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木枯らしの頃⑤(完)

本書はフィクションです。実在の人物・団体・省庁とは一切関係ありません。また、執筆にあたり複数の公務員の取材や架空のエピソードを組み合わせて構成しています。


ご覧いただきありがとうございます。

本作は、実話をもとに再構成した「叩き上げ公務員」の半生を描くサクセスストーリーです。

学歴もコネもなく、定時制高校からスタートした主人公。

決して順風満帆ではなかった彼が、どのような葛藤や壁を乗り越え、霞ヶ関の本省、そして幹部へと駆け上がっていったのか。

実際の官僚機構や他省庁でのリアルな泥臭さ、そして人生後半での新たな挑戦までを丁寧に描いていきます。

働くすべての人、そして逆境から這い上がりたい人に届く作品になれば幸いです。

ぜひ最後までお付き合いください!

来春の新たな進路(転入試験)という道筋が見えたことで、浩一はどこかホッとした心地で、今の全日制高校生として最後となる年末のアルバイトに打ち込むことができていた。


スーパーマーケットでの仕事は、品薄になった商品をバックヤードから運んで棚に陳列するほか、レジに行列ができると「サッカー(Sacker)」として会計の横に入り、精算済みの商品を手際よく袋に詰める作業など多岐にわたった。


懸命に働くうちに日は瞬く間に過ぎ、7日間の契約最終日である大晦日を迎えた。

仕事を終えると、その場でアルバイト代が現金で支給された。

ずっしりとした封筒の重みを感じながら、浩一は使い道を思い描く。当面の自分の小遣いと、妹へのささやかなお年玉。そして——。

(春からの定時制高校の生活を考えると、原付の免許を取っておくのもええかもしれんな……。そうすれば移動範囲も広がるし、できるアルバイトの選択肢も増えるはずや)


厳しい現実を受け止めつつも、すでに浩一の思考は「これからどう生きるか」という未来の対策へと向いていた。

それにしても、今年は怒涛のように目まぐるしい1年間だった。

志望校を受験できなかった春、中学の卒業、I高校への入学、未練を残したままの野球の断念。そして夏休みのバイト、あの大学生3人組——敦っちゃん、吉田さん、望月さんとの出会いと別れ。さらには家庭の事情による、新たな進路の模索。


15歳の肩にはあまりにも重い出来事の連続だったが、決して悪いことばかりではなかった。

芝田や桐通、瓜生といった一生の仲間と出会えたこと。

そしてあの大学生たちとの出会いを通して、同年代の仲間といるだけでは知ることの出来なかった「少しだけ大人の世界」に触れ、視野を広げることが出来たこと。


時計の針が刻一刻と進み、今年も残すところあと数時間となった。

澄み渡る大晦日の夜空を見上げながら、浩一は静かに思いを馳せる。

(……来年は、どんな出来事が俺を待っとるんやろか)

冷たい木枯らしが吹き抜ける街のなかで、浩一は確かな一歩を踏み出す準備を整えていた。

ご覧いただきありがとうございました!

激動の1年を締めくくる大晦日。手渡されたバイト代の重みを感じながら、妹へのお年玉や春からの準備に思いを巡らせる浩一の姿に、静かな感動が広がります。

『追走の秋』での切ない恋の決着から始まり、家庭の事情という現実の壁に挑み続けた『木枯らしの頃』。冷たい風が吹き荒れる季節の中でも、浩一の胸の中には温かい出会いと確かな希望が灯り続けていました。

人生の岐路に立ち、自力で新たな道を切り拓いた浩一の物語が、皆様の心に少しでも残れば幸いです。


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