オーダー2
(´・ω・`)つ オムライス
京都府京都市のとある喫茶店。
一見古ぼけた外見の何処にでもある個人経営の小さな喫茶店だが、そこには今日も今年の異常気象による炎天下の影響を撥ね飛ばす程の行列が出来ていた。
「マスター、マスター、オーダーオムライス4つ注文入りましたー」
「ぐぎぎぎ!!」
今日もとても飲食店の店員とは相応しいと言えない外見と軽い言葉使いのギャルが大声で注文を通す。
それをマスターは血の涙を流さんとしながらも歯を食いしばって返事を返した。
「ありあとしたー。──いらっしゃいませー」
今日もオムライスを注文したお客様がオムライスを食べ終えお店を後にすれば、すかさず間を置かずとして新しいお客様が入りオムライスを注文していく。
「マスター、オーダーオムライス2つ入りましたー」
「ぐぎぎぎ!!」
新たに通された本日47回目のオムライス注文に歯軋りで返答するマスター。
おのれクソビッチと睨むもギャル店員のメンチに顔を反らしたマスターは早速と料理に取り掛かる。
バターを溶かした熱々のフライパンに冷蔵庫から取り出した牛豚合い挽き肉300グラムの塊を2つフライパンで焼き上げていく。
チリチリと焼ける音に肉汁が混ざるかとその刹那、フランベを適量加え指パッチンで炎を上げたフライパンはアルコールを飛ばした瞬間に手首を返し表と裏をミディアムレアに近い状態で仕上げ最後に特性ソース絡ませて出来上がり。
「おらよ、ハンバーグ2つ」
「──ふんっ!!」
「──おごっ!?」
やりきったとばかりにドヤ顔を晒すマスターにヤってやるとばかりのギャル店員の拳が突き刺さる。
「誰がハンバーグつったし! あーしはオムライス2つって言ったよね? 作り直せ」
「い、いえす……まむ……」
最早どちらがこの店のマスターかも分からないこのやり取り。
この店の常連客はこれが日常だと苦笑を浮かべながらもオムライスを堪能していた。
取り敢えず作ってしまったハンバーグ2つはマスターの強い要望で2人の男女のお客様にハンバーグオムライスとして提供され、オムライス旨しとだけ述べたお客様に解せぬとマスターが顔を歪めていた。
「マスター、マスター、お客様から店の冷房上げてほしいんだってー」
今日の室外の気温は何時にもまして高かった。異常気象だといえるこのクソ暑い炎天下の中、そこまでして訪れるのかと言いたい本日のお客様は外回りのサラリーマンやお昼休憩のOLが集中していたこともあり、店内の回転率は異常なまでに速かった。
その結果、何度も明け閉めした際に入り込む外の熱気とお客様個人の体温で室内の温度は爆上がりし、ギャル店員の額にはうっすらと汗が垂れていた。
「──ちっ!」
またかとした顔で指を鳴らすマスター。
パチンと乾くような良い響きが店内に広がると、冷たい冷気が一瞬で店内を駆け巡り、ギャル店員を含むお客様全員の体感温度がみるみる下がっていく。
「あー、やっぱマスターの冷房は凄いわー」
涼しーと何処か納得いかないとした顔をしながらも『ありあとねー』と返したギャル店員。
店内にいるお客様全員も涼しーと何処か納得いかないと顔をしながらもオムライスを堪能していた。
「マジでそろそろ冷房付けるか……」
今日何度目になるかも分からないお客様の要望に本気で考え込み始めるマスター。
このお店をオープンした際に付け忘れていた冷房がここまで面倒くさい事になるとはマスターは夢にも思っていなかった。
ていうか、ギャル店員がバイトとして居座りつくまではお店は閑古鳥が鳴くくらいに必要がなかったのにとマスターはどうしてこうなったと悩んでいた。
店内の気温が数度下がり心地好い空間となった所で、オムライスを堪能し終えたお客様が新規のお客様と入れ替わるようにして入ってきた。
「いらっしゃいませー、ご注文はオムライスですかー?」
「おいクソビッチ」
それは止めろと昨日言っただろうがとするマスター。もしも気を使ってお客様がオムライス以外を頼めなかったらどうすのだと昨夜ギャル店員と話し合ったのにも関わらず、『んーなのあるわけないし』と一蹴して今日も元気にバイトに励んでいた。
そして哀れにも今喫茶店に来るお客様は皆がオムライスをご所望しているのであり、
「マスター、オーダーオムライス3つ入りましたー」
勿論ですとオムライスを注文していく。
「ぐぎぎぎ!!」
いっそ大悪魔でも呼び出してお客様全員を叩き出してやろうかと苦慮しオムライスを作っていくマスターにギャル店員は、
「マスター、冷房効きすぎて寒いんですけどー」
もう本気で72柱の炎を纏う悪魔アミイを呼び出したたろかと不可思議言語を呟き出したマスターを拳で黙らせたギャル店員だった。
100%ノリで書いてる作品です。
更新は不定期です!