モザイクメタル
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コズストーンを精製することで造られるコズメタルは素晴らしい素材である。
まずとても軽い。
錆びないし腐蝕しない。
その上大変丈夫で強靭さがある。
手触りも良く繊維にしても簡単には切れない。
まあ、ここまでなら他の素材でも近い物はある。
例えばミスリルならコズメタルの劣化版ではあるが似たような性質を持っている。
コズメタルの優れた点として、繊維状にしても高い耐久性が有るという性質が上げられる。
しかも魔力の伝導率が非常に高く、それはつまり魔力サーキットの素材として利用すれば今までの素材では絶対に出来なかったような超小型魔導具すら製造が可能となるのだ。
服に縫い込むのも良いだろう。
それだけで並の魔導鎧より丈夫になる。
そして何よりも霊力や思念エネルギーの伝導率も高く、コズメタル繊維を神経系統として人形に組み込むと操作性能が飛躍的に向上したのだ。
感応力で精密な操作が出来るという事は、遠隔ビット兵器を造ったり、下手をしたらナノマシンのような物も造れてしまうかも知れない。
何というドリームマテリアル。
欠点も勿論ある。
伝導率が非常に高いという事はつまり、何かしらの対策をしなければ逆に乗っ取られ易いということ。
当然ながらそうした性質を持つ物質は他にもある。
主流な対策としてはアクセス権に魔力紋を鍵にする指紋認証のようなプロテクト処置なのだが、正直言って信用度は低い。
何故ならば、個別に違うとされる魔力紋を使った既存の認証システムを私自身が突破してハッキング出来てしまうからだ。
リヴィア程の才能が無くとも、魔力同調のギフト持ちが正しい知識で訓練すれば誰にでも可能となるだろう。
いずれ破られるセキュリティだが今はまだ大丈夫っぽいから信用しろ、と言われても気休め以上の効果は期待できない。
勿論、私達ならば問題は無い。
セキュリティの複雑化でもいいし、『次元魔法』で別次元経由のパスを繋ぐなり、最終手段として神眼認証という手段まで、パッと思いつくだけで二桁に及ぶ対策がある。
しかし、一般普及させるつもりならば取れる対策も普遍的な物に限られてしまう。
プロシアから常々言われるが、どうやら私の考えるような誰でも出来るレベルとは世間では超高難度らしい。
だがそれは正しい知識を持たないが故にそう感じるだけで実際は可能なのだ。
そのズレを修正するのにも年月が必要であり、認識して理解する速度にも個人差の生じる物なので足並みが揃わない。
一般普及から実用段階までを早足で進ませるには、なるべく個人差の少ないやり方で、尚且つ安全で信用度の高い方法を提唱しなければならない。
いやはや、実に条件が厳しい。
まあ今はそんな部分で悩む必要は無い。
普及の目処が立つまでに何とかすれば良い案件。
考える期間があるなら必ず思い付くので問題無い。
いざとなったら認識キー作成専用のパッチ魔術具を添付するという方法もある。
それなら個々人の実力差も理解力も知能レベルすら無関係となるだろう。
ふむ、咄嗟の思い付きだが悪くない。
問題があるとすれば当人に知識が無いので自力で初期化やキー変更が出来ないという事か。
理解している専門家がいなければ対応不能に陥り、実地で動作不良や知識が必要な破損をしたらお手上げ状態になるというリスクがある。
柔軟な若世代ならそれでも良いが、頭の固い年配層にはかなり厳しいかも知れない。
何故武具が突然使えなくなるのか、鋳型で造った剣や盾を使っていた世代には到底理解不能だろう。
あくまでもごく限られたトラブル下においてのみ発生しうる現象だが、危機的状況で動作不良をどうにも出来ないと言われても納得出来ないはずだ。
まあ、武具への加工まで私達が手掛ければ問題など起こらないだろうが、流石にそこまでしては過度な干渉と言える。
私達が現状でしても良いと思える範囲は、新素材の提供とせいぜいが一般的な利用方法の確立までだろう。
