3
日本国が独自開発した【EWA】は、七年前のある一件で他国にデータが流失・・・。
今では各国が開発を行う戦闘アイテムであり、絶対的な武装兵器と化している。
――――――――
――――――
――――
「あの二人も・・まさか」
こちらに近づいてくる二人の女性を見て、空灼も察する。そして二人の女性は5m付近で歩みを止め、こちらに話しかける。
「はじめまして日本国の皆さん。ワタクシ、フィリピンの【EWA】所持者、
[エニマ・サンエス・ガルー]と申します。以後お見知りおきを。」
肩にかかるほどのミディアムな銀髪に褐色の肌、紫色の瞳をした女性。敵である相手に礼儀正しく挨拶をする。そしてもう一人、、、
「同じくフィリピンの【EWA】所持者の[ステマリー・アントラ・メンバー]だ。」
うなじが見えるほどの白髪のショートヘア―に褐色な肌、赤紫色の瞳の女性。エニマと名乗る女性とは違い、短くそれだけ言うと明らかな敵意をむき出しにしている。
「・・フィリピン・・なるほど、ようやくお出ましってわけね」
「あ、貴方達が、」
大戦が勃発してから、各国の【EWA】所持者のデータはできるだけ収集はしているが、それでも入手できない国のデータもあり、こういった戦場で初めて出くわすなんて言うのは初では無い。だがそれは、データを手に入れる機会でもあり、未知の【EWA】との戦闘を意味する。
「本日は日本国に攻め入るようワタクシ達の長に命じられて来ました。勿論日本国の【EWA】所持者である貴方方を倒す事も・・ね」
「降伏しろとは言わないが、正しい選択をするんだな」
今だ【EWA】を武装せず、それなのに自信ありげな態度の二人。かなりの強敵であることは間違いない。―――だがそれでも、
「・・私達の選択はただ一つ、敵対国に勝利し、日本国と協定してもらう事」
「フフッ・・協定ですか?配下に置く事と同義ではないですか?貴方方の国の場合」
日本国は打ち勝った国と協定を結ぶが、それはその国を事実上配下に治めることに値し、協定とは名ばかりな事。
「・・・あの人の言うことは、、間違いじゃないな・・」
敵に対して思うようなことでは無いが、空灼もエニマの言ったことには共感を覚える。
「ならば覚悟しろ。貴様達に残された選択肢は・・・敗北のみだ」
エニマとステマリーが片手をあげる。その手には【EWA】メモリ。
エニマは至極色のメモリ、ステマリーは金茶色のメモリのボタンを押す。
≪Bat・Ability≫ ≪Cheetah・Ability≫
エニマは右の二の腕のアクセサリーに、ステマリーは右の太股のアクセサリーにメモリを挿す。
≪TransferEvolution≫
「「Armament」」
【EWA】が起動し、エニマはコウモリを模した背にはコウモリの翼、足には15㎝ほどの鋭い鉤爪を持つ、至極色をした【EWA】。
ステマリーはチーターを模した金茶色の【EWA】。
「さぁ、行くわよステマリー」
「はい。エニマ」
威圧―――。二人からはそれがハッキリと放たれている。だが臆することなどできない。櫂と亜昂は正面から二人を見据える。
「・・・禹无原、柴禅・・」
空灼は今にも二人の元へ駆け付けたい気持ちを抑える。「信じ」ている。
二人が無事に帰還することを―――。