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オモイノ・シリーズ

オモイノタネ 6 上

作者: 風紙文

今回のお話は、上下二回に分けて投稿します。

そこまで長いわけではないのですが、作った時を再現するために分けさせていただきました。

次投稿の下を読む前にこちらをお読みください。

…またか。

俺達が昇っている階段、の更に上の階段を先生が上がっている。

手にはバケツを持って…。

そして、

「あ!」

先生が持っていたバケツが上から降ってきた。

別に手を振っていた訳でも、手すり以上の高さに上げて持っていた訳でもないのに、何でだろうな…。

そしてそれは必ず、俺の真上に落ちてきて、頭に当たる…。


ガン


…お?



バケツは、俺の横に落ちた。

「わぁゴメン! 大丈夫!?」

「は…はい。当たりませんでしたし…」

…珍しい事もあるもんだな。



「では、立候補する人は、手を挙げてください」

…とは言っても、挙げる人はいない。

なら…私が…。

でも私が挙げると…皆がざわつくはず。

珍しい事もあるんだな、的な感じでこちらを見るはず…。

…でも構わない、私がやりたいのだから。

「…はい。私やります」

……。

視線が集まるのを感じる。みんなきっと珍しいなと思って私を見ているんだ。

でも良いの、私だってクラスの…

「じゃあ、未來さんに決定で良いでしょうか?」

はーい

…え?

ざわつかない?

それどころか……認めてくれた?

…やったわ。

私も…クラスの一員になれたのね。



…暇だな。

アレからというもの、対した変化もない。

平和なのはいい事だが…何か起こらねぇかな。


それから数日経ったが…まぁ、起こらねぇはな…。



…おかしいですわ。

何故でしょう、行く度に休みで、偶然居た日にも私の横を通り過ぎるだけ。

何故ですの…? 何故気付いてくれませんの?



今この学校では、話題の物があります。

少し前は「発明の種」という物でしたが、今回は正式名がありません。形もストラップや

アクセサリー等様々で、皆お気に入りを付けています。

でも、私は持っていません。学校近くの公園で露店商が売っていたと聞きましたが、部活があるので行けません。

その後でも、出てるみたいですけど、何とか手に入れないと…。

とは思えないんですよ。

「発明の種」の時もそうでしたけど、何ででしょうか?

…ですが、話についていけないのはとても困っています。

でも、思えないんです。

…実は手に入れるの、他の皆さんとは違って私だけはですけど。

とても簡単に出来てしまうんです。

その理由は…。


「ただいま」

「おぅ、お帰り」

「今日も行くの?」

「あぁ、もう予約待ちさ」

「凄いね…」

「だから言ってるじゃねぇか、一つやるって」

「ううん。いいって、お客さんに渡してあげてよ」

「そっか…まぁ無理には言わないさ」

「いってらっしゃい、お兄ちゃん」

「あぁ、いってきます」

そう言って私と入れ違いで家を出て行った。

私の兄が、話題の品の制作者なんです。

どこからか手に入れた材料で様々な物を作って、試しに露店で売ったみたらそれが売れてしまって、今では毎日忙しそうです。

以前は大学を中退してからはアルバイト生活をして休む暇が無い程でしたが。

アレによって今は今で休む暇が無い程です。

どっちにしても休む暇はないんですけど、以前と比べたら、兄は元気になりました。

本当に……良かったです。



「…本当に、良かったです」

「ん? どうかしたの?」

「え!? い、いえ!? 何でも在りませんです。先輩」

「そう? 何か暗い顔してたような気がしたんだけど?」

「大丈夫です。ご心配おかけしました」

「そっか、じゃあ始めようか?」

「はい」

「あ! そうそう、ちょっとコレ見てよ!」

「?」

そう言った先輩が取り出した物は、

「あ…」

兄の作品でした。その中でも小さい物で、先輩の携帯についています。

「やっと買えたんだよー。いやー長く待った会はあったねー、結構カワイイし」

「はい…とってもカワイイですね」

「本当はさ、先輩に見せたかったんだけど…」

「……」

私の入っている部活には2人の先輩がいるのですが、今日一人は学校を休んでいました。

「はぁ…まぁ、悔やんでも仕方ないよね。今日はたまたまかもしれないし」

「きっとそうですよ」

「よーし、そうと決めたら今日も頑張るぞー!」

「はい、頑張りましょう」


やっぱり、先輩は凄いです。

いつもより調子が良いようで、このままなら新記録です。

私は手に持ったタイマーを見ながらそう思っていた。


その時だった。


ガシャン


え…?