やれやれ、公平というのも中々に手加減が難しい。
ならば魔力紋と霊波の二重セキュリティにして、何なら少し大雑把にしてほぼ同一人物なら使えるくらいまで穴を拡げてしまおうか。
双子なら問題無く使える程度まで緩くすれば、調律師も専門的な知識の要求量が減ってメンテナンス難易度も大幅に低下するかも知れない。
ああ、イカンイカン。
つい掘り下げるのが止まらなくなるのは悪い癖だ。
それは後日で良いと結論付けたばかりではないか。
リヴィアも私が思考に耽ると追従して同じ考えに合わせようとする。
ミラーイメージと言っても良い。
その山びこのような思考により没頭すると切り替えてもエコーにより脱線を継続しやすい。
リヴィアの私への依存度は少々では済まないレベルだが、いくら人知を超えた化け物じみた知能を持つとは言えまだ子供なのだから仕方がない。
前に軽く前世式の知能テストをしたこともあるが、IQ400以上(そこまでしか問題を用意してなかった)という結果が出て計測する事をやめた。
ヒルデは140強、アルトは180弱という結果だったが普段から脳の運動をしているから処理が早くなっているというだけの可能性が高く、前世式の知能テストの信用度は低いと言わざるを得ない。
それは前世の私が200以上あった時点で疑問視していたので、あくまでも参考データの一つに過ぎないという認識だ。
知能テストと銘打っているが、あれは知能階級ではなく演算処理速度を測るテストでしかない。
また脱線した。話を戻そう。
シェイズメタル、ミドスメタル、コズメタルを普及させる為の布石として、まずサンプルと構成データを魔術協会へ研究論文を添えて送付しておいた。
今頃は錬金局の連中が率先して大喜びで研究チームを組んで解析に取り掛かっているだろう。
こちらは自作の異境内で量産する体制は整っているが、既存のダンジョンでも条件さえ整っていれば特殊な採掘方法を実践することで入手出来るという餌も撒いておいた。
やり方としてはかなり非効率的な方法なのだが、土木系魔術師ならしっかり勉強すれば実践出来る程度の術式を組んで新技術にまとめたつもりだ。
価値ある技術として目を引くために今はまだ非公開の秘術としている。
サンプルは三大魔術協会全てに送ってある。
研究が進めばいずれ圧力を掛けてでも秘術の公開を迫って来るだろう。
この新素材は、それほどまでに魅力的だからだ。
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魔術協会をヤキモキさせている裏で、私は新素材から更に発展した素材の開発に着手した。
ここから先は純粋な好奇心と限界を識るための検証である。
だから自重はしない。
モザイクストーンでしか存在し得ないコズストーンを更にモザイクストーン化させよう。
2つの異なる世界の物質の融合ですら、非常に険しい条件下で相性や偶然によってしか誕生しない奇跡の鉱石コズストーン。
それをデフォルトのコモン素材として当たり前に採掘可能な人工ダンジョンを創って、別のダンジョンと融合させてみよう。
その境界部分に意図的な操作と圧力を加えて、更に合成したダンジョン同士の間にモザイクモザイクストーンを生み出すのだ。
私達の見立てでは、どんなに圧力を加えてもおそらく混ざらない。
異境内の2つのダンジョンを拡張させて接触させる。
接合点には同程度の力になるように調整しながら慎重にぶつけ合う。
◇◆◇
結果。混ざらなかった。
解っていた。
いくら異境とは言え物質の存在キャパシティとでも言うべき矛盾の許容量には限度がある。
内包可能な総熱量には定数があるのだ。
次は無理やり全く同時にダンジョンを発生させて融合させてみよう。
エーテルで満たされた変数の無い空間で接触部分に創造魔法のなり損ないをぶつける方法で抵抗力を限りなくゼロにする。
◇◆◇
結果。混ざった。
が、欲しい結果ではなく単純にリソースが二倍の単体の大型ダンジョンと化した。
まあ、そうなる。
では、ダンジョン内に新しくダンジョンを発生させたらどうなるだろうか。
