャツの上に羽織り下は黒のロングスカート…どうみても地球の衣類だった…
そして…
〔はぁ…早く私の本体もこちらに来れば良いのに、まだリベラルディアに足止めされてるのよねぇ~〕
〔リベラルディア?あぁ……今代の『地の聖天使』でしたか?一対一なのに貴女が手間取ってるのですか?〕
〔うーん……今の戦況は互角ぐらいかしらねぇ?何しろ本体は色々な制約を受けているから…そうねぇ、今は昔に比べると2割~3割弱くらいまで抑えられてるわね〕
〔いやいや!計算おかしくありません?私の記憶では聖天使同士の能力差って殆ど無かったハズだと思いましたが?〕
〔うふふ♪〕
〔………あ~…なるほど、他の聖天使には無い『切り札』があったわけですね?〕
「…………おい」
〔そゆこと♪いざって時には四体の聖天使全てを相手にするのも計算してたから当然の備えよね♪〕
「っ…おい!」
声を荒げる冬麻に蒼髪の少女とおっとり美女は同時に振り返る
〔いけません…トーマさんを忘れてました〕
「……」
〔ごめんね冬麻さん。そうね、今は遊んでる場合でもなかったわね〕
「やっぱり…義母さん…何だよな?」
〔…半分、正解。私は…《聖天使》の劣化複製体の一人なの。〕
「コピー…?」
〔そうよ。とはいっても、記憶は本体から最新情報を受け取ってるから会話しても違和感は無いと思うわよ?後は……本体からの最優先事項として〕
「最優先…?」
〔何でしょうね?〕
〔いつ、冬麻さんが甘えてきても良いように九条美冬の肉体情報は完璧に再現しているわ!〕
「何でだよ!?優先度が高すぎだろ!?」
〔だって……ねぇ?〕
〔流石の私にも理由がわかりませんが……グッジョブ!〕
「てめーら!纏めて吹き飛ばすぞ!?」
〔まぁまぁ……冗談はここまでにしましょうか?〕
〔どこまてが冗談だったのでしょうか……?〕
「はぁ……それが解れば苦労はしない」
〔あのね?私が此処にいるのはね?本体から冬麻さんにもう1つの《神器》を渡すように頼まれてたからなの〕
〔不要です。お帰りください。〕
「なんでお前が答える!?」
〔ダメよ。これに関しては拒否はできないの!〕
「え!?《神器》って、押し付けるものなの!?」
〔私という《神器》が居ながら…他の《神器》に手を出させるわけにいきません!!〕
「まて!今、何か不穏当な呼び方が聴こえたが気のせいか!?」
〔あ~…今回持ってきたのは《魂》不在の《神器》なの〕
〔《魂》不在?……もしや《代理戦争》の?〕
〔正解!流石は《始祖》様ね♪〕
「…さっぱり、わからない。何だよ《代理戦争》って…」
〔まぁ、それはおいおい、ね~〕
〔そうです。今は知る必要がありません…。それで?《代理戦争》で喪失したその《魂》の《神器》の銘は?〕
〔等級は《工匠》、形状は日本刀、《神器名》は《童子切安綱》〕
「安綱……それって」
「ふふ♪小さい頃の貴方が『名前がカッコいい!』ってよく騒いでたのを思い出してね~」
「え?まさか…」
〔それだけの理由でコレを持ってきたのですか?〕
〔そうよ?といっても、この《安綱》は変則世界から来たのだけど…以前の《代理戦争》で《魂》と一緒に折られた残骸を素体にして材料は神鉄を中心に打ち直した一級品なのよ?〕
「……あの五本の刀剣のうちの一振り……」
〔で!これを《龍帝の遺産》で《恩恵》を与えると~《模倣神器( アーティファクト・レプリカ)》の完成よ!〕
〔なるほど…これは確かに人界でも指折りの大業物…異世界同士とはいえ似て非なる同郷の使い手と武具の巡り合わせ…正しく良縁奇縁ですね〕
「…龍帝?」
クスクス笑う龍帝に冬麻は何事かと不安気な視線を向けるが、美冬は満足気な笑顔を振り撒いていた
〔冬麻さん…私の恩恵の付与は五回までと決まってます。やり直しは聞かないので、慎重に決断してください…どうしますか?〕
「わかりきった事を聞くなよ…頼む、龍帝!」
〔わかりました…では《恩恵の付与》を施します〕
〔さて…後は龍帝様に任せて、私はそろそろ行かなきゃ〕
「義母さん…」
〔うふふ♪心配してくれるのね?ありがとう、冬麻さん♪大丈夫よ?私は強いからね!いつか…冬麻さんと再開できるのを楽しみにしてるわよ?…千鶴も一緒に、ね?〕
「!……あぁ、任せてくれ」
〔トーマさん、貴方もそろそろ目覚める時間です…新たな《神器》は私に任せて、皆の所に戻りなさい〕
「龍帝様……宜しく頼む!義母さんも元気で!」
冬麻の呼び掛けに蒼髪の少女と美冬はそれぞれ笑顔で応える…………
冬麻の精神世界はそこで途絶え、再び光が現れ始める……
そして物語は《異世界》舞い戻る……
冬麻の新たな《神器》…ちなみに作者は刀剣マニアではありません。あしからず。




