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1000通りの計画  作者: Terran
間章 海神領域3
31/99

間章 海と生命の継承




【海と生命の神】



[251]

 エリュダイトは完全勝利を収め、異境の崩壊と共に世界を象る大量のリソースがなだれ込んで来るのを感じ取った。

 予め仕込んでいた仕掛けを発動させてかき集められるだけリソースを確保する。

 なるほど、勝利を観るのは初めてだが、互いの世界はこれを奪い合っていたのか。


 私は既に魔法の鞄の技術の改良を重ね、ダンジョンコアの解析も済ませて、亜空間の上手な作り方も修得し、先日の聖戦では生身の人を放り込んで隔離する実験にも成功している。

 今回得た異境のリソースを解析して研究すれば、おそらくは実際の聖戦と同規模の異境を作り出す技術も確立出来るようになるだろう。

 そうすれば異境について更に理解が進み、世界を救う計画を大きく前進させられるのは間違いない。


 そんな私の事情とは打って変わって、ここ十年間待ち望んだ勝利を噛み締める現地に生きる人々の中で、転生者達だけは別の意思を持って動き出していた。


 彼等はこう考えている。

 自分達の中に内通者が居る、と。

 それも末端の木っ端転生者ではない、もっと中枢に近い者の中にだ。

 全くもって見当違いも甚だしいが、これで暫くは互いに疑心暗鬼を抱えながら裏で探り合いと牽制し合う事となるだろう。


◇◆◇


 今回の異境に参戦していた各種族を観ていたが、書物だけでは解らないそれぞれの特徴というものを識る事が出来た。

 そして、人間族同士でも出身地域によっては種族差と言える程の大きな違いがあるという事も。


 また、滅んでしまった海神領域の民の末裔達も各大陸で難民として受け入れられ、聖戦の際には駆け付けていた。

 さすがに絶滅はしていないとは思っていたが、確かに他の種族より少ないものの、決してオマケ程度の数ではない。

 彼等には海に面していない浮遊大陸を除く四大陸にそれぞれ海神特区の様な自治区が置かれており、大抵の場合は大陸にほど近い島をまるまるか半島の一部を分譲されている。

 聖戦の戦力を減らさない為というのは勿論だが、やはり血統の保存という世界的な資源管理の意味合いが強いのだろう。


 この世界の混血には稀にとても優秀な子供が産まれる。

 その最たる例は神子なのだが、神子とまでは行かずとも、準ずるだけの優良因子を受け継ぐ個体の誕生は度々起こる。

 純血種同士ならばごく低確率で、優秀な混血との間には低確率だがそれなりの頻度で産まれるのだ。

 私のアルトもその一人である。

 私の見立てではアルトは神子の成り損ない。

 ほんの僅かな違いで神子足り得なかった因子の持ち主なのだが、それはあくまでも人の決めた基準での話であり、私の考える総合的な優秀さとは少し違う。


 この世界では、六神連盟の掲げる神子の判別基準は、複数の神因子(イノセンス)のそれぞれが一定以上のサイズである事と、悪性因子が基準値以下である事が条件とされている。

 しかしアルトの場合は片方の神因子が基準に僅かに足らず、もう片方は最大サイズで、悪性因子は皆無という特別な配列を持っている。

 条件的には、アルトの足らない側の神因子がほんの僅かでも大きければ神子認定されていただろう。


 仮に最大サイズの神因子をもう少し減らして、悪性因子がもう片方の神因子と同程度まで大きかったとしたら。

 それは明らかにアルトの素質より大きく劣っているが、連盟の基準では神子として認められ、国を挙げて崇められていただろう。

 神子の判別は前世の遺伝子学ほど細かく分析して規定したのではなく、特定のパターンに当て嵌まるかどうかだけで判断されているのだと思われる。


 さすがに例に挙げたギリギリ神子は残念過ぎるが、それでも理論上は神子の平均値よりアルトの方が総合能力では高いのは明らかで、何よりギフトの数が大英雄並の数がある事と、組み合わせが転生者が振り分けたかの様な絶妙な配分なのだ。

