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1000通りの計画  作者: Terran
間章 創作活動 2
53/99

【聖体降福】




[317]

 ふと思い付いた発明品はすぐに創る。


 いつもの様に摂取する食事は亜空間へと送り、私は体内のエネルギーの循環は全て錬成と創造で補っていた。

 必要な栄養素は神力の変換で創造するか錬金術の応用で合成する事が可能だからだ。

 つまり神力を用いた場合、理論上は定期的に日光さえ浴びていれば食事は不要である。

 錬金術も併せれば更に周期の延長も可能なので、それこそひと月に数分程度の日光浴でも賄える。


 食事や睡眠が不要となると、人の時間はとてつもなく自由になる。

 睡眠なら休眠時間だけでなくその前後の手間を含めた時間。

 食事なら摂取時間だけでなく食糧の確保と加工をする手間や排泄を含めた時間。

 これらから解放されるという事は寿命を伸ばすこと以上に、有意義で圧倒的な効率を獲得出来る。

 生きること以外に時間を使えるという事は、全力で進歩する事も無駄に費やす事も自由自在なのだ。


 前世の世界の科学技術の発達も、産業の進歩も、生きる事に費やす時間を分業する事で、それ以外に目を向け時間を使える者が増えた事に起因する。

 仕事や移動、生活する上で必要な事を済ませた後で自由になる時間はどの程度残るのか。

 人類の中で最も数の多い一般的な労働者を基準にすれば0〜4時間程度だろうか。

 そこに食事や睡眠の為に割いていた時間を加えれば何倍の自由な時間を得られるのか、想像に難くない。

 全ての人類を生きる事やその維持に必要な時間から解放すれば、一体どれだけの効率を上げられて進歩させられるのだろうか。


 いや、この考えは危険な側面をも含んでいる。

 人は生きる為に懸命になるべきであり、それらを克服してしまえば緩やかな衰退を招く危険性がある。

 いずれ克服するにしても、それは必要な段階を踏んでからであるべきなのだ。


 しかし多少ならば手を加えてもマイナスにはならない部分もあるのでは無かろうか。

 特に憂慮すべきは食糧問題である。

 人神領域でも特に裕福で安全なエストバース王国に住んでいると飢餓など他所の出来事で実感は湧かないだろうが、実際はほとんどの国が大なり小なり抱えている問題なのだ。

 せめて食糧事情だけでも何とかしたい所なのだが。


 最低限必要なのは主食。

 そこを何かしらの方法で供給出来れば残りの栄養素の獲得に力を割けるようになり、栄養面や健康問題を大幅に改善出来る。

 主食の栽培や獲得に費やす労働力や金銭のコストを他の食物の生産や購入に充てられれば良い。

 となると主食をどう生産すれば良いのか。

 ここでようやく本題な訳だが、私は前世の知識にある【聖体】を採用しようと考えている。


 【聖体】とは簡単に言えば、聖者が摂る食物は聖者の肉体の一部になる。

 ならば聖者を構成する食物は聖なる体の素である、という考え方だ。

 私はこの概念を逆転した発想で実現出来ないものかと考えるに至った。

 主食とはつまるところ熱量であり活動リソースだ。

 主成分は炭水化物、特に熱量変換に用いるのは糖質であり、要するに人体を構成したり活動させる為に必要な燃料である。

 私からすれば必要な知識と錬金術を究めれば、理想的な配分の栄養素など元になる素材を最初に用意しさえすれば、後は魔力で分解合成を繰り返していけば半永久機関が完成する。


 そう、魔力。

 この万能エネルギーは世界に充満しているどころか生物は自力で生成してしまえる。

 この夢のような再生可能エネルギーから食糧を得られれば、理論上は飢える心配が無くなる。

 私のように魔法で自己循環出来るならばそれが最も手っ取り早いのだが、それならば直接循環出来ずとも一手間かけて摂取し易い形に変換精製してしまえば良いのではなかろうか。

