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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

歩みを止めない不死の自殺願望者

作者: ノーノ

処女作に見せかけた2作目さ

真の処女作がね、中々話が進まないの

一章のあらすじ自体はもう考えているのに、章ボスと主人公の邂逅はおろか、まだ土台にすらたってないの。

ある程度かけたら投稿するかも...?


文章力についてはまぁ、改善点等あればご教授を...

私はが嫌いだ。


最後の最後で自分のエゴを押し付けて来たが嫌いだ。


死んでもなお、私の側で自分の最後の言葉を守らせようという態度も気に入らない。


どこに行って、何をすればいいのか。


わからない。


わからないわからない。


わからないわからないわからない。


でも一つだけ私にはわかることがある。


それは、最後まで前に前に歩き続けなければならないということだ。


今日私は新しい私(・・・・)になる。


これから何が起きるのか誰にもわからないだろう。


ただそれでも私は前に進むしかない。


いつか確固な目標を得る日まで。


________________________________________________________________


一人の愛らしい16歳の少女が夜に人気の少ない駅のホームに立っていた。


2面2線の相対式ホームには彼女を除いて14人ほどの人がいた。


そのうちのほとんどは、彼女が何を考えているのかなど知らないし気にもしない。


それもそうだ。


所詮は赤の他人。


大抵の人は彼女の姿を目にとめても、その容貌に少し観察した後はすぐに興味を失い、手元のスマホへと目を戻す。




少女は、イギリス人の父と日本人の母を持つハーフだ。


ラピスラズリのように青みがかった父親似の優しそうな瞳、肩甲骨のあたりまで伸びたトパーズのような艶のある金髪、肌の色は日本人より少し白い。


目元は母親に似てつり目で、口元はふっくらとしる。


十人に訊けば、7人が可愛いと評するような顔だ。




その風貌は日本社会では確かに人の目を引いた。


街中で行き交う多くの人は彼女を見て『可愛いハーフの子だ』程度の感想を抱いて、各々の生活に戻っていく。


しかし、彼女と一定の関係性がある人――――例えば学校の同級生――――はどう思うだろう。


結果として彼女はスクールカースト上位の女子から目の敵にされた。


きっかけは、その女子の好きな男が彼女に告白し断られたことを端を発する嫉妬か。


それとも、元々他人を貶すことでしか自身のアイデンティティを維持できなかったその女子の弱さだったのか。


何にせよ、彼女にとってはもはやどうでもいいことだが。


結果として彼女は苛めの対象となった。


教師はクラスの団結などと宣い、それを黙認した。




痣が絶えない日々だった。


心も体も磨り減っていった。


幼いころに父を交通事故で亡くして以来、母は自身の娘に対する興味が薄れていた。


夫を亡くしたことがよほどショックだったのか、母は廃人一歩手前といった状態で、毎日彼女は母の世話をしていた。


母の実家は、異国の男と結婚するといった母に絶縁を言い渡していた。


一家の所持金は、父の死亡保険と少ない遺産、事故相手から支払われた賠償金。


母を入院させることも考えたが、それでは学費が足りなくなる。


彼女が中卒で親を養うほどの仕事を得ることは難しい。


だから、彼女は自身の学業を優先させた。


...そこにほんの少し、自身を見捨て過去に縋る母への意趣返しの思いもあったかもしれない。




来年に立体交差化の工事が始まり、3年後にはなくなるだろう踏切が鳴り始める。


次の電車はこの駅を通過する。


この路線区間でも1,2を争う速度を出しながら通過する。


飛び込めば確実に死ねるだろう。




後悔はある。


今すぐに大声で泣いて人の目も気にせず取り乱してしまいたい思いもある。


ただ、彼女はその選択を取らない。


幼いころから人の善意よりも人の悪意や醜悪さを見た彼女は、すでに自身が耐えることこそが正しいことだと考えていた。


耐えられなくなったところで、泣きつける相手などいない。


無意味なことをするくらいならば、いっそ消えてしまおう。




彼女の頭の中は、これから行動に起こす人生最後の一歩の関することだけだった。


だからこそ気付かなかった。


『間も無く、一番線を電車が通過いたします。

危険ですから黄色い線の内側でお待ちください』


駅のアナウンスに紛れるように、自身へと近づく足音に気づかなかった。




電車の前照灯に照らされ一歩前に踏み出そうとすると、突然後ろから手が伸びて彼女の後ろ襟を掴んで、後ろへと引き寄せた。


「え?」


少女は疑問の声を上げる。


飛び込もうとしていた自分が何故か後方へとたたらを踏み、そして見知らぬ青年が少女の代わりに電車へと身を投げ込んでいることに。


青年の顔は笑顔だった。


青年の目は自分と同じ意思があった。


彼女はそれを見て悟った。


自分はこの青年に――――自身と同様に自殺を試みる青年に、邪魔をされたのだと。


悔しい、ズルい、何であなただけ、貴方も死にたいのなら私の気持ちだってわかる癖に。


彼女はそんな暗い思いが溢れ出た。


電車の運転手は顔色を変えてブレーキを必死にかける。


しかし、電車は死にたい少女を轢くことなく、少女を救おうとした青年を轢いた。




鉄が錆びたような匂いが蔓延する。


偶然にも人が電車に轢かれる瞬間を見てしまった女性の悲鳴。


事故とみるやスマホのカメラを使い現場の写真を撮り始める男。


そんな中彼女はただ茫然と電車を見つめ続けた。


自身の命を絶たせたはずの電車(都合のいい道具)


結果は彼女は死ななかった。




「ああ...いった!」


「!!」


電車の車体下部から、男の声が聞こえた。


それは自身の代わりに電車に飛び込んだ男の声だと、彼女は直感的にわかった。


あの速度の電車と衝突しながら、まだ息があることが彼女にとっては驚いた。




「何...で?

私だって死にたかったのに!

何!?

最後の最後で善行でも積んだつもり!?

余計なお世話!ありがた迷惑!

人の邪魔はしたくせに自分は飛び込んで...ッ!」


彼女は叫んだ。


周囲の目など気にせず叫んだ。


許せなかった。


自分だって自殺をしようとしていたくせに、死にたいという思いは理解できるくせに、彼女の邪魔をした男が憎かった。


「悪いね...。

多分俺はここで死ぬけど、どうか君は俺の分まで生きてほしい」


「はぁ!?

何一丁前に遺言残そうとしてるの!

何良い人ぶってるの!

エゴを押し付けるな!

