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愛のペンダント  作者: おいしいカステラ
1/1

彼女と俺

「雪人くんにお願いしたいことがあって、私のペンダントを持ってて欲しいの。ダメかな?」


「いいけど、どうして俺にさくらが大切にしているペンダントを?」


「持ってて欲しいの」


「よくわからないけど、分かった」


俺にさくらがずっと大切にしていたペンダントを渡された。


中身は多分大切な家族の写真だろうと思うけど、それはさくらにとっては重要なことだった。


さくらの両親は、2人とも他界していた。

それに兄妹のいないさくらには、家族写真はさくらにとって形見ようなもの。


勝手な想像……


不思議に思ったが、俺はさくらの思いを受け取ることにした。


「じゃあ、今日は楽しかった」


「俺も。明日学校でな!」


「うん、大好き」


「急になんだよ。恥ずかしいだろう」


「なんか、伝えたくなったの。自分の気持ちを言葉にすると、何だか嬉しくなるでしょ?ってね」


「もういいから、雨も降ってるから帰れ」


「うん。送り迎えありがとう」


また明日も学校だし、何で俺に大切なペンダントを渡したか後で理由を聞くことにした。


だって、今日はいつもと比べて雨が酷かった。

それは、何かのお告げみたいだった。




「さくら遅いな」


いつも遅刻をしないさくらが、学校に中々

来なかった。


俺は不安で、そわそわしていた。


「彼女がいなくて心配か。羨ましい奴め!」


「いつも遅刻とか、休みとかしないし、昨日だって普通に元気だったし」


「お前さては昨日デートだったのか?」


「うるせぇよ」


相変わらずうるさい降谷は、俺をからかう顔でこっちを見た。


降谷は、俺が生まれた時から知り合いだった。


降谷の父親と俺の父親は、腐れ縁と言うやつで小さい頃から仲良しだった?のかな。


だから、さくらとのことで相談をしたこともある。


そうさくらは、最初から不思議な女の子だった。




さくらとの出会いは、思いがけない頃だった。


さくらは俺達が、1年の2学期に転校してきた。都会の名門高校から、何処にでもありそうな田舎の普通の高校に進学してきたらしい。


田舎だし、頭も普通だから釣り合わないと言って孤立しそうだったけど、周りを惹きつけるオーラがあるのか全く心配がなかった。


むしろ、その子中心でまわってるのかなとその時思った。


たくさん話すタイプでもないし、自己主張もしないのに。


なぜか、さくらはモテていた。それも凄くが付くぐらい。


1週間に1人のペースで告白されていたという。

みんな彼女の魅了されたのだろう。


でも、全部の告白を清々しいくらいに彼女は断った。


あんなにお似合いだった人気者のクラスで1番かっこいいと言われていた、早川八雲の告白でさえあっさり断った。


それなのに、


「ねぇ、私と付き合って欲しい」


「なんで俺?」


俺は校舎裏の中庭でまさかの彼女に呼ばわれて告白された。


あまり話したこともないし、話したと言っても授業のこととか、学校のことぐらいで仲の良い友達ですらなかった。


さすがに俺は、人気者であってもあまり話したことがない人を好きにはなれず断った。


すると、さくらは誰よりも爽やかでスッキリとした顔でニコッと笑った。


風になびく髪は、なおいっそうそうさせた。


「初めて、断られた」


「それはあまり話したことがないのに、逆にいいですよ!って言ったらおかしいだろ」


「それもそうなんだけど。霧島くんは私に話しかける様子もないし、仲良くなろうとも思ってないのが、何だか初めて凄いいいなって思ってたの」


「なんだよそれ」


「私ね、いつも見た目とかで判断されたり、性格がいいって思われたり、男の子がホイホイ私に声掛けて来るのよ。ほら、私って可愛いから」


「それ自分で言うか?ある意味清々しいけど、てかお前そんなタイプだったけ?」


「それは表の顔ってやつだよ。そうやって、愛想笑いばかりしてたら、勝手についてきたの。本当は性格だって、誰よりも悪いのにね」


「変なやつだな」


「変なやつだけど気に入ってくれたかな?なら、付き合ってよ」


「嫌だ」


それから、毎日のように校門で待ち伏せされて、毎日告白された。


俺は、いつものように断ってアルバイトがあるからとそそくさ帰って行った。


でも、断っても断っても諦めないと言い、

しつこく請求された。


周りから見たら、なんでこんな無愛想な男が

クラス1人気者でモテる女と、一緒にいるのか不思議でならなかっただろう。


相変わらず、向こうも告白されるのに全く俺以外眼中にないと言わんばかりに、自慢話をしてきた。


そしてそれが1ヶ月も過ぎた頃だった。もうさすがに毎日こられたら俺も迷惑だと思い、とうとう折れることにした。


今までこうやって、告白されたことがなかったし、ここまで言われると俺も折れざるおえなかった。


「いいの!?」


「お前が告っておいて、なんだよその驚き方」


「だってまさかいいよって、言ってくれるなんて思わなかった」


「それはお前の気持ちに負けたのと、お前の性格の人となりを知れたから」


「めげずに何事も努力だね」


さくらは俺の顔を見て、今までとは違う元気で子どもっぽいような顔で笑った。


それから、デートや登下校もしたり、時には喧嘩もしたりしたけど、今もこうやって続いて約1年半。


でも、今だに謎な部分もある。


彼女は、両親を両方とも失っている。さくら言わく、父親は仕事中の事故でさくらが生まれてすぐに亡くなったそうだ。


その後、母親と二人暮しだったけど小学3年生の時、事故で車に引かれて亡くなったらしい。


その後、親戚を転々とする予定だったけど、自分は母親の母親、要するに祖母だと名乗る人に引き取られ、祖母と二人暮しになるためここに来たらしい。


波乱万丈にも関わらず、彼女は一切涙を見せることはなかったとも言った。


そういうとき、いつも母親の言葉を思い出しているからと言っていた。


「自分の気持ちを言葉にすると、何だか元気になるでしょ?ってね」


あれ、この言葉どっかで聞いたような気がする。 どこだったかな?思い出せない。




「何ぼけーとしてんの。彼女のことになるといつもそうやって」


「葵か」


「何よその言い方。幼なじみに言うセリフですか?」


「うるせぇ。耳元ででかい声出さないでくれないか」


「せっかく心配してんのに」


「それが心配だとは思えないんだけど」


「性格わる!」


幼なじみの葵。小学校の時に俺が引越してきて、家族ぐるみで仲が良かった。


葵はさくらとも仲が良くて、さくらの数知れない心から話せる友達みたいだ。


「でも、私も心配だな。あの子、遅れる時とか休む時とか必ず連絡するのに。だって、あの子の祖母もう亡くなって一人暮らしだって聞くし」


「え?」


「知らなかったの?1ヶ月前……」


「そんなの俺に一言も」


何で俺に教えてくれなかったんだよ。今まで亡くなってからも、何も無かったかのように笑ってたのかよ。


俺はそれも知らないで。


「それは心配かけたくなく……」


「ちょっといいか!」


担任が教室に入ってそうそう、会話を遮り入ってきた。







このストーリーは、悲しい思いをしても前を向いて歩くことがとても大切だと知ってもらいたいと思い書きました。正直、私もマイナスに捉えてしまうネガティブ思考のタイプなので、自分と主人公を重ねて書いた部分もありました。これからもその気持ちを忘れないでください。

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