 つまり魔力で食糧を形成するのだ。


 と言っても『創造魔法』ならともかく、無から有を生み出す事は魔術には不可能である。

 ならば発想の転換で、有機物を魔力で合成し形成した上で、そこから更に魔力で分子構造の結合や配列を補えれば擬似的な食物らしき物なら作れるのではなかろうか。

 魔術には属性が有る。

 そして属性とはエネルギーの形態や作用そのものを表す要素である。

 火は加熱や燃焼、水は冷却や凍結、風は気流や膨張圧縮、土は重力や地動、雷は発電や電導。

 属性変換の間口こそ違うが原料となるのは全て魔力であり、それは即ち魔力とは熱量の性質を自在に変更、設定して操作出来る特性があるという事だ。


 ならば可能な筈なのだ。

 人体が運動エネルギーを生み出す、熱量を獲得出来る性質を備えた形状へと、形成する術式を創り出して変更する事も。

 消化とは化学変化であり、熱量への変換とは結合を解く際に発生するエネルギー、又は熱量の落差が発生する別の結合へと変換する過程で発生する、余剰エネルギーを獲得する手段である。

 熱量とは分子を結ぶ事で蓄積が可能であり、結び目を解くと蓄積していた熱量が放出される。


 特定の果物に含まれる糖は分子構造上の結び目が比較的緩く、楽に消化吸収出来る形状をしており、摂取して結び目を解く事で発生する熱量を効率良くカロリーとして獲得出来る。

 であるならば、人為的に魔力で構築した消化吸収に適した結び目を有機物に加えて形成する事が出来れば、理論上それは見た目よりずっと高カロリーを備えた食物と成り得る。

 そうして形成された食物は、おそらく純度100%の有機物よりずっと熱量変換効率が高く、構築式次第では消化吸収の即効性も遅効性も思いのままに設定出来るだろう。


 これは発明である。

 前世の知識だけでは不可能。

 今世の知識とこの世界の仕組みの理解があってこそ理論立てて実現を成し得るものだ。

 これは偉大な発明足り得るが、果たしてこの世界に投じて良い物なのか。

 思考を加速させて完全予測を組み立てる。


 答えは、条件付きで是。


 物は在っても良い。

 区分としては理法ではあるが生成方法は伝授する形で確立するべきでは無い。

 いくら慎重を期した所で、こんな技術を投下すれば経済は崩壊しかかるだろう。

 ならば同じ齎すにしても技術としてではなく、【奇跡】として扱わせるのが妥当と結論付ける。

 わざわざ数ある手段から聖体を選ぶのには当然意味が有る。

 その意味と策の為には、【奇跡】という形の方が都合が良く混乱も少なく受け入れやすい。無難な所だろう。


 手段を選ばなければやりようはいくらでもある。

 例えば私が分霊を総動員して世界中の土壌を改善すれば、翌年から豊作が約束され市場に需要を大きく上回る食糧が溢れるだろう。

 しかしそれは流石に規模が大きく多大な影響を与えてしまう。

 もう少し世界を弄らない方法としてなら、私の手持ちの異境で作物を無限に生産して世界市場へ流せば供給のコントロールも可能だ。

 だがどちらもリスクが大き過ぎる。

 仮にメリットの方が大きかろうとデメリットが相殺されて小さくなる訳では無い。

 「大事の前の小事」と言う言葉があるが、今回のこれに関しては違う。

 極大事の前の大事である。

 大事が起こる。


 デメリットをどうにかする策を講じて別のデメリットを発生させて、更にそれをどうにかする策を講じるというは無様な真似をする気は毛頭無い。

 それでは出来の悪い魔物と何ら変わらない。

 選べるならもっとリスクを減らしてスマートに済ませたいではないか。

 傲慢、大いに結構。

 私は「大事の前の無事」を選びたいだけだ。




[318]

