沖縄1
スカイブルーの抜けるような青い空、一筋の飛行機雲。
エメラルドグリーンの海面からは大きな入道雲。
潮の匂いとかすかにトロピカルフルーツの甘い薫りが混ざった甘ったる乾いた空気。
ホワイトサンドのビーチでは大きな犬が2匹じゃれあって駆けまわっているだけで人影は無い。
聞こえてくるのは静かな波の音とヤシの木の葉が風で揺れて擦れる音小さな音だけ。
絵にかいたような南の島のビーチ、朝の陽射しが肌を刺し始めた。
遠くで誰かが呼んでる声が聞こえる。
うっすらと目を開けるとヤドカリが砂浜に穴をあけているのが見えた。
「結衣、結衣!」
あぁ、この声は葵だ
「結衣! どこ!」
起き上がろうとするが、身体が重い。
両手を砂浜について上半身だけ起き上がる。
「葵、どうかしたの? 朝から騒々しいな。」
葵が軽く駆け寄って目の前の砂浜に腰を下ろした。
「朝から騒々しい、じゃないでしょ・・ 結衣、ここ、どこか解る?」
「ん? ここ? ・・ビーチっぽい・・」
「そうね、間違いなくビーチね。 私が聞いてるのは、何で貴方がここで朝の目覚めを迎えてるか、ってことなんだけど。」
「そう、それ。私もそれが知りたいな。」
「・・・やっぱり、またか。 あのね、毎晩毎晩よく記憶無くなるまで飲めるわね。 もう警備員さんも貴方がビーチで寝てても気にしなくなっちゃったじゃない・・」
「プライベートビーチだからね。折角南の島のリゾートなんだから、全身でビーチと自然を満喫してるってことかな。アハ」
「アハ、じゃないでしょ・・ 昨日、ビーチでBBQ食べながらワイン2本空けて、その後カクテル飲みたいって屋上のバーに行って飲んでたら、先に部屋に帰るって出てったでしょ。 で、今朝貴方の部屋へ行ったら、予想通りもぬけの殻、で、探しに来たらまたしてもビーチで寝てる貴方を見つけたっていうストーリーで御座いますよ、酩酊姫様」
「うむ、丁寧なご説明、痛み入るぞよ。くるしゅうないぞ。」
「気を付けてよ、一応女の子なんだから。」
「ん?一応って何。正真正銘のれっきとした可憐で清楚な少女に向かって失礼な!」
「酔っぱらって朝までビーチの木陰で寝てる人は可憐な少女って言わないのよ。」
「なるほど確かに一理あるな。」
「何が 一理あるな、よ。 それが道理よ。 で、そろそろ朝食食べない?」
「行く! お腹空いてるっぽい。どこ行く?」
「プールサイドカフェでどう? 私、フルーツシェーキ飲みたいの。」
「葵のお気に入りだね。良いよ、行こう。」