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1000通りの計画  作者: Terran
外伝 絶対帝政計画 2
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黒の英雄



[377]

 私は現在、天楼島を攻略したゾアンの眼を通して最奥部から回収させた戦利品を拠点まで持ち帰らせてから確認している。

 記録を読み取り、ソレが想定以上の成果であると知ると万全を期して準備を整えた。


 ソレは、私の追い求めていた目的を達するに足るだけの価値を持っている可能性が高い。

 もしまともな生理活動をしていたなら、この時ばかりは動悸の高鳴りを抑えられていなかったかも知れない。

 この件ばかりは私の責任の下に単独で対応するとしよう。



◇◆◇



 昏い昏い、無の支配する底から浮上する意識。


「お目覚めになられましたか」


 気が付けばくっきりとした青空の下で仰向けに倒れていた。


「…ここは何処だ。いや、この感覚。クソ…。今はいつだ?」

「ここは私の創った異境。今は新暦や六神暦と呼ばれる年代の1343年にあたります」


 起き上がり辺りを見渡す。

 仰向けに寝転がっていた草むらからは、僅かな湿り気と土と草の匂い、遠くには林や丘が観える。


「そうか、知らない暦だな。ついでにいくつか質問させろ」

「はい」


 明らかに異常事態だが、目醒めたばかりではっきりしない意識を体内の精気(プラーナ)を使って無理やりに起こす。

 そして先程から目の前で浮遊する謎の少女へと問い掛ける。


「お前は何者だ」

「それは人と状況によって異なります。この状況ですと、女神と呼ばれることが多いですね」


 女神と名乗ったこの世のモノとは思えない悍ましい程の圧を秘めた美貌の少女は、その風貌の通りに完璧な微笑みで返答する。


 神か、そう言われても納得できる。

 【暴肖の魔眼】で確認するまでもない。

 こんな荒れ狂った混沌の魔素を塊にした様な化け物が人間の訳が無い。

 思わず震えそうになる肉体を精気で強引に鎮める。


「女神、ねえ。それで、何故俺は目覚めた?」

「私が再誕させました」


 サイタン、再誕…?

