あーかい部! 〜部室棟 乙女の干物 集まりて 怠惰を極め 綴るは実績 電子の海へ あゝあーかい部〜 11話 ハニー
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
「……、」
この日、あさぎでもきはだでもひいろでもない生徒が1人、部室でソワソワしていた。
「……久しぶりに来ると、なんだか緊張しますね。」
このソワソワしている生徒は、池図女学院2年、鶸田みどりである。
ちなみに最近彼女ができた。
「ちゃおっすみどり先輩。」
部室のドアを開けて入ってきたのはきはだであった。
「こんにちは♪なんだか、お久しぶりですね……///」
「毎日来てくれても良いんだよぉ?」
「それは、流石に悪いので……。」
「本当は?」
「1秒でも長くひいろさんとイチャつきたい……ッ!」
「ほうほうほう。」
「はっ!?///」
みどり先輩は両手を頬に添え顔を赤らめた。
「す、すみませんとんだ粗相を……!?」
「いいのいいの。2人の関係を応援してた身としては寧ろご褒美さ。」
「きはださん……ッ!」
「それはそうとみどり先輩、今日は愛しのハニーが一緒じゃないみたいだねぇ。」
「2人で来たらところ構わずイチャついてしまうかと思ったので、ひいろさんにはお家でステイしてもらってます!」
「みどり先輩の?」
「『自宅で』です……!///」
「それでみどり先輩は何をしに?わたしに会いに来てくれたならめっっちゃもてなすが?」
「今日はご挨拶に参りました!」
「挨拶?」
「そういえばまだ正式にご報告をしていなかったなぁ……と///」
「今さらでしょ〜、みんな知ってるもん。」
「そ、それはそうなんですが……!」
「んなの良いって良いって〜。お菓子出すから懐柔されよ?」
きはだはカバンから駄菓子の詰め合わせを取り出した。
「そ、そんな……!?悪いで
「はい、あーん。」
「はむっ。」
「はいもぐもぐして〜?」
「〜///」
みどり先輩はほっぺいっぱいに駄菓子を頬張ると、顔を真っ赤にして咀嚼した。
「……ごくん。」
「おいし?」
「はい……///」
「じゃあ次
「ままま、待ってください!?///」
「どしたん?」
「その、ひいろさん以外の方に『あーん』されるのは……なんだか背徳感が///」
「それもそっかぁ〜。」
きはだは手に持っていたみどり先輩の食べかけの駄菓子を自身の口元へ運んだ。
「間接キスもダメでふっ!?///」
みどり先輩はきはだが咥えるよりも早く、食べかけの駄菓子に齧り付いて回収した。
「わ〜お大胆。」
「〜///」
「でもまた『あーん』しちゃったねぇ?」
「……!?///」
「にゃはは、冗談さぁ。さあさあたーんと食べるがいい……!」
「そ、そうはいきません……!」
みどり先輩はカバンから大袋入りのマドレーヌを取り出した。
「な、なにぃ!?ちょっと良さげなスイーツだとぉ……!?」
「私だってもう、お世話されるだけじゃないんです……!」
みどり先輩はひいろとお付き合いする前、色々と相談に乗ってもらっていたりしたのできはだを恩人と認識している。
「名実ともにひいろさんの1番であるために……きはださん。今日であなたを超えさせてもらいますっ!」
みどり先輩はバリッという軽快な音を立てて、マドレーヌの袋を開封した。
「なんて大胆な……!?よいだろう、見せてもらおうじゃあないか。みどり先輩の正妻力とやらをねぇ……!」
「望むところです……ッ!」
みどり先輩はきはだにマドレーヌを1つ差し出すと、蓋を開けて中身を少し出したウェットティッシュを添えた。
「こ、これは……!油ぎった手で容器を触るのが申し訳ないと言う相手の遠慮を取り払うちょい出し……!?なんという配慮だ……。」
「さあ……、
みどり先輩もマドレーヌを1つ手に取ると、個包装の袋を開けて自身も食べる意思を表示すると、
「まさか……、
「召し上がれ……?」
きはだより先に一口マドレーヌをいただいた。
