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1000通りの計画  作者: Terran
間章 創作活動
23/99

間章 創作活動 1



[225]

 さあ、計画を進めよう。

 データベースへアクセス。

 青い金剛石から失われし神々と神遺物についての情報を引き出し、接触して蒐集した神核の神力波長と照合する。

 神遺物の創造には具体的な効果の理解を深め、識る事が必要である。


・〈ホプラトの碑文〉

 碑文に使われる文字毎に魔力を蓄える事が出来る。

 有事の際に備えて碑文には毎年魔力の補充をしている様だが、蓄えた魔力は手順に従って文字を削る事で解放出来るのだという。

 回数の限られた巨大な魔力保管庫として管理されており、理論上は可能でもそんな魔力到底用意出来ない。という類の大魔術の行使に使われるらしい。

 書館に死蔵された使い手の居ない旧時代の大魔術を、この碑文を用いれば切り札として発動可能な状態で保有出来る。

 となると、星神領域はとてつもない抑止力を持っていたのか。

 これなら王家が衰退しようと影響力を維持しているのも頷ける。

 前世の基準で言えば核保有国だった訳だ。

 さすがは神遺物、とんでもないな。


・〈セティアスの星屑〉

 小瓶に入った星型の内服薬。

 任意の記憶や体験を一粒毎に記録する事が可能。

 服用者は夢で記録内容を追体験し、当時の出来事や経験を我が事の様に知ることが出来るという。

 現在でも残っており、中には旧時代の賢者の残した記録が保存されている。

 内容は秘中の秘とされ、特に直系の者であれば夢の内容も鮮明に再現される事から、一族は貴族として王家に召し抱えられているという。

 旧時代の賢者が経験し、後の世に遺そうとした生の記憶と体験を得られるというのは計り知れない価値があるのは間違いない。

 さすがは神遺物、いちいち浪漫に溢れる。


・〈オルケアの笛〉

 海流を自在に操り、一帯の海洋生物を使役する事が出来る横笛。

 旋律毎に起こす現象が違い、嵐を鎮めるのも、引き起こすのも自在。

 船団を海流に乗せて運ぶことも可能という、海の支配者たる力を持つ。

 百年前の海神領域の滅亡の際に強大な魔物達との闘いの末に失われたが、後の世に邪教徒が手にして海神領域の一部を拠点とし、世間の目から逃れ、世界を巻き込む大混乱を引き起こす暗躍を可能にさせた。

 邪教は壊滅したが、その際に笛は完全に破壊されてしまったらしい。

 確かにこれは神遺物と呼ぶに相応しい。

 凶悪な魔物の棲息域と化した海神領域を奪還するには絶対に欲しい夢の神遺物だろうに。


・〈トクトラの鍵〉

 実はこれだけは海底都市探索中に現物を拾っていたりする。

 巨大な沈没船の中の宝箱に入っていたので余程の宝だと思ったが、実際そうだった。

 これは亜空間へと到る鍵。

 中は城ほどの空間が広がっており、多くの金銀、多くの財宝、多くの武具、そして多くの遺体が眠っていた。

 身に着けていた物から察するに、おそらく彼等は海神領域の王族。

 籠城して最後まで抵抗したが力及ばず、栄華を極めた都市と運命を共にしたのだろう。

 その事が遺された手記から読み取れた。

 以上から解る通り、これは魔法の鞄の上位互換である。

 何せ生物すら収容して生存可能。

 完全に密閉されており、浸水した様子も無かった。

 だが欠点も明白だ。

 見た通り、鍵が人類の生存不可エリアに棄てられれば彼等と同じ運命を辿る事となるだろう。

 換気にも問題がある。

 だが、使い方さえ誤らなければこの神遺物が凄まじく便利であることは間違いない。


・〈ウルセンの仮面〉

 身に着けた者の武術や運動の技巧を集積し、次の装着者はその技術が扱える様になる。

 戦闘技巧を代々継承していく戦神の仮面。

 達人死すとも武芸は死せず、という夢の戦闘狂御用達装備である。

 最強の武人を生み出す為だけに特化しており、使い方も至ってシンプルという実用一点張りで、機能追求だけを求めた素晴らしい逸品だと感心した。

 何と無粋で、何と美しい道具だろうか。

 言ってみれば最強を決める武芸大会で、歴代優勝者全員連れてきて対戦相手をフルボッコにするようなもの。

 確かに最強である事は証明出来るが、それを無粋と云わずして何と云う。

 理論上、継承を繰り返した装着者に勝てる武術家は居ない。


 神遺物がどれだけの壊れ性能をしているのかよく解った。

 国宝として現存する物は、それだけで強国足り得るだけの影響力を持たせるだろう。

 いくら英雄が束になった所で、これを使われたらその時点で終了では無かろうか。

 全く、これだから規格外は手に負えない。


 さて、どれから創ろうか。




[226]

