表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

クズ元彼をぶっ飛ばした夜

作者: れっど
掲載日:2026/07/20

私は合気道サークルで先輩の彼氏と出会った。

名前は拓也。明るくて、笑顔が爽やかで、技をかけ合うたびに「上手くなったな」と褒めてくれる。最初は先輩の彼氏として意識していただけだったのに、いつしか私の気持ちは彼に向かっていた。別れ話のあと、拓也は私を選んだ。浮気相手の先輩とはもう終わったと言って。

でも、結局あいつは最低だった。

付き合って数ヶ月で、別の女の子の存在が発覚した。LINEの通知、夜遅くの電話、怪しい匂い。問い詰めると「ごめん、俺、自由でいたいんだ」と平然と言い放った。あの瞬間、心が粉々に砕けた。好きだったのに。楽しかったデート、二人で稽古後に食べたラーメン、夜の公園で交わした甘い言葉……全部、嘘みたいに感じた。

それから数週間。友達の噂で耳に入ってきた。

「拓也、また新しい子に手出してるらしいよ」「合気道の後輩だけじゃなくて、外部の女の子にも声かけてるって」「最低だよね、あいつ」

吐き気がした。許せない。でも、私はもう関わりたくなかった。

そんなある日、高校生の妹・あかりが元気がないことに気づいた。

「どうしたの? 学校で何かあった?」

あかりは唇を噛んで、なかなか答えてくれない。夜、部屋で泣きながらようやく口を開いた。

「おねーちゃんの……元彼から、会おうって誘われて……。カッコいいし、ちょっとだけって思ってデートに行っちゃったの。でも、そのまま……連れて行かれて、乱暴されて……」

言葉を聞きながら、私の視界が真っ赤になった。

妹に手を出しやがって。

あかりはまだ高校生だ。震える肩を抱きしめながら、私は静かに誓った。

「私が何とかするから。見ていて」

その夜、私は拓也に電話をかけた。

「拓也? 久しぶり……。実は、伝えたいことがあるんだ」

声はわざと甘く、柔らかく。電話の向こうで奴は少し驚いた様子だったが、すぐにいつもの軽い調子で応じてきた。

「へえ、俺にまだ未練あんの?」

「うん……ちょっと、話したいの。夜10時に、いつもの公園でいい?」

「わかった。楽しみにしてるよ」

電話を切った瞬間、甘い仮面は剥がれ落ちた。握ったスマホが震えるほど、私は怒りに燃えていた。

「おねーちゃん、どうするの……?」

心配そうにあかりが聞いてくる。私は微笑んだ。

「あいつを、ボコボコにやっつける。見ていて」

夜10時。公園の街灯の下に、拓也の姿があった。相変わらずの爽やかな笑顔。

「よお、久しぶり。なんか用事ってなんだよ?」

私はゆっくり近づき、真正面から見据えた。

「あんた、妹に手を出したよね?」

一瞬、拓也の表情が凍りついた。

「はぁ? 何言ってんだよ。お前、頭おかしくなった?」

「許さないから!」

私は迷わず飛び込んだ。合気道の技を全力で。最初は拓也もサークルで鍛えていただけあって、受け流して反撃してきた。腹に拳が入り、地面に転がされる。口の中に血の味が広がった。

「これだから女は。弱いくせに生意気なんだよ」

拓也が嘲笑いながら近づいてくる。私はフラフラしながら立ち上がった。もう一発、強烈な蹴りが腹に炸裂し、息が詰まる。負けそうだった。

その瞬間——。

「とりゃあっ!」

後ろからあかりが飛び出して、拓也の後頭部に頭突きを叩き込んだ。

「うわぁっ!?」

拓也がよろめいた。今だ!

私は渾身の力を込めて、奴の大事なところを思いっきり蹴り上げた。

「ぎゃぁぁぁぁっ!!」

拓也の絶叫が公園に響く。崩れ落ちる体に、顔面に全力のパンチを叩き込んだ。鼻血が飛び、奴は地面を転がる。

さらに私は背後から腕を絡め、締め技を極めた。合気道で何度も練習した、容赦ない一本。

「ひぎゃぁぁぁ……! 助けてぇぇぇ!」

「絶対にあんただけは許さない!」

私は力を緩めなかった。拓也の体が痙攣し、目が白目を剥き、ついに失神してぐったりと倒れた。

「……参ったか、クズ男」

私は息を荒げながら立ち上がった。楽しかった思い出も、好きだった気持ちも、全てこの瞬間に捨てられた。後悔はない。

あかりが駆け寄ってきて、私に抱きついた。

「おねーちゃん……ありがとう……」

「うん。大丈夫だよ」

私たちは強く抱き合った。涙が混じり合った。

その後、拓也は大学を退学したらしい。噂では「原因不明の怪我」で入院し、警察沙汰にもならなかったが、サークルにも顔を出せなくなり、どこかへ消えたという。

私は妹の手を握りながら、夜の公園を後にした。

最低な元彼をぶっ飛ばした夜——私たち姉妹は、ようやく胸を張って前を向けた。

この話は、身近な人を傷つけられたときの「絶対に許せない」という怒りと、姉妹の絆を描きました。

現実では暴力は解決策になりませんが、理不尽な目に遭ったときに心の中で「やり返したい」と願う気持ちは、誰しも抱くものだと思います。

だからこそ、今回は思う存分、姉が妹を守る痛快な復讐劇にしました。

読んで少しでもスカッとしたり、誰かを守りたいという気持ちが強くなったら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