9 異世界人
装備屋で注文と採寸を終えた僕はギルドへ向かいます
未知の存在と相対するなら知識を得ないといけません
昨日受付をしてくれたお姉さんがカウンターにいるので聞いてみる事にします。
「お姉さん、おはようございます。」
まずは挨拶をします、挨拶は大事ですからね。
『あら、おはようと言ってもちょっと遅めかな?』
「そうですね、装備屋で早速装備を注文してきたので今日は依頼はやめることにして資料室で調べ物をしようかと。」
お姉さんはうっすら笑みを浮かべながら
『あら、とても慎重なのね、関心しちゃった。大抵の冒険者になる人は真っ先に依頼を受けて飛び出して行く人がとても多いのよ、だいたいその人達は失敗して帰ってくるの、通過儀礼みたいになっているのよ?』
危うく僕も通過儀礼を受けるところだったんですね・・・資料室へ来てよかったです。
「そ、それはよかったです・・・痛いのは好きではないので出来る限り安全に行きたいです。」
『そのための資料室ね、でも多分君の知りたいことはこれを見ればわかると思うわよ?』
初心者冒険者の手引きと“日本語”で書かれている本を渡されました
「えっ、これは・・・?」
やっぱりと言った顔したお姉さんは
『やっぱり異世界の人、だったんだ。』
なぜバレたのでしょうか
『なんで?って顔してるわよ?理由は簡単、あなたの着てる服、そんな素材見たこともないわよ?それに異世界の人なんて珍しいと言えば珍しいけどこの国の歴史にしっかり記録されているから驚きはしないわ。』
あぁ、とても単純な理由でした・・・
『でもなんであなたには異世界人にある特殊な能力がないのかしら?』
僕は苦笑いしながら
「それは僕が教えて欲しい事ですね」
『それもそうね、ふふっ』
『ちなみにその本は異世界人には無償で渡していい事になっているの、かつてこの世界にいた先人に感謝しておくといいわね。』
本当ありがとうございます、この世界の文字はまだ慣れきっていないので日本語はとても貴重です。
ですが、なぜかこの世界の言語も理解はできるんですよね、ある意味チートなのかもしれません。
「お姉さんもありがとうございます、宿でゆっくり読んでまた明日になったら依頼受けに来ますね。」
『その中に知りたい情報がなかったら、次こそ資料室に来るといいわ、気をつけて帰ってね。』
さようならと別れを告げて僕は宿へ戻ります
本が僕にとってなければならない物になる事を知るのはもう少し先の事です。