 ああそうか、俺はもう死んでいたんだったか。


「再誕?復活とか蘇生、ではないのか…」

「はい。私にできるのは生まれ直しまで。蘇生は含まれません」


 生まれ直しと復活の明確な違いなど分からないが、わざわざ分けて言っている以上別物なんだろう。


「……。それで、こんな爺に何を望む?」

「今は何も」


 自分で言ってて何だが、俺の外見年齢的は実年齢と一致していない。

 多少は衰えたが、精気を常に巡らせている関係で四十路前でも通じるくらいの肉体をしている。

 観察した手の甲の肌艶から、死の前の記憶の通りの外見であると確信していた。


「は。何も望まないのに無償で生まれ直しとやらを施したのか…?」

「いいえ、既にあなたを生まれ直させる過程で識りたいことは知れました。ですので、今はもう望むことはありません」


 何を言っているのか分からない。

 いや、神を自称するような存在の精神など理解したいとも思わないが。

 それでも命の対価を取らないなど有り得ない話である事くらい承知している。

 先程から魔力や氣功に精気といった力で探っているが、まるで通じた様子の無い目の前の化け物の言い分など全く信用できない。


「ふん、随分勝手な女神も居たものだな。いや、人の命を弄ぶなら悪魔や死神の類か」

「なるほど、これは驚きました。あなたは私に悪感情を抱けるのですね」


 驚いた様な表情や口調とは裏腹に、これっぽっちも感情の揺らぎは感じ取れない。

 反応からして、意外ではあるが取り立てて問題になる事柄でもない、といった所か。


「どういう意味だ。それじゃまるで誰からも悪意を向けられないのが当たり前みたいな言い草だが」

「ええ、この世界(エリュダイト)に属する人類が私に対して悪意を抱くことはありません。ごく一部の例外を除いて」


 エリュダイト。

 それを聞いてどうしようもなく気落ちしそうになるがぐっと堪えてなるべく平静に努める。


「…その例外とは?」

「異世界人。より正確には異界の概念が色濃い者やその系譜と混ざり物です」


 異世界人と区別するという事は、そういった者達との関連性があるということだろう。

 安易に信用できないし胡散臭い存在だが、今までの問答でも嘘を言われているという印象は無いので、少なくとも会話は成立すると見ても良さそうだ。


「は。それなら確かに俺は例外だな」

「では、あなたは異世界からの漂着者なのですね」


 漂着か。

 確かに見ようによってはそう言えなくもない。

 だが決定的に違うと断言出来る。


「それはどうかな。俺の記録を観たんだろ?

俺は漂流してきたというより、無理やりこの世界へ落とされた異分子とか稀人と言ったほうが近い」


 俺の身の上を知るエリュダイトの神々であれば、俺のことを稀人と呼ぶ筈である。

 となるとこの自称神とやらは、俺の知る神々とは別口の亜神に近い存在なのだろうか。


「なら私と似た者同士ですね。そういう経緯を持つ者を今は転移者と呼んでいるみたいですよ」

「そうなのか。で、お前が来たのはいつ頃だ?」


 これはカマかけだ。

 エリュダイトの神々ではないという俺の推測が正しければ、この自称神は外から降り立った異神という事になる。


「正確には分かりませんが、今のこの私が始まったのは約13年前になります」

「それが本当ならまあ、そうだな。こんな状態になって何の収穫も無かったという訳でもないか…」


 嘘は無さそうだ。

 それにこの自称神の15歳以下に見える姿と年齢的にも合致する。

 もし全て本当だとした場合、もしかしたら俺の目的の手掛かりになるのではないか?

 依然として得体は知れないが、その辺りを探ってみるべきだろう。

 よく考えたら俺にとっては相手が神だろうが悪魔だろうが大して関係は無い。

 それに失って困る物など、もう何も無いのだから。


「まだ、還りたいとお望みなのですね」

「ああそうだとも。故郷がどうとか、家族がどうとか、もうそういう次元の話じゃない。今更帰還した所でもう俺の知る世界でも時代で無くても、それでどんな結果になるとか、そんな事はもう些細なことだ。

帰る、それだけが俺の望みだ。俺はこの世界の人間ではないという感覚だけが、俺の確かな存在証明ってことなんだよ」


 ただ生きるのに必死だった頃はホームシックにもなったが、精神をエリュダイトに馴染ませなくては生きる事すらまともに出来なかったのだ。

 いつしか故郷を忘れて、その埋め合わせる様にひたすら力を求めて、俺はいつしか誰よりもエリュダイトに染まっていた。


「なるほど、その衝動を燃料にして生き抜いてきたのですね」

「ああ。帰ったあとどうするとかは帰る目処が立ったら考えればいい、何なら帰った後で考えてもいい。手段そのものを目的にしているのは解っているさ。

だがな、俺の…再誕だったか、再び生まれてまで果たしたい未練なんざ、とどのつまりそれくらいしかない。爺になるまでこの世界で生きて抜いて、暮らして、人間らしいことも、らしくないことも、やれることは何でもやった。だからもう、生前やれなかったのは帰還する事だけなんだ。だからな…。

纏まってなくてすまんな。言ってる意味、解るか?」


 思い浮かぶのは心を許した仲間達の顔、旅先で出会った親切な人々、そして妻となった愛する者と子供達。

 だが、俺は決定的に異分子だった。

 得た物以上に喪う物が多かった。

 だから、もう誰とも深く関わらずに一人で生きると決めた。

 俺は、この世界に居場所を求めるべきではなかった。

 幸せを求めるべきではなかった。

 最初から、ここは居るべき世界ではなかったのだ。


「ええ、とても。きっと同じ転移者にしか理解できない概念であることも」

「…くくくくっ、ははははははは!!!

そうか、そうか。そうだよな、転移者同士だもんなあ!

そりゃ解るか、解るよな!ぷくくくははははははははははっ!!

