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「行くぞ」
ステマリーのその言葉に櫂と亜昂は戦闘態勢を構える。
――瞬間、ステマリーの姿が消える。
「ッ!?何処へ!?」
「――こっちだ」
背後からの声に振り返る、と同時に防御態勢を取る。
ギギギッ!! ガギィィィンッッ!!
重みのある一撃を何とか防ぐも、吹っ飛ばされる二人。
「くっ!?何て威力なの!」
「櫂さんっ、あの人いつの間に背後に!?」
「ワタシの【EWA】は最高時速300km/hほどは出る。その速さに乗せて繰り出す攻撃に、いつまで耐えられるか」
高速での移動により、視界から消えるように見せる。しかしそれがわかった所で打開策は今のところ持ち合わせていない。
「・・厄介ね、そのスピードは」
「どうしますか?櫂さ―――」
櫂に話しかけたと同時に亜昂があることに気づく。
「も、もう一人は、何処に」
先程までいたエニマの姿がない。
辺りを見回していると、地面に影が――。
「此処は任せましたよ、ステマリー」
見上げると、コウモリの翼を広げたエニマが上空を飛んでいく。
「はい、エニマ」
エニマの飛んでいく先には、
「空灼!!」
空灼達の待機している方向。
「い、行かせません!!」
後を追いかけようとする二人。だが、
「お前達の相手は――ワタシだ」
ステマリーが二人の行く手を阻む。
「ど、どいて下さい!」
エニマはどんどん空灼達の方へ近づいてゆく。このままでは不味いのはわかってはいるが、
「・・亜昂、今は目の前の敵を制圧するわよ」
「で、でも」
「・・大丈夫よ。空灼も【EWA】所持者・・それに・・」
ステマリーを見据え、、
「そんな簡単にやられるような奴じゃないわ!!」
そう言い放つ――。
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――――――
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「まずいな。こっちへ来た」
戦闘している櫂と亜昂の方向からこちらへ向かって飛んでくるエニマに気づく空灼。
―空灼さん、どうします?―
部隊員の一人が空灼に問う。空灼は部隊員達に告げる。
「【EWA】には、【EWA】しかない」
空灼は飛んでくるエニマの方へと自ら向かってゆく。
「みんなはそのまま待機していて下さい」
―し、しかし―
「・・・大丈夫、誰も傷つけたりなんかさせませんよ・・・絶対」
空灼のその言葉に部隊員達は顔を見合わせ頷き、空灼に敬礼する――。
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「この距離なら大丈夫だろう」
待機している部隊員たちから距離を取り、立ち止まる。
その空灼の前に降り立つエニマ。
「はじめまして。ずっとお会いしたかったですよ。緋鐘空灼さん」
「こんな形でなければ、そのセリフはグッときたんだろうけどね」
対峙する二人。
青年に会えたことを喜んでいる女性と、みんなを守ろうと立ち塞がる青年。
平和的に―――終われない