あぁッ....もう...ッ」


自殺を目前にして高ぶっていた緊張の糸が切れて、彼女の意識が遠のき始める。


朦朧とする世界の中、最後に「ごめんね」という言葉だけが聞こえた。


その謝罪が何に対する謝罪なのかもわからないまま彼女は駅のホームに崩れ落ち、周囲にいた人によって救急車が追加で呼ばれて、病院へと送られた。


________________________________________________________________



病院で目を覚まし、貧血だと診断されその日のうちに少女は退院をはたした。


その後、警察に当時のことに関する事情聴取を受けた。


少女は素直に、自身が自殺しようとしたことや、青年も自殺を試みていたようだったことを話した。


青年の部屋からは遺書が見つかり、それには職場で受けたパワハラや労働基準法を無視した行動の数々が記されていたらしい。


彼女に事情聴取をする婦警は、この事故が自殺として処理されたことを彼女に伝えた。


あの青年は家族や親族を既に失っていたらしく無縁墓に埋葬されるとも聞いた。




少女の境遇を聞き、婦警は児童養護施設への入所を薦めたが少女は断った。


彼女はこの聴取が終わったら再び自殺を試みる意思があったからだ。


一方で彼女が受けていたいじめに関する問題は、県の教育委員会へと連絡を警察側が行った。


婦警は彼女へ『苛めが終わらないようなら相談をして』と伝えた。


彼女をいじめていた存在が何らかのペナルティを受けることがあろうとなかろうと、彼女は一向にかまわなかった。


なぜなら、既に彼女は生を諦めていたのだから。


そんな彼女でも、一つだけ驚いたことがある。


それは、あの青年が即死していたということだ。


彼女が婦警に青年から遺言のようなものを伝えられたと話したとき、婦警が驚き、教えてくれたのだ。


自分だけ自殺を成功させて、その上で他人に対して自殺を諫めようとした青年の行いに対して、彼女は憤った。


体が震え、言葉にできない怒りに対して涙を流すということでしか表現ができなかった。


それを見た婦警は何を勘違いしたのか、彼女を抱き寄せて頭を静かに撫でた。


_____________________________________________________¥





今でも私はあの日のことを夢で見る。


あの日、あの青年さえいなければ私の自殺は成就していただろう。


しかし、すでに私は自殺という選択を選べない。


あの後、私は何度も自殺を試みた。


しかしその度に邪魔が入った。


自身を刺そうと刃物を持てば、目に見えない誰かに刃物を手から叩き落される。


高所からの投身自殺も試してはみたが、あと一歩のところで金縛りにあう。


服毒も考えたが、毒を入手するたびにその毒がどこかに消えた。


自分の手に握りしめていても気が付いたときには初めからそんなものなんかなかったかのようになくなるのだ。


そのほかにもあの手この手を尽くしたが、悉くが失敗に終わった。


気付けば私には生き続ける以外の選択が無くなってしまっていた。


あの青年の最後の言葉はもはや呪いとしか思えない。


そう思った私は有名な神社にお祓いを頼んだが、それは良い呪い(まじない)だと言われ拒否された。


ちょうどその時に、私にあの青年の霊が憑いていることも教えられた。


あの青年は、最後の言葉を何としてでも守らせるつもりらしい。




ロバの贅肉『全裸待機』

kurukuru『脱ぐな定期』

kdjh769『3期生のトップバッターか』

✓ルシア『がんばれー』

六派『保護者さんチースッ』

登録者300人目標『ほんとよくおるwww』



パソコンのモニターに映し出された、3分後に始まる予定のライブ配信画面の横に写された待機チャット。


