1 勇者召喚
王と、七人の騎士、三人の魔導師が呪文を唱える。
しばしの時を置き・・・
魔方陣が光り、そこに精悍な少年の姿が現れた。
「ここは・・・」
「よくぞ参られた!」
王は、少年に声をかけた。
「魔族の侵攻が止まらないと・・・?
それで僕を?」
「うむ。
故に、魔王を倒すか、改心させていただきたい。」
少年は、考えた。
どうも、ラノベやゲームとは事情が違う。
言っていることは、大して変らないのだが・・・
少年は、騎士に連れられて街を散策した。
「おや。
パン屋で、盗みを働いた子供がオヤジに捕まったようですね。」
見ると、子供がパン屋で捕まっている。
「ガキが!
パンを買う金もねえのかよ!」
「ご・・・ごめんなさい・・・」
「ま、いいか。
悪りいってわかってるのが、肝心よ!
それがわかっているなら、許してやるし、それもやる。」
「ほ・・・ホント!?」
「ただなあ・・・
何度もってわけにゃあいかん。」
「えっ?」
「いくらオレが、寛大にやっていても、問題があらあ。
明日からは、王様から「貧民証明書」をもらってこい。
ひきかえに、必要なぶんだけパンをやれるぜ。」
「そうなの!?」
「ああ。
ただ、いつまでもこんな生活じゃだめだろうが。」
「うん・・・」
「そこでだ。
国の職業訓練校で、修行しててめえにあう仕事を探せや。
場合によっては、弟子として雇わないでもねえし、他の仕事にも就ける。」
「王様・・・
ちゃんとやってるんですね。」
「そうだ。
しかし魔族は違う。」
騎士は、顔を曇らせた。