 そして私は【聖体】を生み出した。


 基本は少量の水と炭素が在れば良い。

 それでタネを作り、熱量変換効率の抑えた結び目をかさ増しに加える。

 形状は、前世の先人に倣ってパンにする。


 タネは全体の質量に対して一割にも満たないが、熱量変換効率の低い魔力の結び目を繊維状に張り巡らせているので食いではある。

 タネには微量の他の栄養素を添加しており、総合的な栄養価としては大きく秀でている。

 ビタミン添加、タンパク質強化、微量元素も僅かに加えており、ミルクがあれば完全栄養食となる。

 構成している質量のほとんどは魔力で編んだ非在物質で補っており、敢えて表現するならば『食べるビブーティ』と言えるだろう。

 なのでアレルギーの心配は無い。


 味は白パン基準にしているので嫌いな者は少ない筈だ。

 特別美味しい訳でも無く、好きにもならず飽きもしない程度の味付けである。

 美味しいとパン屋が潰れるので、可もなく不可もない非常食程度の評価点であれば十分だ。

 早速だが誰かに味見して貰って実用化するとしようかと思ったのだが、人形やアーティマトンには必要無いし、こんな奇跡の産物を身近な者に振る舞う訳にも行かない。


 食品を食べるという概念を失念していた。

 これは飲まず食わず活きず人間味の無い生活していたが故の弊害である。

 仕方がないので再誕組に送って感想を聞く事にしたのだが、私の手作り(?)という事で甚く感激してしまったらしい。

 これを手作りと言って良いのか甚だ疑問ではあるが。

 そう言えば、私は今生では食品を作った事が無かった。

 まあ大貴族に生まれたのだから当然だが。

 武器もこの間の聖剣が初めてだったか。

 何でも創れるが手を付けていない物は多い。


◇◆◇


 そんなこんなで忌憚無い意見を求めて集めた感想を要約すると、味は悪くないが無臭なので本来の味以上に味気ない印象を受けたらしい。

 なるほど、香りの要素を失念していた。

 パンに見せかけるつもりだったので最低限パンの味と食感は再現していたが、香りまでは考慮していなかったのだ。

 これは永らく呼吸をしていなかったが故の弊害である。

 酸素も二酸化炭素から錬成出来る上に、声の代わりは空気を振動させれば問題無く、臭いで感じ取れる成分は周囲から採取解析しているので呼吸の必要性が皆無であった。

 確かに、食べられる物かどうかの判断基準は臭いからでも判別出来る。

 当然考慮すべき要素だ。


 不快感を与えない控え目な香り付けをして、ついでに形状や表面の焼色にも軽いムラを着けよう。

 改良した【人工聖体Ver1.01】を再誕組に送る。


◇◆◇


 暫くして返ってきた感想は、

「味は普通、食感や香りも普通、食べごたえは今一つ、腹には貯まる」

 というものであった。


 食べごたえが今一つというのは、具体的にどういう事なのだろうか。

 他の感想も集めると、どうやらパンならパンの、肉なら肉を食した際に感じる満足感とも言うべき感覚が感じられないとの事だった。

 抽象的だが、云わんとしている事は何となく解った気がした。


 例えば砂糖。

 砂糖と人工甘味料のノンカロリーシュガーとでは、感じる甘さは人工甘味料の方が強いものだが。

 人工甘味料で作られた生クリームでは甘味とは別に直接胃袋に、血に、脳にガツンと来るカロリーの暴力とも言うべき満足感が得られない。

 おそらくこの【人工聖体Ver1.01】からはそれと同様に、カロリーの暴力が引き起こす脳内快楽物質が分泌されないのだ。

 燃料補給とはいえ、わざわざ食糧という体裁で振る舞うのであればこの要素を欠く訳には行かないではないか。

 何をやっているのだ私は。


◇◆◇


 早速、反省点を踏まえて改良した【人工聖体Ver1.02】を開発した。


 要するに血糖値に相当する反応を擬似的に再現すれば済む話である。

 行き過ぎれば血糖値が上がり過ぎたと誤認してしまうので加減はしつつ、害にならない適量が脳内に作用する性質を構築した。