は。全く何だってんだ。死んでからが本番とは、これは俺にも予想出来なかった。くくははははははっ!」


 ふと、どうやら勘違いをしていたのは俺の方だったのだと確信した。

 運命とは斯くも皮肉な物なのか。

 この自称神にとって俺がどうとか、そういう視点ではなかった。


「ええ、ええ。よくがんばりましたね。ずっと一人でがんばってきて、とても偉いです。

私から今のあなたに望むものはありませんが、あなたの話なら聞いてあげられます。あなたの望みも聞いてあげられます」


 俺に、この自称神が必要だったのだ。

 これは、そういう巡り合わせだったのだと確信した。

 それに気が付いて、今度こそ憑き物が落ちた。


「くくくっ、うっくっ。

何だよ、本当にお前が女神だろうが悪魔だろうが死神だろうが、そんなことはどうでもいい!!

お前なら、俺の望みを叶えられるのか…?」


 ならば迷いは要らない。

 俺の欲しい物を差し出せるのなら、この自称神に縋るくらい何でもない。

 俺は死人だ。もはや亡者だ。

 引き返す道なんて無いのだから、くだらないプライドも無駄な慎重さもまとめて捨ててしまおう。


「ええ、きっと叶えられます。手段を問わなければすぐにでも。手段を選ぶなら、そうですね。少し時間がかかります」

「ああそうかい。くくはははは!はァ、まあいいや。こうなれば嘘でもまやかしでも構いやしない。

だがな、俺は何の対価も無しに欲しい物を強請る奴が大嫌いなんだ。

だから、お前の望みも俺が叶えてやろう。その代わり俺の望みを必ず叶えると誓ってくれ」


 要らないと言われても構わない。

 これは俺が俺に課した戒めだ。

 自分に代償を課して目的に到達する為の薪にして焚べる。

 この宣言はそういう利己的な儀式だ。


「それはとても興味深い取引ですね。ええ、元より与えるつもりでしたから断る理由はありません。公平に、お互いの望むものを与え合いましょう」

「それが真実なら俺としては有り難い話だな。

ああ、そうだ。契約成立させるなら互いの血で交わさない契約はしない主義なんだが構わないか?」


 血の誓約を交わせば万が一違えた場合のリスクが跳ね上がる。

 これは俺の為の儀式。

 俺の自己満足に無理やり巻き込むのが悪いとか、そういう気持ちは一切合切無視する。

 俺を勝手に蘇らせたんだ、神を名乗るなら責任を取れ。


「大丈夫かしら。この身体に流れる血は少し濃いですよ」

「は。俺なら大丈夫だ。魔王や神とだって契約を結べたからな」


 はは、この自称神の血なら強力なギアスが働きそうだ。

 いいね、それでいい。


「なるほど、実に素晴らしいです。

ところで、再び人生を歩む上で年齢や新しい名前はどうしますか」

「ほう、若返らせてくれるのか。なら転移してきた年齢と同じ20歳だ。名前は適当に決めてくれ。一応この世界で名乗ってきた名前は複数あるが、どれも有名になり過ぎてな。下手に名乗って関係を勘繰られても困るだろ」