 正直な所、同程度の戦闘経験を積めばアルトに一対一で勝てる転生者はおそらく居ないだろう。

 神子は転生者より強いだろうが、余程上位の神子でも無いとアルトを超えられまい。

 ギフトの数と組み合わせというものは、それ程までにアドバンテージがある。


 純血種同士なら生まれ持った因子は全く同じだが、因子以外の要素でも優劣が存在する。

 ギフトの種類、数、質、組み合わせ、因子の相乗効果、神因子や悪性因子の数と種類とその相性。

 そして教育の有無や質も関わり、才能に見合った発育をするかどうかでも大きく変わる。

 あまりにも多くの要素が絡み合い、例え同条件であっても様々な分野で優劣が異なる。

 人ひとりの実力を正しく解析するのですら大変な重労働、判別基準が多少大雑把になっても概ね合っていれば良いとなるのも仕方がない。


 だが事実として、見落としが起こるシステムでもあるのだ。

 これを悪用した抜け道を利用しようとする輩が現れないとも限らない。

 いや、転生者の中には既にそういった分野に興味を持ち、実際に解析しようとしていた者も居たのかも知れないが。


 何にしても、今後も世界の神子の総数はすぐに回復しないだろう。

 だというのに、僅かに条件に届かない神子のなり損ない達を積極的に掘り出さない理由は依然として不明のままだ。

 出来ないのか、やらないのか、知らないのか、それとも私の仮説そのものが間違っているのか、はたまた未知の要素が絡んでいるのか。


 やはり一人で考えても出せる解には限度がある。

 流石にそろそろ仲間を得る方法の実行を検討しなければなるまい。

 それはそれで別の問題があるのだが、この際倫理関係は目を瞑るより無いだろう。




[252]

 人神領域での聖戦シーズン中、私はというと家庭教師不在により授業も無く、時間を持て余し気味であった。

 そこで、入学前ではあるが良い機会だから『固有魔術』を構築してしまおうと考えたのだ。


 とはいえ前々から素案だけは考えていたので具体的な形にするだけである。

 固有魔術とは魔術を一定以上極めた者が、その技術の粋を集めて形にした奥義であると同時に、魔術師としての研究成果でもある。

 得意な属性や術式の系統を用いた集大成。

 磨いてきた「これだけは他の者には真似できない」という自分の魔術の癖の塊のような技術を、ピーキー過ぎて他者では扱い辛い専用術式として編み上げる、というのが大半を占めているのが実態だ。


 例えるなら、野球の投球で自分ならではの変な癖玉を矯正する事なく極めた先に、独自の投法として確立する様なものだ。

 同じ事をやってみろ、と言われて努力してみてそれなりに似た投法にはなっても決して同じにはならない。

 それをギフトなんかも含めて術式を組み上げてしまうがために、努力で似せるとかいう次元ですら無くなってしまい、他者が使うにはまずは同じギフトを持って産まれている事が前提で、更に同じ技術を勉強して同じ魔術系統を極める事が必須になる。


 実用的でありながら誰もが行使したいのに真似出来ないのが、固有魔術の理想的な完成形らしい。

 実にナンセンス極まりない。

 実用性を求めるならば他者でも使える術式で構築してこそ価値があるだろうに。

 こうして構築された固有魔術は魔術協会に登録する必要があり、完成度に応じて魔術師としての格付けにも適用される。

 ついでに魔術師としての『二つ名』は大抵この固有魔術のイメージで定着する。


 固有魔術の登録は魔術師を名乗るなら必ずやるべき、ではあるが義務ではないという。

 登録した所で誰にも真似出来ないのだから、あくまでも後進の固有魔術の研究の為の参考資料扱いである。

 基本的には当該魔術師の存命中は本人の許可が無い限りは秘匿され、没後は協会を通して一定以上の資格を持っている事と、指定された額を支払うことにより開示される。

 例えばルビリアは存命中の開示を許諾して、国家事業として利用している。

 魔術協会の理事クラスになると存命中の開示をする者もそれなりに居るという。

 特に理事長ともなると後進の育成の為に開示するのは古来からの慣わしなのだそうだ。


 そんな固有魔術だが、私としてはピーキーな特化性能の術式を編もうとは考えていない。

 固有魔術とは名ばかりの、様々な用途に使える汎用性重視の術式にするつもりである。

 今回獲得した『世界を象るリソース』をベースに、神力譲渡や付与を使い、創造の力と異法則を用いて事象そのものを錬成し、私にとって最も相性が良く、最も効率の良い補給炉を創造してみようと思う。

