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第3章『2つの神器』第7話~激戦へのカウントダウン~

「…はぁ…はぁ…あ~……気つけには…ちと、痛すぎじゃのう…」

「…………ごめん」



出血の多さ、疼く痛みと虚脱感を誤魔化す為、つい軽口を叩くと冬麻はヴィーチェを見つめ一言…謝罪の言葉を口にする

本人からの頼みとはいえ、ヴィーチェを一人にしてしまった事に対する罪悪感が冬麻にはあったのだ



………が



「はぅ!」

「ヴィーチェ!?どうした!痛むのか!?すぐミューレの所に!」



突如悶えたヴィーチェを痛みで苦しいのだと冬麻は思い、ヴィーチェをすぐに抱き抱えて立ち上がる



「はっ!?……いやいや、痛い事は痛いが今は治癒魔法を自分自身に使っておるから大丈夫じゃ。今は下手に身体を揺らされる方が良くないのでそっと、おろしてくれぬか?」

(お姫様抱っこは正直、捨てがたいがのぅ~…それに…そろそろあやつら、動きそうじゃ………にしても、トーマは何をしたのじゃ?ナマモノは別にどうでもよいが、クルツとリンネの動きを同時に封じるなど…魔法でも難しいぞ?)


「そ、そうなのか?…言われてみれば…ぼんやりとあちこち光って、傷口が治っていくみたいだけど…魔法…使ってるのかコレ?詠唱無しで?」



冬麻の問いにヴィーチェは「おお!」と大袈裟にリアクションすると説明を始める



「冬麻は妾の特技を知らぬのじゃったな。妾は『無言詠唱(サイレントキャスト)』と呼ばれる技能(スキル)を持っておってな?こうやって誰かと会話していても、心の中で詠唱する事で発動準備は整えられるのじゃ。発動だけは魔術名を言わねばならぬが、さっきから小声で定期的に呟いておるから問題は無いのじゃ」

「………なるほど、じゃあさっきのはなんだったんだ?」



改めて冬麻が問うと、ヴィーチェは頬を赤く染め上げて冬麻を見上げるとポツリと呟く



「………冬麻の先程のシュンとした顔が妾的にキュンとくる表情だったのでつい、の…反応してしまっただけじゃ…」

「………………」

(普段なら落とすところだが…怪我人にそんなことは出来ないな流石に…)


〔モテますね~トーマさん。やはり大きいほうが好きなんですか?〕

(何の話だ!?つか、居たんだ………龍帝(レーヴェリア))

〔ええ、何時でも何処でも貴方様の背後におりますよ?〕

(俺、呪われてる!?)



〔それにしてもヴィーチェさんの気持ち、判りますよ!〕

(……嘘臭いな)

〔何故でしょう?さりげなく酷いこと言われてませんか、私?…ま、それはそれとしてですが………来ますよ?〕

(は?来るって…)



「動くな、トーマ!!二重展開!『対物理障壁(アンチ・マテリアル・シールド)』!」

「ッ!?」

(しまった!あいつらを忘れてた!?)



ヴィーチェの障壁が展開されると同時に二振りの銀閃を伴う影が弾かれ、間合いを取り直す



「流石はエルトリンデ殿…ボクの攻撃を簡単に防いでしまいますか…」

「クルツ………先程は隙を突かれたが次は無いぞ?…それにしてもおぬしとリンネがいるということは……やはり、人質か?」



「………」

「………」



ヴィーチェの言葉にクルツとリンネは無言で戦闘態勢を取り始める

そしてアルベルトはヴィーチェと冬麻を見て不敵に笑っていた



「ヴィーチェ…?もしかしてあの二人は…無理矢理?」

「じゃろうな。あの二人…あちらの女剣士はリンネというのじゃが、剣の腕前は国内最強、大陸でも十人といない猛者で妾でも接近戦は避けたい使い手での…義に厚い事で有名…っと」

(これはいかん…血を失いすぎたのぅ…僅かな時間でなるべく動かずに戦わねばならんの…となると、やはり冬麻の手を借りねばならぬか…相手が悪すぎるが仕方あるまい…)



冬麻の肩を借りて、何とか立ち上がるヴィーチェだが顔色は悪く足元もおぼつかない様子だった…


「………」

(やはり、ヴィーチェは戦える状態じゃない…俺が何とかしないと!…龍帝(レーヴェリア)!)

〔なんですか?〕

(お前の力を借りれば……あいつらを倒せるか?)


〔……短期決戦で被害(ダメージ)を無視して挑めば、或いは……ですね。あの二人はさっき戦っていた三騎士とはレベルが全く違うので…単発の『咆哮(ハウル)』だけではキツいですねぇ〕


(動きは止められるのか?)

〔警戒されてるので先程よりかなり短い時間になりますが、止めることは可能です。〕

(……なら大丈夫だ。『圧縮砲弾(プレッシャーカノン)』で仕留める!)



「ふぅ……よいかトーマ?男の名はクルツ、ヴォルフの配下でも5本の指に入る若手の実力者じゃ」


「…二人を一度に相手にするのは厳しい、か」

「そういうことじゃ……での?」

「…良い案があるのか?」


「うむ。というか、コレしか無い……という感じじゃの」




「……さて、エルトリンデ殿…と、そこの少年。そろそろ始めても構わないかい?」





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