 構築して感じたが、この技術を応用すれば革新的な魔力麻薬がいくらでも開発生産出来てしまうのではないだろうか。

 やはり技術提供はしない方向で正解のようだ。

 再度感想を求めて【人工聖体Ver1.02】を再誕組へ送る事にした。


◇◆◇


 パン一つとはいえ、連続で三度目ともなると腹も膨れているだろうから時間を置いてから食して構わない旨を伝えたが、男子組はすぐに返答が着た。


 改善の効果はあったらしく、パンを食べている実感はかなり感じる様になった模様。

 欲を言えば他の味も欲しいとのこと。


 他の味と言われると中々に困ってしまう。

 そもそも美味しい物を作るのが目的ではなく、魔法で安価な完全栄養食を大量に生産する奇跡の技術を確立するのが目標なのだ。

 正直な話、味は飽きなければ二の次、三の次。

 とはいえ、実用するかどうかは置いておくとして、何に使えるかは解らないが味変も可能かどうかの検証データも取っておくべきか。


◇◆◇


 こうして【人工聖体Ver1.03】を開発。

 ビブーティの部分だけ味を変化させるには、どうしても偽物感を払拭する為に要する術式が複雑化しやすい事からバリエーションを増やすのには不向きとして、タネの部分から一部を分離させて具となるジャムや餡、調味料モドキを形成させた。

 私としては正式採用はVer1.02で十分だと思うが、折角ご意見ご感想を頂いたのだから試食してくれた者達へのサービスは必要である。


 ジャム風味パン、餡こ風味パン、チョコ風味パン、クリーム風味パン、ツナマヨ風味パン、カレー風味パン、チーズ風味パン、シュガーバター風味パン、ゴマ風味パン、黒蜜きなこ風味パン。


 味変出来るタネ分け部分が少なく、多少ビブーティでかさ増しする必要がある事から具をあまり複雑化は出来ない。

 多少ならともかくハムやタマゴといったタンパク質由来が主役となる味と食感と満足感を単一の術式で再現するのは非常に難しいので断念せざるを得なかった。

 そんな欠点を抱えている事から、ツナマヨ風味はマヨにツナ味を添加したような半端な出来栄えだが、甘い菓子パン以外も必要として試作。

 厳密に言えばツナマヨ風味のクリームペーストだ。

 カレー風味は本物のカレー味と比べると明らかに物足りないが、合成調味料や合成香料の併せ技でゴリ押しである。


 しかし転生者が食せばこれは偽物だとすぐさま断定されるだろう。

 この世界にも転生者が齎したと思われる料理はいくつも見受けられるが、複数の貴重な香辛料をふんだんに使用するカレーは再現の敷居が高く、前世の知識があってもおいそれと作れる土壌に無い。

 勿論大貴族の財力があれば可能だが、一部地域を除く一般の層でカレー味を知る者は居ないのだ。

 ともあれ、試作した【人工聖体Ver1.03】を箱詰めして送っておく。

 ミルクとお供にすれば完全栄養食である旨を添えて、保存期間に定めが無い事も明記しておいた。

 この聖体は自然由来の成分が一つも入っていないので基本的に劣化しないのだ。

 ひとまず完成という事で良いだろう。




[319]

 パンは偉大である。


 後日、というより早い者からは翌日には最初の感想が届いた。

 それは、それぞれのパンの良さを事細かに語る情熱的な感想文だった。

 いや、最早当初の目論見とは全然違う方向性なのだが、どうしてこうなった。


 私はただ必要最低限の食を提供する為に聖体の魔法を完成させたかっただけなのだが。

 いつの間にやらパンの味についてのリクエストコーナーの様相を呈している。


 この聖体パンの優れている点は、まず完全栄養食であるという点。

 ミルクと一緒に食せば一食分の栄養素を得られる。

 そして構成要素のほとんどが非在物質ビブーティである事から、消費期限の定めがほぼ無い点。

 兵站に採用すれば最強の備蓄となるだろう。


 更にコストの安さ。

 魔法で水蒸気と二酸化炭素から第一のタネの素を生み出し、そこに食品廃棄物もしくは特定の条件を満たした土から錬成した第二のタネの素同士を合成する事で、ベースとなる聖体タネが完成。