 要するに神力炉の創造である。


 私の神力は自然回復もするが、一番は陽射しによる補充で、天気の良い昼間が最も効率良く補充が出来るが、夜間はそうも行かない。

 しかし、もしこれが完成すれば夜間でも自由に神力の補充が利く様になる。

 もちろん炉には熱量が必要であり、神力を発生させるだけに足る源を用意しなければならない。

 だから【トクトラの鍵】を解析したデータを参考にして持ち運べる【異境】を創る事にした。


 予め神力を注いでおいて、後でその貯金を引き出すだけの実に単純な仕組みだ。

 いつでも取り出せる神力銀行炉(仮)である。

 術式を介さないので固有魔術と呼ぶには些か語弊はあるが、あくまでも固有魔術の概念は

『自身の有する資質を元にして魔術的理論から導き出した当該魔術師特有の性質同士を相乗的に活用した研究成果を形にした物』

であり、術式に限らず、錬金術師ならば錬成物でも成果として認められる。つまりは専用の理法を確立していることが観測出来れば良いと私なりに解釈している。

 ならば神力銀行炉(仮)も立派な固有魔術の概念足り得るのではないかと考えられるのだ。


 表向きの術式効果は、限りなく自然光に近い陽射しの再現、とでもしておこうか。

 こう言い換えると何だかそれらしく聞こえる。

 私自身も陽射しを利用した神力回復を目的としているので術式効果自体に嘘は無い。

 そもそも他の者は陽射しで神力は得られないので、自然光で照らされるだけの術式としか認識されない。

 地下栽培なんかでも使えそうで一部の魔術師にはウケそうではないか。


 術式登記には理論だけ事細かに記載しておけば良いだろう。

 神力をある程度自在に扱えて、補充方法のある者で無ければ再現性は無いだろうが、他の者に使わせる気が無いのだから気にする必要はない。

 固有魔術の登記は、明記した理論を実際に本人の力だけで実現出来れば承認されるのだ。

 理論が正しい事を実際に証明出来れば良いので、私にとっては実に容易な条件である。

 後は、各属性別に固有魔術(仮)を構築してみるのも悪くないかも知れない。

 一個にしなければならないという規約も無いのだから。




[253]

 海神領域の深海、海神の囚われた海溝の底、海面からおよそ11200m地点。

 有限ではあるが、ほぼ無制限に神力補充の出来る固有魔術である『携帯用陽光炉(仮)』。

 【オルケアの笛】を解析して生み出した固有魔術である『大潮』とオリジナルの神遺物【海王の羅針盤】を用いて、生身での接触を試みることに成功した。


 六大神として奉られつつも完全に孤立した【海神イージル】を拘束する黒い穴ごと、異法を用いた魔法によって私の創造した擬似異境へと送り込む。

 外なる神、邪神との戦いに破れて囚われ、世界を維持するだけの装置として、黒い穴を通じて根を張られていたのだろう。

 正気を失わされ、ただ異界との門を定期的に開かせてリソースを奪い合わせる。

 その邪神の束縛から今解放しよう。

 安心するが良い。その黒い穴は前世で既に解析済である。

 ついでにこの世界仕様の除去方法も構築済だ。

 使用主には悪いが、全く感知されない方法で見た目だけ拘束を持続させたまま無効化してみせよう。

 同種の力を本人以上に上手く扱えれば不可能ではない。


 前世でただの科学者だった頃は追い返すのがやっとで苦い記憶しかないが、今や私も神としての力が扱える。

 であれば本体と接続の切られた廃棄物如き、排せない理由は無い。


 これを以て邪神への対抗手段の確認と、海神本体からの情報収集と、海神の力を受け取り計画を更に一段階進める物とする。

 具体的な存在指数は機材を用いずとも意識的に神眼(アイリス)を凝らせば視えるのは確認している。


 対象が世界を弱らせてからでないと大きな干渉が出来ないのは識っている。


 弱らせる為にわざわざ遠回しな方法を使って聖戦を泥沼化させている事も識っている。


 六大神を討ち倒せるだけの力が振るえなかったから外堀から攻めている事も、正気を失わせ徐々に弱る様に仕向けている事も、黒い穴は本体とは独立した概念生物兵器である事も、意識外の隔離された小世界までは感知出来ない事も、当然識っている。


