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9/21

おいしいチューリッヒ!!

8月21日(日) 晴れ


10時起床。

早速、全裸おじさんを お向かいのベランダにて発見。

さすがにバスローブを 羽織っていて、ホッとするような残念なような(笑)。


コーヒーを飲んでから、たかしと湖へ。

気になっていた、屋台のでっかいソーセージとゴツゴツパンのセットを購入。

チューリヒの街角では、このホワイトソーセージと少し酸味のあるゴツゴツパンの買える屋台が、

方々に建っている。

炭火でグリルされたホワイトソーセージは、外側はややパリっと

中はフワフワで、とろける美味さ。

日本のフランクフルトとはチョット違うんだな。

パンは酸味が強くて、私は好んでこのパンを単体では買わないと思うのだけど、

このソーセージには、とてもマッチした味だと思う。

予想通りの美味しさで、眠気も吹っ飛ぶ。


公園も日曜日は、特に静かだ。

安息日というのもあり、みんな静かに過ごしている。

のどかだぁぁぁ。


最近私は、湖の中でも自分が一番安らげる特等席を見つけた。

遊覧船の船着場のすぐ脇に、水際まで降りていけるステージのような場所がある。

錆びた鉄の滑車のモニュメントが湖を見つめるように建っていて、

ある時間になると滑車が一斉に動き出す。

たくさんの滑車が見事に連動していて、止まるまでの15分の間ついつい見入ってしまう。

どの滑車も、大きいのも小さいのも、全ての部品が連動していて、キーキーカンカンと音を立てる。


そこからは、ずうっとずうっと奥のチューリヒ湖の行き止まりの、

さらに先にあるアルプスが時に蒼くうっすらと、時にくっきりと雪までが見えて、

本当に美しい風景で、つい時間を忘れてぼ〜っとしてしまう。


オーナーに失礼なことを言ってしまった日も、ここに来て泣いた。

正確には、ここに来てぼ〜っとしていたら、泣けてきちゃったのだけど。


たかしにそのことを伝えたら、また泣けてきて、

そうしたら、たかしがアイスクリームを買ってくれた。

「美味しいんだよ、ピスタチオのアイス。」と言って。


そういえば、

この人となんかずっと一緒にいたいなぁと、思ったのも、

肉まんを一緒に食べた時だった。


去年の11月、東京で1人暮らしをしていたたかしの家の近所には

地元では名の知れた人気の肉まん屋があって、

夕方小腹の空いた私たちは、3個買ってたかしの家に帰った。

熱いうちに食べようと言って、たかしはひとつをパッカっと半分に分けて、私にくれた。

あとの半分を たかしが、ガブッと食べた。

もっと食べたいねと、2個目も半分にして。

美味しいねと、3個目も半分こ。

3つ全部を半分こ。

私は、なんともいえない生まれて初めての感覚を覚えた。

自分も、今までの私の周りの人も、例えばこんな時には、

まずは1個ずつを食べて、最後のひとつだけは半分こにしてきたはずだ。

でも目の前のこの人は、全部半分こなんだ。

肉まんをそっと半分に割って、全部半分こ。

こういう人もいるんだぁ。

フワッと、全身が心が、解放されたような気がした、

心の真ん中が温かくなった気がした。上手くいえないのだけど、、、。

私の知らない価値観や感覚が、この世界にはまだまだたくさんあって、

これまでに見えなかった可能性の扉もいっぱいあって、

この人とだったら一緒にその扉を見つけて、開けて行けそうな気がした。

たぶんこれは、私にしかわからない衝撃だったかも知れない。

でも、それで充分な気がした。


次の週、たかしにプロポーズされた。

そして、自分、、、どうやらスイスに転勤みたいですと。

昨日上司に言われましたと。


出会って2ヶ月だったけど、イロイロ驚いたけど、

私にはプロポーズを断る理由なんて、ひとかけらもなかった。

カラダのずっと奥のほうから、湧き上がるものが、もうあったから。


コノヒトト ハナレタク ナイ

コノヒトト ズット イッショニイタイ

コノヒトト ハナレルベキデハ ナイ

コノヒトト ハナレテイタラ モッタイナイ

限りある時間を この人と過ごしていきたい

人生を 一緒に歩んでいきたい

きっとこの人と一緒なら 勇気を持って進んでいける

どんな所も どんな時も

たかしがくれたもの たくさん

私があげられるもの 何があるだろう

これからもたくさん やってあげたいことがある


今まで出会った人

今までのできごとすべて

たかしに出会うためだったのかもしれないと、本気で思った。


これからもずっと、たかしと美味しいもの食べていきたい。

神さまどうか、私たちを見守っていてください。





















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