3 交易
「やあ。
こんな貴重品をいつもありがとうな。」
「がう。」
荷車を運んできた熊に、犬耳の商人が声をかける。
荷車に乗ってきた猿が、商人から受け取った保存食や動物でも使える道具を搬入していく。
「がうがうがう・・・!」
「あ~・・・魔族か・・・
まさか、おまえらのところにも?
迷惑な奴らだ。」
「あれは・・・」
「ああ。
野生動物と人間が交易をしている。
熊や狼といった、知性の高い連中はこうして野にしかないものをもってきてくれる。
だから人間は、保存食なんかを「代金」として渡す。
簡単だが・・・」
「「礼」を売って、「礼」を買っているんですか・・・
少し考えられませんね。」
「まあな。
けど・・・
この世界では、「礼」こそが力なのだ。
聞いたことはないか?
「和をもって、尊しとせよ。」」
「厩戸御子?」
少年は、「聖徳太子」と呼ばれた名宰相を思い出した。
「そう言ったな・・・
かつて、召喚されて魔王を倒した勇者が、この世界の法則に感動したという伝説がある。」
そんなうまくいくんだろうか・・・
でも・・・
「勝手に、他の評価を「高評価」であるにも関わらず、「批判」ということにして落ち込んでしまう人もこっちの世界にいますね・・・」
「そういう奴は、「弱者」だ。
故に、「排除」される。」
厳しいものだ。