プロローグ③
「って…か、義母さん!?なんで!?」
え!?ど、どういうことだ!?俺はさっきバイトが終わって…今日は千鶴の誕生日だから取り寄せて貰ったプレゼントを買いに行って…それで、そのあとに…そう!義母さんから着信が来たのがその時だ!なのに……
「うぅ…まさか息子におそ」
「ってないからぁぁぁぁぁ!?」
何だか聴き逃してはならない言葉が聞こえそうな気がしたので、すかさず反応して割り込む俺…我ながら大した反応速度だと思う、うん。
そして、そこには涙目になってた筈の義母さんがいつの間にか頬に両手に添えて……添えて、うん。なんか…くねくね?してるんだけど…どういうこと?しかも、ニヤニヤしてる?
……いやいや、義母さんってあんなキャラだったか?
「うふふ…私もまだまだイケるってことよね!千鶴ちゃんにも負けてないってことよね!」
うん。義母さんだな、あの感じ。俺にはわからない事で千鶴とよく張り合う時に漂わせる…オーラ?を感じるから間違いないな、コレ。
「……って、そうだ…義母さん!」
「うふふ、どうしたの~?トウマさん♪」
うおぉい!まだニヤニヤが続いてるの!?
今の状況って、それどころじゃないよね!?
…って!抱きつくなぁ!柔らかすぎるからぁ!?
さっきの感覚思い出しちゃったよ…うん。何だか精神的に削られていくこの感じ、いつもの我が家の感じだなぁ…………いやいや、落ち着いちゃダメだろ!しっかりしろ俺!
「ちょっ!義母さん!説明!色々聞きたいことありすぎるんだけど!?」
「うふふ~♪ん~聞きたいこと~?……………………あっ!?」
何だよその反応!遅いよ!今、思い出したの!?
義母さん(の姿をした天使?)は明らかに「しまった!」みたいな反応をすると俺からサッと離れ、さっきまでの…そう、例えるなら天使や女神様みたいな(会ったことないけどな!)厳かな雰囲気を纏い、何事も無かったように話し出した…
「…ゴホン!………クジョウ・トウマさん」
「!…あ、あぁ」
この雰囲気…何だか逆らいがたい感じがする…例えるならば空気が変わった、とでもいうべきか?なら、この女性は似てるけど義母さんじゃ……
「…私は主より《風》の神格位を与えられし、聖天使リュミエールと申します。…………断じて!貴方の義母であり近所でも美人で有名な九条美冬ではありません!」
「全部台無しだぁぁぁぁ!?」
誤魔化す気あるのかぁぁ!?つか、自分で美人って言うかぁ!?否定はしないけど!確かに美人だよ!スタイルは凄いし!さっきの柔らかさも凄か、っいやいや!?それは忘れろ俺!!そう!それよりも少しは歳を考えて発言を…
「冬麻さん?」
「!!!……っ、は…ぃ」
なん…だ、この感じ……心臓の鼓動がやけに鳴り響く……直感?違う…これは、一瞬で八つ裂きにされる未来が……『視』え…る?
「……何か……私に言うことはありませんか?トウマさん?」
「ッ!!」
一瞬で展開された濃密な殺気…女性の両目が妖しく深紅の光を放ち(とても天使とは思えないぞ、コレ…)俺は……俺は……
……奥の手を使う決断をした……
やや脱線し始めてるようですがあと2回(文字数によっては3回になるかも)でプロローグ(?)も終わります。