 意図して新たなる【神遺物(ゴッズレガリア)】を創るということで、工房に籠もった私は覚醒の御香をガンガン炊いて作業に没頭することにした。


 私が最初に創ったのは『アセラの譜面』と『ホプラトの碑文』と『セティアスの星屑』を併せた複合レガリア。


・『憧憬の望郷』

 形状は絵画の神遺物である。

 これがあればいつでも故郷へ思いを馳せ、その懐かしい情景そのままに回帰させる事が出来るだろう。

 かつての風景を蘇らせられる夢のアイテムである。


 次は『ホプラトの碑文』と『オルケアの笛』と『ウルセンの仮面』を併せた複合レガリア。


・『海王の羅針盤』

 オルケアの笛の効果を更に進化させ続ける海の支配者たる神遺物である。

 とことんまで海を掌握する事に特化した悪用し放題の自重しない効果にした。

 神力で動かす仕掛けなので私以外は扱えない。


 そして、その下位互換の魔導具。


・『航海士のオカリナ』

 航海士に継承して安全に航海する技術と、嵐や海洋生物による被害には笛の音で対処させる。

 神遺物を解析して得た条件と要素を元に、限定的な効果だけ持たせた実用的な安全渡航の御守である。


 水棲系の魔物の嫌う周波数の旋律。

 大気や潮の乱れを相殺する術式の旋律。

 微弱な記録と喚起効果の付与された笛本体。


 かなり素材価格を抑えたれっきとした魔導具である。

 渡航を経験して、この不便さとリスクを如何にして減らす事が出来るかを私なりに出した答えが、この魔導具のレシピである。

 航海をする大部分の人は危険を承知で生業とする船乗りと乗船する一般の人々なのだ。

 これなら仮に海神領域を解放した後でも役立つ魔導具として使われ続けるだろう。

 神遺物があれば確かに航海の安全は確保出来るが、あれは邪教の例からも分かる通り、悪用も容易で危険な代物だ。

 とてもではないが量産は出来ない。


 続いて『トクトラの鍵』と『アセラの譜面』と『ベルンの瞳』を併せた複合レガリア。


・『全知の蒐集館』

 プロシアに渡した学院のアーカイブの本体を更に改良した性能を持つ完成形の一つと言える物である。

 青い金剛石をベースに改造して創り出したが、要するに持ち運べる図書館兼博物館なのだ。

 私の転移魔法も組み込んである為、換気も出入りも自在となり、アセラの譜面による復元効果から、情報の蒐集だけで自動的に中へ転写複製され、逆に蒐集物の情報を再現して取り出す事も可能となっている。

 要するに現物を持ち込まなくてもデータさえあれば内部で勝手に出力して複製される。

 複製データを内部から取り出さなくても、出力すれば外に再現して複製出来る。

 『転移魔法』、『転写魔法』、『創造魔法』で、リソースさえ確保出来ればいくらでも集めて増やせるのだ。

 この便利機能の燃料は神力なので私しか使えないが問題はない。

 私の許可した者が出入りする事は可能で、複製は出来ずとも図書館として利用する分には何ら不自由しないだろう。


 最後に『ウルセンの仮面』と『セティアスの星屑』を併せた複合レガリア。


・『伝承者の氣丹』

 込めた武術を服用した者が夢の中で習得する。

 習得するまで毎晩夢を見続けるので頑張らないとならない。

 最大で一ヶ月は見続ける。

 順々に服用すれば寝るだけで誰でも達人になれる夢のお薬である。

 問題は意識の無防備な夢で毎晩悪夢の様な特訓をする事になるので、精神を病んでしまうかも知れないというだけである。

 現実に武術を習得するより遥かに効率的なのだ。

 この程度なら大したリスクでは無いだろう。


 但し、一度に複数を服用した場合は効果が相殺してしまい、訓練効果は得られない仕様になっている。

 仮面では純粋な本人の強さとは言えないが、これなら本人の実力の底上げに使える。

 借り物ではない力を得る効果の方が個人的には好みだ。

 寝てる間も訓練出来るだなんて、まさに夢のような神アイテムではないか。

 ローリスク&ハイリターンを実現したと言っても良い。

 ふはははは、私はオリジナルを超えたと確信したよ。



[227]

