2 魔族
「なぜ、魔族は侵攻してくるんですか?」
少年は、質問した。
「それこそが問題だ。
向こうの武器屋を見て見ろ。」
向かいにある、武器屋を見てみる。
魔族の少女が、笑顔で商売をしている。
客も、普通に品物を買っている。
「あ・・・あれ?
普通に商売していますね・・・
お客さんも、普通に接している・・・」
「あの武器屋は、親方が鍛冶屋でな、パン屋で盗みを働いた魔族のあの娘を紹介されて、弟子として雇ったのが始まりだ。
ひどいものだった。
街の人たちは、殴る蹴るの暴行を加えていたからな。」
「け・・・けど・・・」
「彼女は、恐怖のあまり皆に謝罪したのだ。
それで、皆は許した。
そう。
許されるのだ。
命に関わらなければな。」
「・・・・・・」
「「力が正義」という言葉がある。
この国では、「礼」が「力」だ。
だから、魔族でもそれで許される。
しかし魔族軍は、人々に暴行を加え、田畑を焼く・・・
これは「弱者」のすることだ。
事実、騎士団に被害の倍返しがされている。
陛下は、たびたび使者を送っているが、全て殺されている。
魔族はこのように差別されていないのにだ。」
「わからないんですね・・・
魔王は・・・
自分が「弱者」であるということに・・・」
「そうだ。」