 素晴らしい、か。

 何て笑みを浮かべやがる。

 まあそいつはお互い様か。


「その黒髪黒目だと、オーワの民に近しい名前がいいのかしら」

「ああいや、オーワ系はやめた方がいいだろう。容姿が近いから昔色々と世話になってな、関係性がかなり深いから記録が残っでると厄介だ…。

そうだな、呼びやすく『ヘイ』とか『ハン』とかその辺でいい」


 『サイ』も『イツキ』も『タケル』も全て死人だ。

 胡流院の血は途絶えていないかも知れない以上、オーワとの接触は出来るだけ避けた方がいい。

 黒髪黒目でも違和感ない名前でオーワとの関連性を疑られないとなると、前世の隣国系の名前が丁度いいだろう。


「ではハン。年齢は20歳、希望は元の世界へ還ることでよろしいですね」

「ああそれで構わない。が、どうせなら『換骨奪胎』もオマケしてくれると有り難いな。昔自力でやろうと思って調べたんだが、どうもやり方が分からなくて断念した。

人を丸々造れるお前なら簡単に出来るんじゃないのか」


 魔力の他に氣功(オーラ)精気(プラーナ)といった前世のフィクションで知っていた様々な要素を試して技術を身に付けたが、『換骨奪胎』だけは実現出来なかった。

 俺に医学知識が無かったのもあるが、この自称神なら可能では無いだろうか。


「認識の擦り合わせのために、どういった概念か具体的に伺ってもよろしいですか」

「ああそうだな。簡単に言うと、内功や外功、新陳代謝や心肺機能やら運動機能、五感の反応を鋭くしたり、要するにあれだ。人体を武功に最適化して作り替える、と言えば分かるか?

俺の知ってる限りだと、貯まった不要な老廃物なんかを全部ひり出して骨や筋肉を粉砕して再生させたり、かなり無茶して作り替えてたが」


 もし可能なら、骨格からして組み立て直せる。

 別人とまでは行かなくても、容姿の雰囲気は変えられるだろう。

 姿を変えるだけなら整形でもいいが、どうせならこの機会にパワーアップも兼ねている換骨奪胎を実現させたい。


「なるほど、一代限りの進化や品種改良を強制的に引き起こすのですね。概ね理解しました」

「そういう言われ方をすると何だかSFに聞こえるんだが。お前の前世は科学者かなんかなのか?」


 会話を重ねて行くに従って、この自称神の人間味の無さは超常の存在だからというより、元からこういう性格の人間だったのではないかという印象を受けた。


「ええ、そうですね」

「もしかしてこの再誕とやらも、遺伝子とかの技術が進んで過去の人間の蘇生すら可能なレベルの科学技術だったからなのか」


 科学とか正直一般常識の範囲しか分からない、それも自分の体感時間で80年も前の記憶でしかないが。

 もしエリュダイトと同じだけの時間が流れているなら科学はもっと発展していて、それこそ魔法の様なことも、神の真似事も出来るのではないか。


「いいえ、前世の一般的な世界基準では至って普通の21世紀後半の科学技術レベルでしたね。不思議な技術なんて有りません」

「俺の転移した時代は20世紀の終わり頃だから、ざっと百年の差があるんだが、十分未来技術だな…。まあ細かいことはいいか、信じていいんだな?」


 百年は十分長い筈だが、おかしい。

 勾玉の効果を考えれば一万年近く経過していないと計算が合わない。

 つまり、エリュダイトと地球では時間の進み方が違うのか…?


「ええ、それはもちろん。私、人体実験で失敗したことはありませんから」

「何だか微妙にツッコミどころのある言い方だが、まあいい。どうせ拾った命だ。ベットするのに躊躇はない」


 こうして俺は再誕しているのだから腕は信じても良さそうだ。

 しかし、そこはかとなくマッドな雰囲気を感じる。


「必ず勝てる賭けですから、そう意気込まなくても大丈夫ですよ」

「は。そうかい。ところで元の世界へ帰る方法はどうなるんだ」


 自称神の事はひとまず頭の片隅に置いて、目的についての疑問を優先する。

 どうするつもりなんだ。

 ワープか?タイムマシーンか?


「それなのですが、再誕人にはもれなくギフトを一つ授けているので、帰還方法もギフトという形で実現させてみようと思いますがいかがでしょうか」

「いかがも何も技術的な話をされても俺にはさっぱり分からん。だから生涯をかけても帰還出来なかったわけだしな。実現出来るなら方法は問わないから勝手にやってくれていい」


