第1章『異世界来訪』第8話~力の片鱗~
「なぁあんた、確かゲイルだっけ?」
(なるほど…プラーナってのはこういうものなのか…『視る』と『感じる』ではやはり違うなぁ…つか、あの野郎…明らかにさっきの倍以上、気を練ってやがるな……)
「……」
冬麻の声に反応せず、集中を続けるゲイル。聞こえないわけではなく、敢えて無反応を決め込んでいるのだ。
「無視か……まぁ、いいけど」
(さて…こちとら使い方を覚えたのは気絶する前だからな…出力の調整に自信が全く無い!)
「…どうやって俺の技を防いだか知らんが、次は本気で行くぞ…覚悟は出来てるな?」
全身に満ち溢れる荒々しい気のゲイルに対し静かにゆらゆらと溢れ続ける波のような気の冬麻、そして二人を見守るミューレとウルリカ…
「ウル…どうしよう…」
「ミュー…私の直感になるけど多分、大丈夫。ゲイルには悪いけどお兄さんのあのプラーナ…全く引けをとらないよアレ……それに、なんだか私…」
「う、ウル…?」
「お兄さんのあの力、何だか……ゾクゾクする……」
「ウルーーーーッ!?」
「ッ!?」
(何か違うところから寒気が!?)
突如感じた異質な感覚に思わず硬直した瞬間
「『穿弾』!」
ドンッ!ドンッ!
「っ!?ちぃ!」
(気弾なら弾く!問題無い!)
ゲイルが放つ放出系戦技をひたすら弾き、敵に向かって冬麻はひたすら走り出す
「っぁぁぁぁ!!」
(立ち止まるな!この気弾、連射性が高いが威力は大したことは無い!それは奴もわかってるはず!だからこそ奴の狙いは…っ)
「『穿弾・礫』!『螺旋砲弾』!」
ドドドドドドッ!ズドォォォン!!
「っ!!」
(やはりか!撹乱と足止めを兼ねた数でモノをいわせてからの…強力な一撃!だけどな…)
「おぉぉぉぉぉっ!!!!」
(上空からのアレを思い出せ!気を集中して圧縮!但し、威力を低めで!)
「名付けるならば……」
キュイィィィィン……
「おぉぉぉぉ!『螺旋砲弾』ッ!」
「『圧縮砲弾』!!」
(あるんだよ!俺にも強力な一撃は!)
「な…………に……っ?」
冬麻の『圧縮砲弾』とゲイルの『螺旋砲弾』…衝突する二人の戦技は『螺旋砲弾』を音も無く呑み込む『圧縮砲弾』に軍配が上がりそのままゲイルを捕らえるものの、その頬を掠めて背後の大地を吹き飛ばす
「……螺旋撃を防いだ次は『螺旋砲弾』を消し去りやがった…だと?バカな……」
僅かな間を置いて、ゲイルは地面に崩れ落ちる
「「凄い……」」