 だからこれから私のする事が、対象には全く識る術も無く、私という存在が居る事すら予期していない事も識っている。


 私がお前の天敵なのだ。

 さあ、その力を神の視点から解析してやろうではないか。



◇◇◇◆◇◇◇



 異境の中でも、神域が創れるというのは不思議な感覚である。

 ここは白い空間。

 いつもなら欠損神核に導かれて招かれる側なのだが、今回は黒い穴を避けてこちらからアプローチをする必要があると感じて、私独自の擬似神域を展開して海神を招き入れた。



 おはよう海神イージル。

 偉大なる六大神が一柱、大いなる海の化身よ。

 ここは現世とは隔離された領域だが、見様見真似が精々でね。

 これより神力を譲渡するので維持に協力して頂きたい。


〘―――〙


 子供、源、包容。

 なるほど、リヴィアを海神の内側へ接続させて、領域の全てを私が賄えば外部に影響は無いと。

 アセラと同じくリヴィアを子供と呼ぶのだな。

 良いだろう。かなりの出資になるので時間は取れないが言われた通りに再接続してみよう。


 早速、先日開発したばかりの『陽光炉』を使う場面か。

 なるべく蓄えておくようにしていたが、何分期間が短い。果たしていつまで保つだろう。

 リクエストに応えて、一度リヴィアの身に戻り、穴を避けて近付いて再度擬似神域を展開する。


〘―――〙


 沈黙、神卓(?)、隔絶。

 狂乱にしか思えない過剰な聖戦の繰り返しはやはり裏からの手引きだったわけだ。

 六大神は既に互いの意思疎通は不可能な状態になっていると。

 つまり、私にメッセンジャーになって欲しいという事だろうか。


 何度も神々と意思を通わせてきたが、未だに神独自のニュアンスは認識しきれない部分があるな。

 神託を受ける教会の神官は神力も持たずにどうやって意訳しているのだろうか。

 霊的な要素に対する勘の鋭い連中を刺激するのは気が進まないので、あまり教会の機密を暴く行為はしたくないのだが。

 やむを得ない事情ということで、霊感をすり抜ける技術を完璧にしてから時間を取って内部に探りを入れてみよう。


〘―――〙


 位階、領域、封印。

 まるで私が来ることを予見していたかの様な対応ではないか。

 身動きの取れない海神は領域へ干渉することすら困難らしい。

 それなら持っていても仕方が無いと謂わんばかりに海神の神格そのものを戴冠させたいという。

 管理者不在で荒れに荒れた海神領域を何とかして欲しいということなのだろう。


 実際、今の海神領域は人目につかない鍛錬場として利用ついでに掃除しているので、管理代行を正式に委託されても労力としてのデメリットは薄い。

 純粋に領域を案じている様子で、リヴィアに実績を積ませるという意味でも、条件次第では請け負うのもやぶさかではないが。


〘―――〙


 海神子、恩寵、継承。

 ああ、それで構わない。

 時間制限付きなのでね、神に人の細かな都合を理解して貰おうなどという無駄な事はしない。

 代行を請け負うこと自体には異論は無いが。

 そのために必要な要素や、権限についても小分けして意思に乗せて与えて貰えれば、後はこちらで勝手に処理しよう。

 それが一番簡単だ。


 リヴィアのアイリスを通じて海神の神格の継承が行われている。

 今後も他の六大神との接触を重ねる上でも、略式でも前例を作るに越したことはない。

 神力は全てこちらで負担している関係で、出力調整の力加減も上手く合わせられる。

 神のスケールでは長時間掛けなければ細かな注文は出来ない事は学習しているので今は求めない。

 単純に「絞る、緩める」の二つだけをアナログで操作して、伝達される情報の受け取り速度を調整する形で進行させる。


〘―――〙


 生命、権限、拡張。

 ふむ、海神イージルの司るのは『生命』。