自分で提案しておいて何だが、かなり無茶苦茶をしているのは自覚している。
これは自然には絶対起こらない現象である。
ダンジョン内に別のダンジョンを出現させるには、内に外を突然発生させなければならない。
謂わば二次元の絵の中に三次元の部屋を発生させるのだ。
矛盾を通り越して理論に致命的な欠陥のある失敗異法である。
◇◆◇
結果。ダンジョンは発生しなかった。
代わりにダンジョン発生の為のリソースが既存ダンジョンに喰われてしまい、ゆっくりとダンジョンの拡張進化とダンジョン変動現象が起こった。
発生する側のダンジョンの方が不利らしく、同熱量なら喰われてしまう。
逆に発生ダンジョン側の熱量を多くしたら外側の既存ダンジョンが喰われた。
では、上手い具合に拮抗する熱量にしたらどうなるか。
結果は、内と外という謎の多層型ダンジョンとなった。
なるほど混ざらない。
さあでは最後の手段であり、本命に着手しよう。
これで駄目なら実験は断念する。
全ての終着点である世界の淵の魔宮壁材で侵食して無理やり存在の不安定化を引き起こさせて強制的に溶け合わせよう。
大丈夫。私達が命綱を握っている。
存在が虚無に落ちないギリギリの瀬戸際で融合を見計らおう。
◇◆◇
結果。どんな物でも混ざった。
実験そのものは理論を超越して大成功である。
が、問題は混ざった物質が不安定さを解消する為に急激に劣化と分裂を繰り返して、あっと言う間に安定した定理物質と化してしまう。
様々な物質の融合を試してみて、いくつかの条件を満たせば存在が可能な物質の合成に成功した。
一つ目はエーテルで包んでないとすぐに劣化、いや変容してしまう不安定な変身物質『ランダマイザ』である。
ランダマイザの面白い所は、素材そのものは何でも良いという部分だ。
ひたすらに物質を融合するとある地点で融合限界を迎えて、それがランダマイザとなる。
原初の起源物質のような物なのだろうか。
二つ目は安定化した魔宮壁材である。
きっかけとなる一定以上の熱量を加えない限り、侵食活動を停止した休眠状態を維持している。
物が物だけに解り易く『ダークマター』と呼ぶことにした。
三つ目は異法モザイクストーン。
合成時に与えたパラメータの通りの性質を持たせられる物質で、多重次元に渡って存在確率を同時に保有する法則外の特異点越境界理物質。
完全に異法概念空間でしか創造出来ないので『オルタリウム(仮)』と名付ける。
その他に、この実験結果によって新たな炉の着想を得て創造魔法のユニークな使い方を確立した。
これからは直接魔石を創造可能だろう。
ひとまずオルタリウムで実現可能な都合の良い性質パターンをいくつか作って、私的に使える素材として活用しようと思う。
そして新素材はドクター達によく説明した上でサンプルを渡して研究させてみるつもりだ。
通常のモザイクストーンと違ってこれらは世界に公表するには危険過ぎる。
創れる者は居ないだろうが、間違った理論で的外れな実験を経て生み出そうとする輩が現れないとも限らない。
似たような性質の物質から妄想で創造を試みるだけでも大変危険なのだ。
特にダークマターなんかは、どう考えても悲劇しか産まないだろう。
科学者は必要以上に責任を感じてはならない。
世界の法則を解き明かすには邪魔だからである。
だが、必要以上に慎重ではあるべきだ。
法則にも解くべき順序という物があると知るべし。
間違った順序で解いてしまうと、人は不相応な力に振り回されてしまう。
私の居ない時代に失敗する分には好きにすれば良いと思うが、今は勘弁願いたい。
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我が研究所のドクター達は新素材に夢中になっていた。
彼等は特にオルタリウムがお気に入りらしく、設定した性質別に独自の名前を付けていた。
『アスタリウム』
『アルトリウム』
『ヒエロリウム』
『ゼオニウム』
『エターニウム』
