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石版の使い道

 犬の絵の石版か……。

 何で犬が刻印されてるんだろう。犬なんかこの世界にいたかな。


 ん。いや待てよ。

 これは犬じゃなくて、見ようによってはオオカミにも見えるな。

 そうだ。これはオオカミの絵だ。うん。きっとオオカミに違いない。

 この世界にいるオオカミと言えばバロンウルフがすぐに思い浮かぶ。

 確かにこの絵に描かれたオオカミは、あの丘の下で戦ったバロンウルフに似ている。

 しかしそのバロンウルフが何で石版に刻まれているんだろう。

 宝箱に入ってるところからして何かのキーアイテムっぽい感じはするが……。

 バロンウルフと石版。なぜこの組み合わせなのか。意図は何なのだろうか。

 いずれにしてもこの石版は持っておくとしよう。どこかで使う事があるかもしれない。

 俺は用途不明の石版を車の助手席に置いて、塔の4階へと車を走らせた。


 長い螺旋階段を経て、4階に到着した。

 4階は非常に広々した空間だった。

 見ればこの階には上へと続く螺旋階段がどこにも無かった。

 どうやらここが知識の塔の1番上、最上階のようだ。

 知識の塔は草原を封印したガーディアンの居場所を見つけてくれる場所だと言っていた。

 きっとこの最上階にガーディアンの位置を示す手掛かりがあるはずだ。

 俺は最上階のフロアを見渡す。

 ここの階は今までのフロアと雰囲気がまったく違っていた。

 まず、壁に大きな絵が描かれていた。

 ピラミッドとかマヤとかの古代遺跡にありそうな、子供が描いたような壁画だ。

 さらにフロアの中央には、アーチ状の門のような石が置かれていた。

 門は高さが5メートル、横幅は3メートルぐらいだろうか。軽自動車が通れるような非常に大きな門だ。

 俺はカーナビで敵がいるか調べたが、このフロアに魔物はいなかった。

 安全が確認できたので、俺は車から降りてこの階にあるものを間近で調べてみる事にした。


 まず気になったのは、フロアの壁に描かれた巨大な絵だ。

 絵は、壁の真ん中あたりに横一直線に線が引かれていた。

 その線から上は、太陽が昇っている。

 そして太陽と線の間にはオオカミがいた。石版に刻印されているのと同じオオカミの絵だ。

 たぶんこの線の上は、地上を表現しているのかもしれない。

 次に線から下、つまり地面の中を見てみる。

 そこにはネズミの絵が描かれていて、さらにその下にはたくさんの小さな家が描かれている。おそらくこれは街を表現していると思われる。

 その街の奥に、神殿のようなものがある。

 これが、壁画に描かれていた内容のすべてだった。


 かなり奇妙な絵だ。

 おそらく地上と地下の両方を描いたものだと思うが、なぜ地下に街を描いたのだろうか。

 まるで地面の下に地底の国があるとでも言いたげな感じだ。何とも馬鹿げた話だ。

 しかしあの妖精は、この知識の塔は隠れたガーディアンの位置を俺に示してくれる場所だと言っていた。

 まさかこの草原の地面の下にそのガーディアンがいるとでも言うのだろうか。

 だが今までのこの世界でのありえない出来事を考えると、地面の下にそんなものが存在してても別に不思議では無いのかもしれない。

 だがもし仮にガーディアンが地底の国にいたとして、その場所へはどうやって行けばいいのだろうか。

 地底へ行く方法が無ければここで得た情報はムダになってしまう。

 どこかに地底へ続く洞窟でもあるのだろうか。だがこの草原しかない世界にそんなものが存在してるとは思えないのだが……。

 ……ん?