 これらは本当なら魔術でも再現が可能だが、現段階では敢えて魔法でなければ生産出来ない複雑な術式にしている。

 金銭的な問題はほとんど発生しない事から、他の食品とは比べ物にならない程のコスパである。

 何なら血抜きした動物の廃棄血液からでも直接ベースとなる聖体タネの完品を生産可能だ。

 生物の血液には聖体タネに必要な栄養素の全てが詰まっている。


 こうして出来たタネをベースにして、聖体パンへの形成、ビブーティの生成、熱量の結び目の構築、細かな調整を経て完成に至る。

 ビブーティで何倍にもかさ増しするので元々低いコストを更に低下。

 ほとんどタダ同然の材料費から食事を生み出せる革命的な奇跡の御業となった。


 とはいえ、私は食文化を破壊したくはないので味に関しては飽きなければ良い程度で十分と考えているのだが、サービスで作った味変パンを試食して貰った再誕組の反響が思ったよりも大きく、なし崩し的に次々と新しい風味のパンを保存食として各地に散っている彼等へと送っている。

 自分では思い付かなかった反応があると、つい探究心が刺激されてしまう。


 実用化に問題が無さそうなので『慈善活動家アイダ』の名義を使い、世界各国の援助を必要とする国々や団体へ食糧支援として送る事にした。

 横流しで軍事利用されるのは困るので、自然劣化するように改悪して消費期限の設定をしておく。

 それでも現地着時点からひと月は保存可能なので、行き渡らせるには十分な期間を設けている。


 味が良いとパン屋が潰れるので支援にはVer1.02版で提供している。Ver1.03版はもっぱら再誕人向けに味の改良やバリエーションを研究中。

 忌憚無い意見を募っていた事から様々な意見の陳情が返ってきており、その中でも特に肉物やおかず類の具のリクエストが多かった。


◇◆◇


 こうしてついに【人工聖体Ver1.04】として人工肉等を新規導入した聖体惣菜パンを実装した。


 ハムエッグ風味パン、ハンバーグ風味パン、ソースカツ風味パン、きんぴらゴボウ風味パン、本格カレー風味パン、唐揚げサンド風味パン、エビフライ風味パン、ホットドッグ風味パン、フィッシュフライ風味パン、コロッケ風味パン、焼肉風味パン等々。


 見た目こそ本物をサンドしている様に見えるが、全て偽物なので名称から『風味』を抜く事が出来ないのはご理解戴きたい。

 また、およそパンに合うかどうか微妙な線にも挑戦しているのだが、元が同じタネから生成した偽物同士だからか、見た目の違和感に反して味は自然に纏まっている。

 とはいえ仮に転生者に試食させれば、パンよりライスを所望されるかも知れない。


 Ver1.02とは完全に切り離して、ただ純粋に聖体食としてどの程度までのクオリティを出せるのかという挑戦と検証であるため、術式の複雑化にもある程度踏み切った仕様となっている。

 これが後に食の開発という新たな門を開くきっかけとなってしまい、結果として余計な仕事を増やす事になってしまうのだが。

 聖体惣菜パンシリーズは再誕人達から大好評を博し、更なる改良と実装を期待されてしまうのであった。


 元々は熱量と栄養素を摂る事にだけ特化しており、他に身体に悪い成分は一切入っていない完全無毒の健康食でもある。

 ついでに補足すれば、この聖体食を生成する際に使用している魔力の属性は『聖』と『命』。

 検知するのは困難なレベルの微弱な浄化作用と生命力の回復効果が付加されている。

 不死者が食せば苦しんでしまうかも知れない。

 まさしく聖なる身体を構成する肉を謳うに値する食糧なのである。

 およそ人類が食事を摂る事を辞めない限りは理想の食糧となるだろう。

 たぶん。





《あとがき》


異世界料理無双と言えば、


1、その異世界でしか調達出来ない特有の超絶食材を調理して、現代地球ですら食す事の出来ない至高の味わいに舌鼓を打つ。


2、現代地球の料理技術や、現地人には食用にされてなかった食材を使って食事事情に革命を起こして、異世界人の胃袋を掴む。


3、上記の超絶食材も調理技術も持ち合わせていなかった場合、現代地球から直接調理済みの食糧を持ち込んで異世界人を懐柔する。


といったモノを指す筈です。


断じて、人工魔学調味料や人工魔学合成食材をコネコネ混ぜ合わせた偽魔学加工食品を異世界料理無双に加えてはいけません。

この主人公は完全に異世界料理業界へ喧嘩を売っていますね。


良い転移者、良い転生者の皆様はくれぐれも『間違った異世界料理無双』をしないようにご注意下さい。


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