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日本国、フィリピン、シンガポール。
三つ巴の戦いは激しさを増していく。
「はぁっ!!」
電撃鞭を振るう櫂。
「っ!!」
それをかわすルシカ。
さらに離れた所では、ステマリーと交戦する亜昂。
そして、エニマとアビシャと交戦する空灼。
「どうした空灼!もっと本気出せよ!!」
「くっ!?」
両手の鉤爪をトラバサミ形状の武装に変え攻撃してくるアビシャ。
空中からもエニマからの追撃。
「まだワタクシ達との戦闘でのダメージは残っているのでわ?」
「どう・・かなっ!」
空中へと回避する空灼。
だがどちらにせよ相手がアビシャからエニマに変わるだけ。
地上と空中からの板挟み。
「そんなんじゃ俺からは逃げ切れね~ぞっ!!」
瓦礫から跳躍し空灼に追撃するアビシャ。
「なっ!?」
不意の攻撃に反応が遅れたが、何とか受けきる空灼。
しかしエニマからの攻撃は受けきれず、そのまま地面へと落ちる。
「観念しな空灼」
諭すアビシャ。
空中からエニマが降りてくる。
「戦えない貴方では、勝ち目はありませんよ」
「ぐっ・・う・・」
それでも立ち上がる空灼。
「戦えなくても・・足止めくらいには・・なる」
「はぁ~。まだそんな事言ってんのか。戦う以外に何があんだよ?」
「彼女に味方するわけではありませんが、その通りですよ空灼さん」
母にも、言われたこと――。
「戦うための力があるんだから戦えよ!空灼!」
妹達にも、言われたこと――。
「まぁ、それでも戦えないと言うのなら大人しくワタクシのモノになって下さい」
「はぁ?何言ってんだ?」
エニマとアビシャが今にも交戦しそうな中、空灼の頭の中は渦巻いていた。
やはり俺は間違っているのか?
戦う以外に無い?
偽善か?
力の持ち腐れ?
前みたいな「平和」なんて―――――無い?
「お・・れは、俺・・・は」
空灼が悟ったその時・・・、
ゴゴゴゴゴゴゴォォォッッ・・・
空から鳴り響く轟音。
「なんだ?」
「・・・」
その場にいた全員が動きを止め空を見上げる。
段々と近づいてくる何か。
「なな、何ですか!?あれ!?」
「あれは?」
そして徐々にその全貌を露にする何か。
「あれって・・・」
「・・・船・・?」
300mはある巨大な船。
いわば、宇宙船。
地面に近い距離で停止し、一か所が開く。
そして・・・、
「あら?誰か出てきたわ」
「まさか、宇宙人ッスか!?」
「うう、宇宙人!?」
空灼達の前に姿を現したのは複数人の・・・女性・・。
「人間か?」
「・・いえ、それにしては・・・」
何かが違うこの感覚。
人ならざる者。
女性達が真ん中に道を作り、その奥に立つ一人の女性。
他の女性とは異なるオーラを放つ女性。
ゆっくりと此方へ近づいてくる。
そして口を開く。
「私達は地球より遥か彼方[MaidenPlanet]という惑星に住む、女のみの種族[天女姐好]。私はその惑星の女王[メディール・オリン]」
「天女姐好ね~・・・で、そこの女王様が地球に何の用で?」
アビシャが尋ねる。
そして帰ってきた一言・・・。
地球を―――――掃除しに来ました。