1-3 チュートリアル
相棒である青藍をハーゲンから貰い、居候生活を始め、1週間が過ぎた。
この世界「ハルムンド」は、大きな一つの大陸に、いくつかの大国家と、無数の小規模な国家があるという。
大陸を南北に二分する山脈があり、今僕がいるのはヘレネー王国という西側で一番大きな国。
山脈の東側は、アルバ帝国が支配力を強めており、丁度去年に、数百年かけた東側統一を成し遂げたらしい。
ゲームとかでよくある帝国…とは少し違い、帝国国民に対しては非常に良い政治をしており、裕福な街が非常に多く、征服し属国となった国々に対しても、基本的には自治権を認め、文化を残しているため、悪い評判は聞かないという。
その評判のせいか、半分ほどの国は戦争をせずに帝国の傘下に入ったのだとか。
帝国は世界一といわれる軍事力があるため、東側統一した後は、山脈を超えて西側含めて大陸統一を目指しているという噂も聞くので、西側諸国も帝国の動向を注視しており、若干ピリピリしている様子。
「でもまぁ、戦争に出向くつもりもないし、帝国は慎重だから少なくとも10年は、こちら側に戦争をしかけてくることもない…らしいし、気にしなくても良いか!」
そう、健人はあくまでダンジョン探索者になりたいだけなので、戦争はしたくないのである。
1週間何をしていたのかというと、こういった世界の知識を「ハルムンドの歩き方」で学びながら、
冒険者・探索者の必修科目である狩りと採集をハーゲンの家周辺の森で実践をしていた。
1週間前まで男子高校生だったため、当然狩りなどしたこともなかったが、「スキルツリー」の恩恵は予想以上に大きかった。
「隠密行動」スキルのおかげで森の中もスイスイ歩けて、
獲物を探すのは「生命探知」スキルで隠れている動物も簡単に見つけられ、
獲物に近づくのも「気配遮断」スキルで背後から気配を消して近き、「青藍」で仕留める。
1週間前は狼の群れから身を隠すのに精いっぱいだったが、今は群れでなければ狼も気づかれずに狩ることができた。
正式には狼は「フォレストウルフ」という種族の魔物らしい。気配を消すことができる健人だから狩ることができるが、新米冒険者にとっては難敵らしく、群れで襲われて死傷者が出ることも珍しくないという。
そして、1週間の狩りの結果、なんとレベルが5まで上がっていた!
ステータスも若干上がっていたが、なんと5に上がったタイミングで、スキルポイントが1加算された。
今はハーゲンが近くにおり危険がないため、スキルポイントは保留しており、7ポイントになった。
【ステータス】
レベル:5 年齢:16 種族:ヒューマン
STR:18
DEX:25
INT:28
VIT:16
【所持スキル】
[SP:7]
【DEX】
隠密行動 3
生命探知 1
魔力探知 1
障害物探知 2
気配遮断 3
(このスキルに関しても、もっと情報が欲しい。スキルはスキルポイントを振り分けることによってのみ成長するのか。それとも、自然に伸びることもありうるのか)
スキルツリーの【STR】には、「腕力」「跳躍力」、【VIT】には「スタミナ」といった項目がある。
これらは、地球では筋トレやランニングなどのトレーニングを積むことで伸ばすもの。
それはこの世界でも当然同じであるとハーゲンは話していた。
そもそもスキルツリーなどという言葉をハーゲンは聞いたことがないらしい。
(自分のステータスは確認できるが、ハーゲンや魔物のステータスを見ることはできない。
僕だけが特別…という考えは危険だが、スキルツリーに関しては誰にも話さない方がよさそうだ。
1週間必死に筋トレもしてみたけど、まだ流石に成果はわからないか…
他人のステータスとスキルも見れるといいのだけど、そもそも設定されているのか?)
さすがにまだ1週間で、ハーゲン以外の人とはあっていないため、わからないことが多すぎる。
毎晩スキルツリーを眺めながら、どのようにスキルを振り分ければこの世界で有利に生きていけるかを考えながら寝るのが日課になっていた。
◇
ハーゲンと共に狩り中心の自給自足生活を、さらに2週間が過ぎた。
魔物を狩り続け、スキルに変動はないが、レベルは10まで上がった。
そして、夕食の狼肉のステーキを堪能しているとき、
「そろそろ街に出てみてもいいんじゃないか?
一人で生きていく術もある程度身についたじゃろう。
ここにいつまでもいても成長出来んし、ダンジョンも挑戦できないからの」
脱居候をすることになった。
【ステータス】
レベル:10 年齢:16 種族:ヒューマン
【所持スキル】
[SP:8]
【DEX】
隠密行動 3
生命探知 1
魔力探知 1
障害物探知 2
気配遮断 3