第2章『最強の居候は世間知らず』第3話~改めて、《神器保持者(アーティファクト・ホルダー)》の宿命~
「おぉ!そっちの続きか…まったく妾を焦らすとはなかなかやり手じゃのう!」
「流石は私の旦那様だね!」
「違うから!旦那じゃないから!」
「妾とウルリカに加えてミューレも嫁にしようとはなかなかの強者じゃの?お主…」
「してないから!つか、何でヴィーチェも加わってんの!?」
「なんじゃと!妾だけ仲間外れにするというのか!?」
「俺にどうしろってんだ!?」
話が進むどころかどんどんネジ曲がってくんだけど!?
………………
………………
「………なぁ、仕事する前に疲れてきたんだけど帰っていいか?」
「「ダメ」」
「だよな…」
あれから半刻経ってようやく二人が静かになった頃に目的地に着いたが………既に一仕事やり終えた感じだ……。
正直、この二人の相手はキツイ!
「というか、主は何しに来たのじゃ?」
「そだね。何でフローレスの森に来たの?」
「お前らなぁ……何で頼んできた側の人間が知らないんだよ……」
「………………」
「………………」
「「?」」
二人揃って同じタイミングで首を傾げた!?マジか!?
「はぁ……最近、集落付近の森で怪しい人影を複数見たっていう報告があったから確認を兼ねて見回りをしてきて欲しいって言われたから来たんだよ……」
「なるほどのぅ」
「納得!」
「わかったなら二人とも帰れ、ほらほら」
「嫌」「じゃ」
言葉を繋げた!?
こ、こいつら………
「まぁ、冗談はここまでにしておこうかの」
「え?冗談なの?」
ヴィーチェの言葉にウルリカが驚く………お前は本気だったんかい!
「……ヴィーチェ、改めてさっきの話の続きを頼む」
「うむ、よかろう」
ヴィーチェは少し距離を空けると、俺の方に向き直る
……ウルリカは俺の肩から降りると森の中に向かって駆け出して行く。
どうやら森の様子を見にひとっ走り行くとの事で、俺とヴィーチェとは違う方に向かっていった。
「さて《神器》について、じゃったの」
「ああ、頼む」
「そもそも《神器》とは…我等が住まうこの世界を創造した三柱神と呼ばれる絶大な力を持つ神々と同格の精霊王、そして配下の大精霊達…。世界創造に携わった《力ある存在》の《恩恵》、または《魂》を宿した器。それこそが《神器》と呼ばれる存在じゃ」
「………神々、精霊王、大精霊…《恩恵》と《魂》…か」
ヴィーチェから話を聞きながら森の探索を始めると彼女も後に続いて歩き始める。
…聞けば聞くほど内容がファンタジー だな…というか、ミューレ達の存在が既にファンタジーか……だってなぁ…
翼が生えてるもんなぁ………いや、嫌悪してる訳でも差別するつもりもないんだが…こう…なんかさ?彼女達に良く似合ってるのがまた眼を引く感じがして…可愛さもあるけど凛々しさがの方があるっていうか?……あ、ウルリカは凛々しくないけども。
「何じゃ、トーマ?そんなに見られるといくら妾といえども…照れるぞ」
「すまん…他意はないんだ。気を悪くしたなら申し訳無い」
ヴィーチェは俺の言葉を聞くと、途端に含み笑いをする…って、何故笑う?
「…くくっ…主は本当に面白い男じゃのぅ?我等、有翼種を見た人族は観賞用もしくは愛玩用にする為に捕らえたりする輩もいたり…我等の翼を切り取って他者に自慢する等の非道の限りを尽くす者も居るというのに…」
!!
「俺はそんなことしないっ!!」
「知っておるよ、トーマ殿。お主はそのような事をする者でないことぐらいは……あのミューレが、心から信頼しておるのじゃ、我らが『トゥール族』は口には出さずとも皆が信じておるよ。《異世界人》の九条冬麻は『トゥール族』を始めとする有翼種にも平等に接する心優しき《力ある存在》である、とな」
ヴィーチェはそう言いきると満面の笑顔を見せる……信頼、か。こんな見知らぬ俺なんかに………
ありがとう、ヴィーチェ、ミューレ、ウルリカ…
ありがとう、トゥール族のみんな…
………………
ごめんな義母さん、千鶴…もう少しだけ待っててもらっていいだろうか?
俺は……この人達に助けられた恩返しをしたいと思う。
それに、二人を捜す為に旅に出る時に備えて俺はこの世界をもっと知っておきたい。
この世界ではきっと『知らない』事は『命の危機』に繋がる事が多い筈だから……
「………………」
「………………のう、トーマよ」
「あ、あぁ…何だ?」
「今、妾が言うた非道な行いをする人族は一部じゃからの?」
………は?
「主はこの世界では他の人族とはまだ会っておらんよな?」
「………」
俺は黙って頷く………おいおい、まさか…?
「今のはそういった悪趣味な収集家も居る、という話じゃからな。と、いう事じゃ」
そうか……なるほど、なるほど……
「………おい、ヴィーチェ………」
「うむ!」
「俺の感動と決意を返せやぁぁぁぁぁ!!!」
「トーマは本当に良い男じゃなぁ♪凛々しくもあり可愛げもある、妾も本気で主を婿にしたくなったわ♪」
余りの自分自身の恥ずかしさに耐えられずヴィーチェに向かって全速力で走る
「待てやこんちきしょぉぉぉぉぉぉ!!」
「可愛いの~♪可愛いの~♪」
何!?メチャクチャ速いぞアイツ!?
って、あ!気の身体強化を使ってやがる!!なら、こっちも使わせてもらうぞ!
「…っ…すぅ……はぁ…」
走りながら呼吸を一息、整え…内側に眠る力の泉から必要な分だけを汲み上げて…身体に行き渡らせるイメージ……よし、これで!
準備万端!この1週間でモノにした対人用に調整した俺の制御力を見せてやる!
「~♪~♪……む?あれは……ほほぅ」
「年貢の納め時だ!ヴィー「ちょい待つのじゃ、トーマよ」ぐむぅ!?」
力を発動させようとする瞬間、視界が瞬時に暗転する。しかも息が出来ない!何が起こった!?
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