「なにぃ!?相手より先に食べるのは一見無礼に思えるが、その無礼という心理故になかなか手を出せない相手の礼節を逆手に取ってまたまた遠慮を払拭しただとぉ……!?」
「きはださんの好きな『ハニーレモン』味ですよ♪」
「ぐああああ!?相手の好みをリサーチ済みであることを公言……!こやつ、できる……ッ!?……はむっ。」
「「うまぁ……♪」」
きはだとみどり先輩はマドレーヌを賞味し一息ついた。
「〜♪」
きはだがなにやらカバンから取り出したかと思うと、取り出した水筒からまたまた持参していた紙コップにホットなお茶を2人分注いだ。
「しまった……!?」
きはだは紙コップからみどり先輩に目線を上げると、ニヤリと口角を上げて笑みを浮かべた。
「……甘いねぇ?まるでハニーレモン味のマドレーヌの様に。」
「くっ……!」
「ウェットティッシュの配慮に、相手の好みをリサーチした完璧なチョイスのスイーツ……。でも菓子パはそれだけじゃあ終わらない……♪」
きはだは湯気の立ちこめるお茶の入った紙コップをみどり先輩の元へとスライドさせた。
「『お菓子』のチョイスでは完敗だよみどり先輩……。でも、『菓子パ』は私の勝ちみたいだねぇ……♪さっぱりとした後味の昆布茶を召し上がりな?」
「そんな……ごめんなさいひいろさん……。」
みどり先輩は震える手で紙コップに手を伸ばし、
(私、きはださんを超えられなかった……!)
ぎゅっと目を瞑ってあったか〜い昆布茶を流し込んだ。
「美味しい……。」
「にゃーっはっはっはー!食後の余韻も楽しんでこその『菓子パ』、なかなかやるようにはなったけど……きはだちゃんには及ばぬようだねぇみどりちゃん。」
「……。」
みどり先輩が己の敗北を悟り視線を落とすと、さっきまで食べていたマドレーヌの個包装の袋やらウェットティッシュのゴミやらがいつの間にか小サイズのレジ袋にまとめられていた。
「私の……負けです……。」
みどり先輩はサレンダーした。
WINNER きはだ
「……んじゃ、食べよ食べよ?」
「はい♪」
ふたりが菓子を貪っていると、
「あ〜!みどりちゃん久しぶり!」
「みどり先輩久しぶりですね。」
あさぎと白ちゃんが合流し、ぼちぼち菓子パが繰り広げられた……。
あーかい部!(4)
きはだ:投稿完了っ
ひいろ:今日はありがとな
白ちゃん:なあにひいろちゃん?すっかりみどりちゃんの保護者じゃない
あさぎ:夜は受けの癖に
ひいろ:それは関係ないだろ!?
きはだ:みどり先輩も喜んでおられたぞ
ひいろ:そりゃどうも
きはだ:ただ、ちょぉ〜っと菓子パの心得が及ばなかったようだねえ?
ひいろ:完敗って言ってたけどなんの勝負だったんだ……?
きはだ:菓子パ
白ちゃん:菓子パね
あさぎ:菓子パかな
ひいろ:そ、そうか……
ひいろ:きはだハニーレモン味好きだったんだな
きはだ:ハチミツだあいすき
白ちゃん:これはハニー泥棒に気をつけろという暗喩かしら……?
あさぎ:『ハニー』って愛しい人って意味もあったなあ
ひいろ:は……?
きはだ:趣味はハニーハントです
あさぎ:ハニーハントの意味が変わるなあ
ひいろ:おいまさか
ひいろ:嘘だよな
ひいろ:きはだ?
きはだ:必死すぎて草ァ!
ひいろ:必死にもなるだろ
白ちゃん:やだ情熱的
きはだ:みどり先輩って良い子だよねぇ
あさぎ:煽るなあ
ひいろ:甘いなきはだハチミツのように
ひいろ:みどり先輩はたまに見せる悪い子な一面が真髄なんだ
きはだ:こりゃ敵わんわ
あさぎ:活字で残すとイタいぞー
ひいろ:うるさいなあ!?
白ちゃん:わかる、わかるわひいろちゃん
白ちゃん:人は消したい過去の数だけ厚みのある大人になるのよ……
きはだ:何言ってるかわかんないけどみどり先輩寝取ったら教頭先生に処されるのでやらぬ
あさぎ:あー……
ひいろ:おばさんはそこまでしないだろう
白ちゃん:するのよ
あさぎ:するなあ
きはだ:命は惜しい
ひいろ:えぇぇ……