 生物なら誰しも持っている力だとは思うが、どうやら海神のそれはもっと純粋で根源的な要素として捉えている模様。

 継承そのものは済んでいるので、扱い方の感覚的な部分を拡張してくれるそうだ。


 さて、済ませなければならない事務的な引き継ぎは以上で十分だろう。

 時間が押している。

 熱量にも限りはあるし、私は時を止めたりは出来ないのでね。

 ここからは必要な情報を、知りうる限り提供していただこう。


〘―――〙


 異神、無銘、破界。

 それは理解している。聖戦のメカニズムについても同様だ。

 まず知りたいのは場所とタイムリミット。

 それから転生者達が現れる前の世界の様子についてもだ。


 何故、転生者が必要になったのかを知るには、その前後の変化を精査すれば自ずと導き出される。

 その変化と現在の状況を比較すれば、対象の目的を理解するのもそう労しないだろう。


〘―――〙


 六大陸、神託、創世。

 どういうことだろうか。

 彼等の計画の根幹は外からの意思の働きによる物だろう。

 しかし、それよりも確実に今の六つの領域には別のタイムリミットとなる要因が有るというのか。


 いや、ニュアンスが正しく翻訳出来ていないという可能性もあるが。私の知らない何かによって、世界が蝕まれいるとも取れる。

 だがそれは後回しだ。疑問を出せば切りが無い。


 次は他の五柱の大神について聞かせて貰おう。

 とにかく許容可能な範囲で情報量だけ詰め込んで、詳しい内容については後で整理する。


〘―――〙




◇◇◇◆◇◇◇



 封じられた海神との対話で当面必要となりそうないくつかの情報と、多くの疑問を得ることができた。

 限られた熱量と時間の中でのやり取りであったことから、聞きたい事はかなり絞った上で済ませる必要があった。

 それに接触が長引けばそれだけリスクがある。

 迂闊な真似をする気も無いので、陽光炉を再充填したところで二度目を行うつもりもない。


 例え封印中の神であろうともバイオリズムは存在する。

 私は海神を発見してから定期的に周辺の力の流れや状態を観測して、間接的な方法で集めたデータを参照してパターンを把握していた。

 今日は丁度、海神の眠りの浅くなるタイミングで、微睡みの中の半覚醒周期だったのだ。

 勿論、そこまで気を使わずともコンタクトは取れるだろうが、痕跡を残さずに接触できる機会を活用するに越したことはない。


 ともあれ、海神領域の実質的な支配権を得たが、それでも領域をすぐに正す事なくこれまで通りの魔境のままにしておくことにした。

 出来るなら領域内の全てのダンジョンと島々を調査してからどうするか決めたい。


 海神の権能と権限から得られた力はそのまま『生命魔法』と命名。


 ついでに獲得した知識を参照して私固有のギフトを構築する事が可能となった。

 試しに一つ調整しながら何処まで出来るのかを確かめるために拵えてみたが、純粋で酷く醜いギフトが完成した。

 既存の通常ギフトに関しては継承した知識を駆使すれば容易に量産出来そうである。


 ひとまず、忙しくなる学院入学前に増えてしまったやれることと、やるべきことを一つずつ達成していこうと思う。

 入学後も自由に動けるように、考えた対策案もある。

 私の計画は、今のところ大きな波乱もなく進んでいる。


 白鯨の噴水が作る虹のアーチをくぐってから、私は次の目的地へと転移した。






《あとがき》


これにてリヴィアを主人公とした物語の前編は終了します。


次回からは、遂に魔術学院を舞台にしたお話が始まったり、始まらなかったりします。


ですが、開幕前に軽く登場人物紹介を挟むつもりです。

学院では大量に新しい登場人物が出るので、既存のキャラクターの整理を兼ねて。


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