 壁画に眩しい光が差し込んで来る。

 振り返ると、フロアの中央にある石造りの門が光っていた。

 その光る門の中に、薄っすらと草原の景色が映し出されている。

 何だかそこは外にある草原に似ている。

 ひょっとしたらこの門は草原のどこかの場所に繋がっているのかもしれない。いわゆる転送ゲートってやつだ。

 まるで門は俺にその門の中へ入れと語りかけているようだった。 

 よし、そこに答えがあるんだな。なら入ってそこに何があるか確かめてやる。

 

 俺は車に乗り込み、光を放つ門へ向かって車をゆっくり走らせる。

 門は大きいため車は容易に中へ潜る事ができた。


 ブン。


 光り輝く門を通り抜ける。

 目の前に青空が広がっている。


 そこは草原の『丘の上』だった。


 後ろを振り向くと、そこにはいま自分が出て来た光るゲートがあった。

 ゲートの中は壁画のあったフロアの景色が映し出されていたが、すぐに光るゲートは小さくなっていき、間もなく消滅してしまった。

 これでもうさっきの塔の中には戻れなくなってしまった。

 あの転送ゲートは何故こんな場所と繋いだんだろうか。理由が分からない。

 そのとき、遠くから5匹のオオカミがこっちに走って来るのが見えた。バロンウルフの群れだ。

 すぐにカーナビで確認したら、レベル3のバロンウルフだった。

 てことは、いま俺がいるこの場所は最初の方にあるエリアだ。かなり戻されたな。

 だが今はそんな事を考えてる場合じゃない。あのオオカミたちを始末しないと。

 獣の群れにはそうだな、攻撃範囲の広い火の魔法がいいだろう。

 俺はバロンウルフの群れに向けてファイアボールを撃つ。

 自動追尾型の巨大な火球は群れの中心に的確に命中。着弾したあと火球は破裂し、炎が広範囲に広がって数匹いたバロンウルフをすべて焼き払った。

 熱さに耐えられなかったのか、バロンウルフたちは燃えながら散り散りに逃げ出す。

 だがすぐに力尽き、魔物たちはその場にバタバタと倒れていく。

 燃え盛る炎の中で、倒れたバロンウルフたちはみんな炭のようになってしまった。

 あれ。バロンウルフってこんなに弱かったっけ……? いや、こっちが強くなり過ぎたのか。

 しかもレベルが上がる事で一緒に魔力のステータスも上昇しているから、それに伴いファイアボールの威力も以前より上がってるのだろう。

 同じ魔法を使っても火力が格段にパワーアップしてるはずだ。確かに前に使った時よりも火球のサイズが少し大きかった気がする。

 おっと、そんな事より何故ここに転送ゲートが繋がったのか考えよう。


 俺は周囲を見渡す。

 向こうの原っぱの地面に、円形の大きな石の床が見える。マンホールの蓋を大きくしたような石床だ。この草原にあんなのがあったなんて気づかなかったな。

 いや待てよ。そうか、ここは丘の上なんだ。

 初めて俺がバロンウルフと会った時、バロンウルフは遠吠えをして高い丘を駆け下りて向かって来た事があった。

 俺はあの時、丘の麓にいたから丘の上に何があったかは見ていなかった。

 しかし実際は、あの高い丘にはこの大きな石の床があったのだ。

 俺がこの重要な場所を見落としていたから、知識の塔は俺にこの場所を教えてくれたのだろう。

 そしておそらく、この場所こそがガーディアンのいる地底の国に通じる入口と言うわけだ。


 俺は車を降りて、地底の入口と思われる巨大な円形の石床に近寄る。

 見たところ、扉を開く取っ手のようなものは見当たらない。

 その代わり石床の中央にタブレットぐらいの大きさの四角いくぼみがあった。

 ん? この四角い窪みはもしかして……。

 俺は車に戻り、助手席に置いていた石版を取り出す。

 その石版を石床の四角い窪みにめ込んでみる。

 ピッタリ収まった。

 どうやらこの石版はここで使うものだったらしい。

 石版を嵌め込むと石床は光を放ち始める。

 その直後、ゴゴゴゴゴゴ……、と音を立てながら石床は横へスライドしていく。

 俺は開かれた地面の下を覗き込む。


 そこには地下へ続く階段があった。

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