 次に着手したのはオリジナルの『トクトラの鍵』に放置されたままの遺体である。

 火葬して海に撒く事や、何処かの島に埋葬する事も考えたが、緊急を要しない案件である為に結局後回しにしてしまっていた。

 しかし、全知の蒐集館を創造してその特性を理解して行くに連れ、ある仮説が浮上してきたのだ。

 あの亜空間は完全に密閉されていたが、それは物理的な物なのか。

 それとも概念的な物なのか。という疑問である。


 鍵を何組か創り、検証を繰り返した結果。この亜空間は完全に独立した異境の様な物であり、転移術式ですら出入り不可能であった。

 出入り可能なのは鍵と転移魔法のみ。

 鍵は他の鍵を経由して外へ出る事は可能で、転移魔法は理法転移では鍵の位置の特定が必要。

 異法転移なら制限は無い。


 もしかすると内部で死んだ者は輪廻の輪に還れないのかも知れないのだ。

 するとこの遺体の持ち主達はまだあの空間を彷徨っている可能性が高い。

 ならばいっそ新しく躰を創って宿らせてみるのも良いかも知れない。


 早速、遺体から採取した細胞を元に錬金術や錬丹術の文献を参考にしつつ、創造魔法と前世の知識を組み合わせて躰を構築していく事にする。

 所謂ホムンクルスの鋳造技法と科学的なクローン技術を応用した人体の創造である。

 人の創造は禁忌らしいが、それは正しくない知識で行って失敗してきたのが原因だろう。

 ヒトではない何かを創っても魂が無かったり、得体の知れないソレに合わせた霊的な疑似魂が形成されて得体の知れない何かが誕生してきた。と推測される。


 これだけ鍵を量産したのだ。

 研究の場には事欠かないのだし、まずは動物実験を繰り返してデータを収集。双子の創造前に散々疑似生命の構築実験をしているので今回はほぼ確信在っての実験である。

 そう時間も掛からずに魂の定着まで成功した。


 結局意図的な物を除けば失敗する事も無く、ひと月程の期間で事足りたのは少々肩透かしだったが、早いに越したことはない。

 ここなら神の目すら届かないのだから自重する必要も無さそうなので、魂をエーテルで選別してそれぞれの遺体と共に、光を用いて彼等をまるまる情報化して新しい躰へインストールした。


 その際に何となく出来そうな感覚を憶え、私は祝福を与える事にした。

 やってしまってから後になって軽率な行動だったと思ったが、おそらくリヴィアは感覚的に可能だと確信したのだろう。

 神にも亜神と言われた事があったが、あれからいくつもの神々の力を継承した今のリヴィアは今や、並の神よりも神格は強くなっている可能性すらある。


 神力譲渡を応用した祝福の付与。

 つまり加護くらいは既に与えられる状態だったのだ。

 事後確認となってしまったが、正式にリヴィアは神の権能を使用可能という確証を得たのであった。

 あくまでも自分という神格を威とした神力注入による加護の付与であり、自分自身をどうにかする類ではない。

 貰うのではなく与えるのだ。

 つまり自分に掛かっている六大神のデバフ加護をどうにか出来る訳では無い。

 理屈では解っていたし、どうにか出来るとしてもそのままにする予定だったが、それでも少しガッカリした気持ちになった。

 私ことリヴィアはまだ子供である。

 こういう気持ちが芽生える事も良しとしよう。


 ともあれ、新しい従者が出来てしまった。

 暫くは経過を観察しつつ、亜空間内で育成するとしよう。

 出来る確認の為だったとはいえ、私の産み出した生命なのだ。

 産み出した者の責任もある。

 双子の時もそうだったが、何となくリヴィアとして嬉しい気持ちが芽生えた。

 十分に検証をしたら双子にも加護を与えなければならないな。



[228]