そこには沢山の人たちが思い思いに屯っている。


肝心の配信画面には既に企業から公開された新しい私のガワが、見る人を激しく憎悪しているかのように睨みつけている。


肌は青白く、口の端から血を垂れ流した少女は死装束を纏、目は虚ろにも見える一方何かへの激情を湛えているようにも見える


彼女の名前はカバネミスイ。


私とは違い一度は死んだものもののこの世に未練があり、ゾンビとして蘇った少女。


だって私は死を望み、あの世への未練を強く残し、死から最も遠ざけられてしまった死んでいないだけの死人だ。




自死はおろか、他殺に始まり偶然の事故から致死率の高い病までありとあらゆる自身の死の可能性が亡くなったことに気が付いた私は茫然自失となった。


あの事件以来学校も退学し、ただ自分が死ぬことだけを考えて生きてきた私にとってはすべてを失ったも同然だった。


もはや何かをしようという目標もなくなった私は母のようにただの人形のような日々を...とはいかなかった。


質が悪いことに、ただ自分の死だけを願い動き回った日々が私という人の在り方をほんの少し変えた。


常に何かをして、何かに向かって動き続けないと無性に落ち着かない気分に襲われるようになっていたのだ。


今までは死という目標があったからこそ気が付かなかったが、その目標が失われたときになって初めて気が付いた。


どうしようかと悩んだ時、あの青年の言葉を思い出した。


『俺の分まで生きてほしい』


あの言葉は今思い出してもどうしようもなく腸が煮えくり返るような思いに襲われるが、その思いに蓋をして何か別の、前向きな目標を立てて進んでみようと思った。


しかし、私は高校を退学した身。


つまり、中卒だ。


この国で中卒で就職をすることは不利に働くことはあっても有利には働かないだろう。


そもそも、私には就職する気はない。


というか、死を目標としていた私にとって、自分から新しい前向きな目標など建てられるわけもない。


何をすればいいのか、何を目指せばいいのか。


何もわからないのに、心は常に前進を求め続ける。


そんな時だった。


Our Tubeという動画投稿サイトで、Vtuberなる世界を知った。


これだと思った。


今までの自分から新しい自分へと変える一助になるかもしれない。


もし変わらなくたって、新しい目標を見つけるまで自分は前に歩んでいるという充足感は得られるだろう。


その間に、新しい目標を定めればいい。


そう思い、ちょうど目についたある企業のVtuber募集の報。


それに私は応募した。


結果は合格で、今日私は画面のまで待機している。




初配信の時間が来た。


チャットがどんどん加速していく。


「こんばんわ在世の者たち。


こんばんわ、私が失ったものを持つ者たち」


私は死を失った。


私は不死となった。


この体はあの日から成長を一切見せない。


私に老いはあるのだろうか。


私に終わり(・・・)はあるのだろうか。


「妬ましく、憎く、この上なく幸福な者たちよ。


うらめしや、うらめしや、うらめしや。


私は屍ミスイ」


そんなことは、これから分かるだろう。


それがわかるまで私はただ歩き続けるだけだ。


ただ、闇雲に歩み続けるのはやっぱり不安だ。


だからどうか、画面の向こうの見知らぬ人たちよ、


私が目標を見つける日まで...


「夢を失い、何も見えないこの哀れな死者を導いてくれますか?」



――――――――歩みを止めない不死の自殺願望者・完




(しかばね)から死を抜いて(かばね)

でも結局屍じゃあ死体には変わりがないし、何なら死体にもなりきれてないからミスイってしたの。


続編?無いよ多分

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