プロローグ 不条理はすでに始まっていた
新連載です。更新は、かなり気まぐれのごくまれだと思ってください。
「判決を言い渡す! 被告人は有罪」
ふざけんな! と、俺は内心で思う。
人生においてなにが起きるかわからないが、これは理不尽と叫ぶ。
いや、理不尽が始まったのは今ではない。
そう、この世界に強制的につれて来られたときから、始まっていたのだ。
あの時、如月高校一年三組は担任教師から現代文の授業を受けていた。クラスメイトは少子化の影響か男子十五人、女子十五人の三十人。
まったく不満が無いと言えば、嘘になる。だが、絶望もない平和な日常だったはずだったその時に、突如として教室が揺れた。
そして、揺れが収まったとき……俺たちは見慣れた教室ではなく見知らぬ場所にいた。
異世界転移と言うネット小説などでよくある展開が俺たちを待ち受けていた。
「おお。偉大なる救世主たちよ」
と、金の冠を被った偉そうな男はそう行って俺たちを迎え入れて、説明をしてくれた。
異世界転移と言うはた迷惑な状況で、俺たちはこの世界に来たらしい。
この世界では、魔王が存在しておりその魔王が五年後に復活するらしい。
その魔王と魔王により凶悪活性化する魔族を倒す貯めに、異世界から救世主たちを読んだらしい。
「さあ。世界を救ってくれ」
と、懇願する国王。そして、司祭と言うこの国の偉い人が俺たちの持つ相応しい職業を調べてくれると言う。なんでも、世界を移動した結果、素晴らしいギフトを手に入れるらしい。
そのギフトによって偉大な力を手に入れる。
「ですが、偉大な力を高めるためには時間が必要でしょう。
三年後、魔王が蘇る時にその力が発揮されるだろう。
さあ、救世主たちよ。その力をみせてくれ」
そう行って、司祭がやって来てそれぞれのギフトを調べて始める。
「おれ、剣を持ったら無敵だってさ」
「あたし魔法使いよ」
と、言う言葉が響く中で俺の番になる。
「あなたは……精霊魔法達人ですな」
「えっとつまり?」
「精霊魔法の天才と言う事になるのですが……」
そのなにか含んだような言い方に俺は嫌な予感がしたのだ。
今まで、司祭はまるでそう言うふうに言うように決まっていたかのように、
「おお、素晴らしい」
と、言い始めてギフトの説明をする。そして、ギフト内容を言って、
「あなた様なら素晴らしい……」
と、言うのだが……言いよどむのは初めてだ。
そう思っていると、
「その……精霊の力を借りる魔法なのですが……。実は、この世界は魔族によって精霊が死滅しているのです」
「死滅?」
「はい。力を借りる存在である精霊が居ない以上……その、あなたは何もできません。つまり、役立たずですな」
異世界に来て俺の評価は見事に役立たずとなって居た。
無理矢理、この世界に連れてきておいて役立たず呼ばわり。理不尽と言う言葉はこの時、このためにあると思ったのだが……。それは、俺の苦難の序章に過ぎなかった。