バタン! ガシャガシャン!


「先輩!」

ハードルに足をひっかけて先輩は前のめりに倒れ、その上に倒れたハードルが乗っかってきました。

私は先輩に駆け寄りました。上に乗ったハードルを除け、

「先輩! 大丈夫ですか!?」

「あ、いたた…うん。大丈夫だよ」

「先輩…良かった…」

「うーん…完璧だった筈なのになー」

「このままだったら新記録でしたよ」

私はタイマーを止めました。

「うん。私もそう思ったんだけどさ…何でかな?」

先輩が立ち上がりました。


チャリ


その時、先輩のズボンのポケットから、

「…先輩。ソレは…」

「あぁ、コレ?」

ソレはやはり兄の作品で、携帯についていた物より少し大きめのお守りタイプの物でした。

「お守りと思ってもう一個買ってたんだけど…うーん、効き目が無かったな」

「……」

「ん? どうかしたの?」

「い、いえ…何でも…ないです」

…やっぱりだ。

最近の出来事には全て、兄の作品が関わってるんだ。

「……それ、詳しく聞かせてもらえるかな?」

その時、声を聞きました。振り返って見ると、いつだったか、お会いした女の人が立っていました。

「あ! 恵里ちゃんじゃん!」

「え? 先輩、ご存知なんですか?」

恵里さんとおっしゃるんですか。

「うん。前にちょっとね…その時に会ってると思うけど?」

そう言われて思い出してみると、

確かに……あれ?

「…先輩…その時…いらっしゃいましたっけ?」

「あ! え、えっと…その…」

確かその時、先輩は風邪で休んでいた筈だった気がしますけど?

「と、とにかく恵里ちゃん。久しぶりだねー」

「……うん、久しぶり」

恵里さんが近づいてきて、

「……でも、用があるのは…貴女の方」

「わ、私ですか?」

「そう…貴女…名前は?」

「ま、真菜です…桐川真菜」

「……貴女の思った事は、本当なの?」

「は、はい…おそらく」

最近になり、さまざまなことが起こっていた。内容は全部違うけど、共通して、思ったと売りにならなかったこと。そして、兄の作品を買ったすぐ後のことだと。

「……その売っている場所はどこ?」

「ここから暫く行った所にある公園だよ」

「……ありがとう」

「ねぇ、ビーケちゃんも元気してる?」

「……」

恵里さんは手に持っていた箱の上面をこちらに向けた。

「ちゃん付けは止めてって言ったじゃないの」

「!!」

は…箱が喋りました!?

「ゴメンね、ビーケ」

「たく…一度で覚えなさいよね」

先輩は平然と箱と話しています。本当に恵里さんのこと知っているんですね。

「ビーケ…話は終わり」

「分かってるわよ、直ぐに場所を見つけて…」

「ねぇ恵里ちゃん、良かったら私が案内するよ?」

先輩は挙手して言いました。

「……どうする?」

「してくれるっていうなら甘えておきなさいよ。アタシも楽できるし」

「……じゃあ。お願いしても、いい?」

「任せて、直ぐに…痛っ」

先輩はその場に膝をついた。

「先輩! やはり足が…」

「いや、これくらいなんとも…痛てて…」

「……貴女は休んでて」

そう言った恵里さんは、」私の方に近づいて来て、

「…案内頼める?」

と、尋ねてきました。

「は、はい…分かります」

「じゃあ……一緒に来て」


基本的にどこから読んでも理解できるオモイノタネですが、今回は二部構成です。

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