無数に創ったオルタリウム系の新素材の内、特に有用と思われる五種を正規採用して今後の活動に用いることとなった。
先に研究を進めていた素材も含めて現状判明している素材ごとの特色をざっくりと解説すると。
■『シェイズメタル』■
影鉄。分子間力の裏拍子を埋める陰の金属。
特定の物質、特に現地金属を疑似モザイクメタル化させる性質を持つ半物質。
対象の質量と強度を最大で倍にまで高める。
その性質から、既に多重存在となっているモザイク物質には使用出来ない。
■『ミドスメタル』■
上級陰鉄。分子間力の四半拍子を埋める陰の金属。
シェイズメタルの更に半分だけ高位次元に位置する性質を持ち、シェイズメタルで裏を埋めた対象の質量と強度を更に倍にまで高める。
自然発生可能な純粋モザイク物質には使用可能。
モザイクモザイク物質には使用不可。
■『コズメタル』■
魔力、霊力、思念の三要素に高い親和性と伝導率を持つ希少金属。
軽く、丈夫で腐食せず靭性に富んだ夢の物質。
ファンタジー金属の良い所取りしたような特性を持つ反面、あまりにも優れた伝導率故に自分以外からの影響もモロに受けてしまう長所と短所が同居する。
◇『ランダマイザ』◇
自然界にそのままでは存在出来ない不安定な物質。
接触した質量ある物質の構成をコピーして同調し、同じ物質へと変容する。変身物質。
高純度のエーテルで包まなければ変容を抑制出来ず存在を維持できない。
◇『ダークマター』◇
創世魔宮の壁材を元にした『この世界に定着しなかった世界を象るリソースの成れの果て』の疑似安定化に成功した物質。
正確には物質とは呼べないモノで、一定以上の熱量を注がれない限りは周囲に無反応な休眠状態となっている。
活性化すれば基本的に質量ある物体を何でも溶かして存在を不安定化させる。
神氣を纏わないと触れる事すら困難な危険素材。
◇『オルタリウム』◇
モザイクストーンの究極の答えの一つとも言える万能物質。
形成時に設定したパラメータと性質を持たせられる創造体で、その特性故に基本的にオルタリウムの原型には特定の形が無い。
従って、設定した性質別に分類分けした物質を便宜上オルタリウム系と総称している。
◆『アスタリウム』◆オルタリウム-01
オルタリウムに魔核の性質を与えた結晶体。
要するに超高性能な魔石なので、人工ダンジョンコアや携帯用異境という使い方が可能。
「小さな星の空間」という意味のアスタリスク+リウムから名付けられた。
つまりこれ一つが小さな世界である。
順序を無視して先に究極の最終回答に辿り着いてしまったという失敗例。
◆『アルトリウム』◆オルタリウム-02
アスタリウムの失敗を踏まえて、既存のモザイクメタル同士を掛け合わせて再現した物質。
逆にオルタリウムの下位互換を追求して辿り着いた既存物質による人工オルタリウム化の成功例。
オリハルコン、アダマンタイト、コズメタルに純正エーテルを触媒として用いて錬成した合金。
創造魔法を駆使せずとも錬成時に術式を付与させられ、任意の性質を持たせられる夢の合金。
名前の由来はオルタリウムの読み方を変えただけ。
◆『ヒエロリウム』◆オルタリウム-03
アスタリウムとアルトリウムの中間を目指した一種の概念結晶体。
世界を象るリソースこと創世力を保存する媒体や神力を蓄積したり、高純度エーテルを保管するのに使われる結晶体。
自力では創世力や神力やエーテルを扱えない者向けの保管庫でありツールでもある。
扱う要素が要素だけに、神聖な意味を持つヒエロと名付けられた。
因みに概念物質であるヒエロリウムは完全に力を喪って存在を保てなくなると、劣化マテリアライズの過程で結晶体が塩化して安定する性質がある。
◆『ゼオニウム』◆オルタリウム-04
究極金属。最高の高度と耐久性と情報圧と霊格を併せ持つ、まさしく金属界の王。
いや、神とすら形容される金属もあるのだから王では不足か。
ならば何と表現すれば良いのだろう。
武具や兵器といった直接的に素材の強さを要求される場合にこそ真価を発揮する。
金属の鍛造師垂涎の逸品。