 無知の分野に口出ししても仕方ないな。

 出来ると言っているし、嘘では無さそうだから任せてしまおう。

 それよりも…。


「では、そのように調整しましょう」

「それと対価だが。自分で思い付く限りだと俺に出来るのは荒事や何でも屋みたいな事だけだ。つまり冒険者とか探索者と呼ばれる職なんだが、今もそういう仕事はあるのか?」


 俺の払う対価は、難易度は高くても構わないが払える物で無くてはならない。

 いざ考えると、俺に出来ることはほとんど武力行使に偏っている。


「はい、冒険者も探索者もありますね」

「それなら腕の立つ冒険者が必要になったら使ってくれ。ああでも新しい名義になったらランクはまた最初からになるのか」


 うっかりしていた。

 しかし今更昔の名前を名乗ると訂正するのも考え無しと思われてしまうかも知れない。

 幸い冒険者も探索者といった職業はまだあるらしいが、唐突にやってきた身元不明の異世界人が就ける仕事なんざ限られるのだ。


「ランクについては問題ありません。私の一存でもある程度のランクまでなら用意できますよ」

「それは有り難い。しかし余計なお世話かも知れないが冒険者証の偽造は重罪だった気がするんだが」


 昔、封印からの初めての復活をした時に前の冒険者証を使おうとしてトラブルに巻き込まれた事がある。

 一度偽造疑惑がかかると、交流の無い国まで遠出をしないと仕事に有りつけなくなるのだ。


「そこは問題ありません。手順さえ踏めば偽造ではなく、本物を用意するくらいの権限は持っていますから」

「今の年齢は13なんだよな。お前、普段はどんな身分なんだ…」


 この自称神は俺とは違う転移をしてきている。

 生まれる所からスタートしているからエリュダイトで戸籍を持っているのだろう。

 しかし権限とは、やはり見たまま貴族なのか?


「申し遅れました。私はエストバース王国の王位継承権第八位にして魔導大公家の次期当主、リヴィアゼア・エルヴィアス・タイタニア・レアルファス・ファナリアと申します」

「ファナリアは聞いたことは無いが、俺の記憶が正しければエルヴィアスは天空王の家名。タイタニアは妖精王の家名。レアルファスは…」


 おいおい、俺とは偉い違いじゃないか。

 天空王と言えばあれだろ、エリュダイトの実質的な支配者だ…。


「はい。それで間違いありません」

「は。これは驚いたな、とんでもない大物じゃないか……」


 力も、身分も、権力も、全て持った稀人だと…?

 ああこれは、無理なやつだな。

 よし、この自称神の事は考えても無駄だ、諦めよう。


「これからよろしくお願いしますね、ハン」

「ああ、宜しく頼む。女神様」


 とりあえず仕事、頑張ろう。



◇◆◇



「ところで未来ってのは、やっぱり生ゴミで車を飛ばしたりするのか?」

「そういう試みもあったようですが、結局は石油の代替品と再生可能エネルギーのハイブリッドに落ち着きましたよ」


「石油の代替品。原子力か…」

「百年のギャップは大きいですね」


「原子力、無くなったのか?」

「無くなってはいませんが、クリーン原子力へ移行すると発表したきり続報が数年おきに小出しされるだけで様々な問題から実用化は遠そうでしたね」


「火星への移住計画はどうなんだ」

「移住だと、火星より、近くの人工島ですね」


「遠くのハワイより、近くのグアムみたいなものか…」

「建物を運搬しやすくなったので、外国に行くより、外国に来てもらうという謳い文句ならありましたね」


「未来凄いな…」

「そうでもありません。ブレイクスルーが起こらなくなったので創意工夫ばかり進んだ刺激の少ない文明氷河期が続きましたから」


「つまり、預言の世界終末は起こってないということか…」

「いいえ。預言のことは知りませんが、世界終末は確定的ですね」


「どういうことだ…?」

「ハンには協力していただく訳ですから、私の知る限りでよろしければお話しましょう」






《あとがき》


『異世界で転生した元英雄、今世で女神の使徒になりました』


「気が付いたら戦場のド真ん中。文字通り九死に一生を得た青年は、飢えと渇きを振り払いながら今日を生き抜く為に足掻き続ける。

難民に紛れ、言葉の通じない中で危険な低賃金の仕事を貰い、同業者の死を目の当たりにして、それでも生きる道を一歩ずつ踏み締める。

これは、やがて黒の英雄と呼ばれる異世界からの稀人の軌跡を綴った英雄譚」


転生者達とは時代そのものが大きく異なるので完全に別口ですが、主人公の大先輩にあたる人物です。


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