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馬車から降りた俺は自分の目を疑った。確かに今横でニヤニヤしながら俺を見るレオーネは城に行くと言っていたが、あくまでもそれは根城という意味合いのものだと思っていた。しかし俺の目線の先には随分と立派な城がそびえたっている。
「あの、レオーネ?もしかしてまさかここって…」
「はい!当分の間お世話になる、魔王城ですよお!」
レオーネの言葉を合図にするようにして城の門が開く。
おっかなびっくりな心情を悟られないよう、現れた家令の男性に己の身を任せる。
あれよあれよという間に身を清められ、きれいな服を着せられ、髪を整えられ俺は早くも疲弊していた。通された部屋でぐったりしながらレオーネを待つ。話によると俺たちはこの後この城の主、つまりは魔王様に謁見をするらしい。魔王様は気さくな方だが流石に土埃のついた薄汚い姿のままでは会わせるわけにはいかないということで急いで身支度をしたのだという。