 世界との隔離空間であるのを良い事に、私は神眼(アイリス)の実験に明け暮れていた。

 誕生時から何となく使い方は理解していたが、改めて理論的に把握してみるとはっきり異常である事が窺えた。

 これからもなるべく使わない様にしよう。


 そして特に面白かったのは加護である。

 私はギフトを授けられる様になっていたのだ。

 となればどの様なギフトが与えられるのかを検証すべく、あれこれと試してみようと思ったのだが、ここで自身の転生時のボーナス振り分けを思い出し、【洗礼の儀】や【恩寵の儀】、接触した神々から得た祝福やギフトを振り返ってみる。


 ここで新たな仮説。

 与えられるギフトには共通した一般ギフト以外にも神々毎に得手不得手が有り、当該神の特徴に由来した特製のギフトがある。

 先日の武芸百般がまさにそれで、ウルセンの得意とする特徴を由来としていた。あれは他の神では付与の難しい特有のギフトなのではないだろうか。

 同時に、希少級や超希少級と言った分類はあくまでも受け取る側が勝手に決めた物で、実際には神側の視点とは異なると考えられる。


 どういう基準で神側がそれらを決めているのかは定かではないが、個人的な接触においては要望を考慮したギフトをその場で授けられるのだから、要望無しの場合は個人の波長やら何やらから自動で割り振るシステムでも構築されているのだろうか。

 本調子ではない神々がどの程度の精度を維持しているのかは解らないが、欠損神は本来のギフトは願いや祈りから与えられる物なのだと説明していた。

 今のランダムにしか見えないギフトの付与が異常事態なのだろう。


 そもそも転生時は神監修の元で自由選択出来たのだから。ギフトも本来神々次第ではあるが、ある程度の融通が利くもので無ければおかしいのだ。

 今は聖戦の為の戦闘を有利にするギフトばかりが与えられているらしいが、それがかえって受け取る側が自分達の都合で解釈して、分類を勝手に分けやすくしたのだろうと推察出来る。

 解析とは一定の法則がある方が辻褄合わせも容易になるものだ。


 もう一つ法則がある。

 必ずではないのだが、やはり神は自身の領域で産まれた命に加護やギフトを付与する傾向が強い。

 影響力の関係もあるのだろうが、特に血統への依存性や相性も大きく関わる様だ。


 人間族と森人族の混血であれば、人神か地神が主に加護を与えるが、人神領域産まれなら人神。

 地神領域産まれなら地神。といった傾向になりやすい。

 あくまでもなりやすいだけだが、大雑把にそういう法則がある。

 もちろん全く関係ない星神の加護の場合も無くはないが稀なケースだ。


 私にも星神や海神の加護はあるが、これは転生特典による物で法則には当て嵌まらないが、それでも異常扱いされないのはそういうランダム要素があるからなのだろう。

 何となくだが、私が既存の神々の神遺物を使えるのも加護のお陰である可能性が高そうだ。

 大陸の王家の血筋は神の眷属の一族という話も文献から見て取れた。

 確かに誰にでも使えたら神遺物の力で国家転覆も容易かろうし、その為の安全装置か認証システムくらいは付いていると考えた方が自然である。


 いやしかし、私の創ったベルンの瞳はどうなのだろうか。

 プロシアは天空人と森人族の混血で人神の加護は無い。

 なのに人神領域の神の力を秘めている神遺物を使えた事の説明が付かないではないか。


 私が創った神遺物にはセーフティが着いてなかっただけなのか。

 いや、ここまでの考察から察するに、プロシアと私とは血縁関係にあるのだから、私という神の眷属として判別されている可能性が高い。

 ならば双子が神遺物を使えるのも同時に説明が付くだろう。

 となると新たに再誕させる海神領域の王族とその親族や従者達は海神領域産の神遺物しか使えないのだろうか、それは要検証項目だな。

 比較用に一人、私と血縁関係にある者の血を少し与えて創造してみるとしようか。

 これで誰と誰が、異なる条件下でどの神遺物が扱えるかの実験が可能だ。

 であれば、あの海神もそろそろどうにかしてしまわねばなるまい。

 出来れば自由な時間の多い今、学院入学までの間に片を付ける必要があるだろう。




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