理論上存在が不可能とされる法則の壁を破った反則物質。
因みに、ゼオニウム製の矛でゼオニウム製の盾を攻撃すると、融合してしまうので概念としての自己矛盾が存在しなくなる。
という辻褄合わせの状態変化現象が適用されてしまう。
◆『エターニウム』◆オルタリウム-05
永久金属。反発係数や熱伝導率といった自然物理法則におけるパラメータの内、熱量ロスを限りなくゼロに近付けた科学者垂涎のドリーム金属。
常温超伝導体でもある。
理論上は限りなく永久機関の実現に近い事が可能という、理論を理論のまま正しく反映させられる性質を持つ。
前世の世界で欲しかった夢の素材を実現させてみたのだが、ドクター以外からの反応はイマイチ。
かなりの自信作なのだが、これの価値が解らないとは実に嘆かわしい。
現世側に流通させるのはコズメタルまでだが、不可侵領域への出撃や特殊任務時における再誕人の装備や道具にはオルタリウム系の素材を使用した物を配備していきたい。
モザイクストーンはダンジョンで特殊な処理をすれば採掘可能となる。
その存在と変容メカニズムを誰も知らないから今まで産出報告が無かっただけで、どれも未発見なだけの既存物質である。
それぞれの存在を周知させて採掘方法の技術提供をすれば現地人も自力で獲得可能となる。
まあモザイクストーンそのものは採掘出来ても、そもそもの条件に合うモザイク化に適した地層は偶然の産物であり、含有率の多い鉱石はあまり発見されないだろう。
精製してメタルとして流通させるにも採れる絶対量が少なければ世界全土に行き渡らせるのは難しい。
比較的浅い層でも形成されるシェイズストーンはまだしも、それなりの深度が必要なミドスストーンは現地人の特殊採掘だけで普及させるのは厳しい。
少々手を加えて採掘に適した土壌へと、今の内に既存のダンジョンを巡って干渉しておく必要が有りそうだ。
そしてコズストーン。
大陸では自然形成される適切な深度まであるダンジョンが少ない。
1000mや2000m級では足りないので、意図的に配分を組み替えた人為操作ダンジョンを創らなければ採掘どころか発見すらも望めまい。
それこそ不可侵領域にある千年迷宮の深層でもないと条件は満たせないだろう。
それはつまり現地人では誰も採掘に行けないという意味である。
私達が大量生産してそれを流通させるのは勿論可能だ。
だがそれでは世界相手に余計な警戒心を抱かせてしまうだろう。
あくまでも現地人が自力採掘も可能な状態を下地として、足りない産出量を補う形で流通量を水増しさせる為に私達が生産して流すのがベターなのだ。
違和感は最小限にして、現地人が自力でどうにかできる地盤を固めさせつつ助力する。
独り立ちを促すならば順序は飛ばさず多少の加速程度の関与に留めたい。
ただでさえ方針変更以降は過度な干渉になりかねないグレーな援助を続けているのだ。
私達が居なければ立ち所に崩れてしまうような緩い地盤にならないように、加減を間違えないように細心の注意を払わなければならない。
全く、世界救済計画の下準備の手順に至る手段の一環のための配慮だけでも実に気苦労が絶えないではないか。
他の転生者もこれくらい綿密に計画を立ててきつい縛りの中で最善を尽くしているのだとしたら上手くやるコツをご教授願いたい所だ。
《あとがき》
ミスリル、オリハルコン、アダマンタイトを独自の理論で理解して、存在を理論的に定義するに留めるだけでも大した発見なのですが、もう無茶苦茶です。
既存のファンタジー金属を獲得するだけでなく、分析の結果を踏まえて、新しいファンタジー金属を定義して生み出しました。
それでも飽き足らず、理論だけを先行して構築した概念そのものから定義すらされてなかった領域にまで手を伸ばして新物質をリアライズして、更に先の先をも生み出します。
飽くなき探究心に果ては無いということでしょう。
予め最終地点を理解してから、順々に世界へと段階を経て新素材を浸透させるという考え方は、正し過ぎるくらい正しいですが、盛り上がりもへったくれも有りませんね。




