第2章『最強の居候は世間知らず』第1話~1週間が経ちました~
サブタイトルの表示方法を変更しました!
9月24日誤字修正しました!
今まで気付かなかった…(汗)
「トーマ!覚悟!」
拝啓 義母上様、義妹様
体調など崩されていませんでしょうか?
「ぐはっ!?」
「次は俺だ!行くぞ!」
見知らぬ世界に着いて、もう1週間……。
といっても、着いてからの3日間は気候の変化(そう思わないとやってられない)からかダウン(気絶ともいう)してしまい現地の方々に助けていただき九死に一生を得た次第です。
「ぐぉっ!?」
「埒があかん!まとめてかかれ!」
「「「おう!」」」
そして起きて早々、些細な事から誤解が始まりちょっとした(大地が一部、吹き飛んだくらいのレベル)トラブルを起こしてしまいましたが誤解は解けて彼とは今は仲良くしています(あの翌朝から姿は見てないけど)
「がはっ!?」
「…つ、強い…がくっ」
「俺たちの攻撃が…効かないなんて」
「ちくしょうっ…化け物か奴は!」
「いや、人間だってば」
…………うん、現実逃避するのも疲れてきたなぁ……
まぁ、トラブル(ゲイルとのやりとり)が終わってからのウルリカとミューレの求愛宣言(?)の最中にミューレ達の仲間達(どうやら狩りや偵察などの為に部族の殆どが出掛けていて、残っていたのがミューレとその護衛としてウルリカとゲイルの二人だったというわけらしい)が、吹き飛んだ大地や呆然としているゲイルを見た上でミューレ達に抱きつかれたりしていた俺を見て……どういうわけか、誘拐しようとしている犯罪者…と、決め付けて襲ってきたのだ。
……まぁ、襲ってきた連中はウルリカが(仲間なのに)叩き伏せてしまったが…
「やっぱりトーマは強いね!」
朝から始まり昼を過ぎた時点で約二十を超える数を撃退して、一段落を終えた俺の隣に寄り添うのは問題児の一人、ウルリカ=リッケルト。背は150前後で背中にはバサバサと小さめの白い翼をはためかせている(あ、コレ興奮してるな)
「…いや、ウルリカもかなり強いじゃないか」
「まあね!私は部族の中でも上から3番目に強いからね!一緒にしちゃダメだよ?」
「勿論、わかってるって」
俺は次の作業に取りかかるため、目的地に向かい歩き始めるとウルリカはすかさず飛び上がり俺に着地……強制肩車させられた……。
ちなみに俺の頭の上には柔らかいものが乗っている。……背に反比例してこっちが育っちまったんだろうな……
「ねぇ、トーマ?」
「ん?」
「興奮した?」
「確信犯かよ!?」
(したよ!こんちきしょう!少しだけな!少しだけだからな!)
「って、そうだ…ウルリカ」
「~♪なぁに?」
「ここの連中の中には、お前より強いのがあと二人もいるのか?」
口笛を吹きながら、ますます俺の頭に柔らかいものを押し付ける……心頭滅却、心頭滅却……。
「いるよ?一人はヴェル、ヴィーチェ=エルトリンデ。この間、会ったでしょ?」
「あぁ、あの悪女か…確かに強いな、あいつ……でも、ウルリカでも勝てないのか?」
むにゅむにゅ
…………わざとだな。心頭滅却……心頭滅却……俺は今、無の境地に居る……色即是空……色即是空……よし。
「無理。同じ『条件下』で文字通り殺し合うとしても……勝率3割弱?」
「……条件同じでそれか」
……俺が見た感じ、力量はそこまで差が無かったと思うんだが…何か切り札があるってことだよな、やっぱり……
「うん。ちなみに無条件で『本気』だと勝率は1割も無いね。」
「……そんなにか」
(ウルリカにそこまで言わせるとはね…)
まだ短い付き合いではあるがウルリカの性格上、誤魔化す事はしないタイプだと思う。故に潔く相手を認めるのだろう
「どう足掻いても、無理だろうね~。そういえばゲイルは上から数えて7番目に強いよ?なのに、トーマは圧勝しちゃったね!」
「ついでみたいに言うなよ…可哀想だろうが…」
上から数えて、か…確かミューレ達は百人ちょいくらいの少数部族だって前に言ってたな……ピンからキリだとしても、ゲイルは結構な強さだと思う。
「ちなみに私より強いもう一人はトーマだよ!やったね!」
俺かよ。
………
……………?
………………………何で部族内ランキングに俺が入ってるんだ!?
「ふふ♪ヴェルとトーマだとどっちが強いかなぁ♪」
「なぁ、俺はいつからウルリカと同じ部族になったんだ?」
「あ!ちなみにヴェルは有翼種族の中では不動の8年連続1位だから!」
俺の話、聞いてねえ。
………………
「って、部族どころか種族最強かよ!?しかも8年連続!?」
アホか!?有翼種族って大陸全域だと十万以上って聞いたぞ!その中の最強って、ピンからキリなんて関係なく桁違いじゃねぇか!?
「うん。年に一度、各地の有翼種族の代表が腕試しで最強の座をかけて闘うんだけどヴェルったら勝ち続けてるんだよね~」
「……間違いなく、正真正銘の化け物だな」
「でしょ?」
「何気に失礼じゃの貴様等?妾とてけして無傷で勝ち残ったわけではないのだぞ?」
「うおっ!?」
「ヴェル!?」
「うむ。」
いつの間にか俺の隣には短い金髪に紅の眼の顔立ちも整った美女…という第一印象を俺に与えた翼持ちの女が立っていた。
「ヴィーチェ…いつのまに」
(全然、気付かなかった…ウルリカは…)
「…………」(ガクガクブルブル)
(気付いてなかったな、こいつ…)
「……ちなみに、いつから居た?」
「悪女の~あたりからじゃの」
「ほぼ最初!?」
「うむ。」
…………流石は最強の一角、この距離まで気付かせないなんてとんでもないな……
「ちなみに妾もトーマの事が気になる一人じゃぞ?主自身もそうじゃが、主の師は何者じゃ?今日も連中からの襲撃を軽くいなしておったし。見ててつまらんよ、まったく。」
見てたのかよ…姿が見えない妙な視線は時々感じていたが、お前か!
「まぁ、何はともあれ妾が部族最強に違いは無いのぅ…じゃから、ミューレを嫁にするのは妾が許さんぞ?」
「許さんって…何でヴィーチェの許可が要るんだ?」
(いや、別に嫁にするって訳じゃないけど…一応、理由を聞いておこう)
「何を言うておる?ミューレは族長の娘にして《神の杖》の名を冠する《神器保持者》じゃぞ?守護するのは一族最強たる妾の役目に決まっておろう?」
「《神器》………」
義母さんが俺に渡したって言ってた中にも《神器》ってのがあったな…《神器》ってなんなんだ、いったい?