序幕
ゲームで例えるなら、3話目はエンディング。
1,2話はその前の語られない話。不幸な結末です。
これは遥か遠い遠い、昔のお話。
世界は不安定な形をしていました。
定まらぬ形故か、世界は度々甚大な被害を齎す災害などが起こっていました。
怯えた人々は、世界を安定させる方法を創り出す事を考えました。
そして苦労の末、人々はその方法を見出したのです。
それによって世界は安定を作る事が出来ました。
たった一人の少女の命によって。
何故そんな事が出来たのか。
そのたった一人の少女には、世界を支えるだけの力が備わっていたのです。
大きな力を秘めて生まれてくる存在は、どの時代にも必ず現れていました。
それを知っていた昔の人々は、その命を使って世界を救う方法を作り出しました。
たった一人の少女の命を犠牲する事で、世界の人々が救われるのです。
始まりの少女は言いました。
――私一人の犠牲で皆が救われるのであれば、この命は惜しくありません
そのたった一人の少女の犠牲により、世界は救われました。
世界が安定した事に、皆が喜びました。
ですがその平穏は、そう長くは持ちませんでした。
十数年後。
再び世界は不安定になり始めたのです。
そして、変わることなく力持つ少女は生まれ続ける。
再び人は贄を捧げます。
ですが何度贄を捧げようとも同じ事の繰り返し。
後に人々は贄となるものに名を与えます。
それが『ヴァルドの巫女』。
創造と破壊を司る女神の名です。
大地の崩壊は女神の怒り。
その怒りを鎮めるための巫女。
ですがこの続く連鎖を知るものは皮肉を込めてこう呼びました。
『犠牲の巫女』。
幾度の生贄を捧げようとも終わる事のない連鎖。
何度力ある娘を捧げようとも、犠牲の連鎖は紡がれ続けるのです。
ある日、その方法に疑念を抱いた青年が現れます。
何故、定期的に一人の犠牲を払い続けながらこの世界を維持する方法が取られたのか。もっと違った方法が無かったのか。
青年は違う方法を見出そうと、新たに見出された巫女と共に新しい方法を捜し求めました。
そして苦労の末、彼は新しい方法を見出します。
ですが古い老人達は彼の言葉に耳を貸しませんでした。
少女の犠牲こそ唯一の方法。
そう言われながら、青年は牢獄に捉えられました。
巫女の死は絶対なのだ。
そう言われて、少女は命を散らしました。
その後、異議を唱えた青年は彼が見出した方法と共に闇に葬られることとなりました。
後に犠牲の巫女という名は隠匿され、少女が巡礼の旅をする決めごとが作られたのです。
巡礼の果てに、選ばれた少女が命を散らす。
そんな世界のお話です。
ジャンルで悩!!
故に『その他』分類で放り込んでみました。
三話目はまだ完成していないので、しばらく時間ください。