表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/21

ココロエ

 8月12日(金) はれ


 駐在員妻として、私が決めたこと


 薫のココロエ


 一、たかしの足を引っ張らない

 一、たかしに何でも話す

 一、笑顔をたやさない

 一、語学頑張る

 一、ご飯作り頑張る


 たかしの足を引っ張らない


 たかしに出会った時、

世の中にこんなに真面目で誠実な人が本当にいるんだっと、思った。

芯がしっかりしていて、ブレることがない。

目上の人にも、誰に対しても、たかしの態度は一定で変わらない。

私だって、悪人ではないと自分では思ってはいるけれど、

たかしのそれは、私にはないものだった。

だから、

この人がこれまで築き上げてきたものや

これから築き上げていくものを

私のせいで壊すことがあってはならないと、本気で思う。

 たかしが職場で、活躍できるように。

成果が上がるように。認めてもらえるように。

私と一緒にいることで、

たかしの人となりが、誤解されるようなことがあってはならないのだ。

私は自分の発言に、気をつけ、責任を持つ必要がある。

人として、妻として。


 たかしに何でも話す


 体の好不調、自分の考え、1日の出来事、困ったこと、嬉しかったこと、

悲しみも喜びも、とにかく全部だ。

とりあえず今のところ私の話し相手は、たかしだけだ。

 そんな状況を気づかってか、

たかしはランチタイムには、家に一度帰ってきて、家で昼ご飯を食べる。

こちらのランチタイムは2時間あるから、時間には余裕がある。

たかしは自分と私の分の、パスタを茹でてくれる。

パパッと、今ハマっているポモドーロスパゲティー作ってくれる。

疲れていれば、食べた後にたかしは昼寝をして、

元気だったら2人でおしゃべりしたり、

日本から持ってきたお笑いDVDを観て爆笑してから会社に戻るのが、

最近のパターン。

 2人の時間はたくさんある。

とにかく、何でも話そう!


 笑顔をたやさない


 笑顔は万国共通だ。

ブスッとして話しかけるより、

ニッコリしてもらった方が、誰だって嬉しい。

特にこちらに来て、思うのは、

知らない人同士でも、すれ違う時、

目があった時、皆ニコッと微笑んだり、挨拶を交わす。

老若男女、必ずだ。

自分は、好意的な人物である事を笑顔でまず相手にしめして、挨拶を交わす。

でもその笑顔は、決して義務的な感じではなく、自然で清々しい。

 すれ違いざま、低速で走る隣のトラムから、

ニコッとかわいい笑顔を向けてくれた少女もいた。

一瞬、私と視線が合っただけなのに。

とっても可愛かった。

心がポッと、温かくなる。

 ここはそんなトコロなのだ。


 語学頑張る


 自慢じゃないけど、私は英語が苦手。

ドイツ語なんてもってもほか。。。

チューリッヒに来ることが決まってからすぐに、

私はドイツ語を基礎から勉強した。

A.B.Cからだ。

 必要にかられて、仕事帰りに通った東京の語学教室は、

自分と夢いっぱいの大学生との、記憶力や対応力の差を実感し、

さらにドイツ語の難しさを痛感しただけで終わった。

トホホ。

 もう現地で、生のドイツ語を学ぼうと決めている。

が、ここチューリッヒで街の言葉は、スイスドイツ語だ。

いわゆる、ドイツ語とはかなり違う。

困る。。。

ただスイスドイツ語は、他のドイツ語圏では通じないらしいが、

ドイツ語はもちろんどこでも通じる。

というわけで、気合を入れてまずはドイツ語学校を探すことにした。

 通いやすくて、雰囲気のいい学校を探そう。

これまでは、その場のノリと愛想の良さで乗り切ってきたけど、

きちんと自分の意思を的確な言葉で、伝えるようにならなくてはいけない。


 ご飯作り頑張る


 こちらに来てからしばらく、和食作りに精を出した。

日本食材店や中華食材店で、米や味噌、調味料をゲットする。

種類は限られているけど、大体のものはそろう。

 問題は、野菜や肉魚の質だ。

土壌が日本と違うから、根菜類は硬い。でも味が濃い。

ただみずみずしさに欠けるみたい。

例えば、人参は硬くて包丁で切るのに苦労する。

きんぴらを作るには、一苦労だ。

でも味が濃厚で、とっても美味しい。

初めて見る野菜もいくつかある。まだよくわからず、買ったことはないけど。

 肉や乳製品、チョコレートは、とっても美味しい。

スーパーでも、それらの売り場面積はとっても広くて、種類も豊富。

さすがスイス〜。

ということで、和食にこだわらず、

スイス料理やこちらの料理にもトライしてみよう!

挑戦あるのみ!

 近くの広場では、市場が開かれている時がある。

この前散歩をしていて、フラっと立ち寄ったら、

季節の花々や野菜はもちろん、キノコ屋やチーズ専門店もあって、

スーパーとはまた違い、青空市場は見ているだけでも楽しかった。

トーク力が必要でなんとなく気おくれして、その時は買うことができなかったけど、

今度はちょっぴり勇気を出してみるのだ、薫!

 とはいえ、

「今日の夜は何が食べたい〜っ?」と

たかしに聞いても、このところ、カレーかシチューばかりを言ってくる。

一応、交互に(笑)。

小学生かっ!

 ともあれ、スイス料理にも挑戦だっ!


 ココロエを心得て、明るく元気に生活していこう。

飛行機であった長崎さんご主人は、

奥様の晶子さんと後に話したことを たかしに教えてくれた。

「家で話していたんだ。あの子は大丈夫だよ!

明るさと、なんだか放ってはおけない雰囲気もあって、

きっといつも、周りの人達が手を貸してくれるだろうから、ここで上手くやっていけるよ。」と。

そんな評価を聞いて、私はなんだかムズムズしたけれど、

心から嬉しかった。

少し自信がついた。


 きっとなんとかなるさ。

ならないときは、

たかしと二人でなんとかしよう。


































評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