我々(豚)には早すぎる短編
カオス
時は、夕暮れ。ここは戦場。
太陽が沈み、月がこの世を照らし始める時……
一匹の幹部が言った。
「ブヒッブブヒッブヒブヒィィィィィ!!!」
(お前らぁ!!そろそろ我々の神が現れるぞぉ!!)
ブヒブヒィィィィブヒブヒブブフブヒィィ!!!
(うぉぉおおおおおお!!!!!!!)
一匹の幹部補佐が言った。
「ブブフブヒィィ!!!ブブヒィィィ!!!」
(我らの神は我々に恵みを与えて下さる!神がご退場なさるまで動いてはならん!!)
ブブブブブブブヒィィィィィ!!!!
(うぉぉおおおおおお!!!!!!!)
一匹のボスが言った。
「ブヒィィ!!ブブブヒィ!!ブヒィィィィィ!!」
(今宵、我らは必ず向こう側の外道なやつらには負けんぞぉ!!)
ブヒッwwwwwwwブヒッブヒッwwwwwwブブブブブブwwwwww
(おいwwww、なんかボスが喋ってるぞwwwwwww)
その時、我々の檻の向こうから解錠音が聞こえた。
「ブヒィィィィィ!!!!」
(総員、警戒体制!!!!!!)
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「やぁぁ、ごめんねぇ。今日ちょっとご飯遅くなっちゃってぇー。」
僕、45歳、バツイチ。30歳に買った養豚場で生計をたて
ている。
「しかし、今日もぶたさん達大人しいねぇ……。腹ペコのはずなのに……。」
最近の悩みは、ぶたさん達の食欲が無いこと。いつも僕が餌をやった瞬間は一匹も興味を示さない。
「まぁ、ちゃんと食べてくれればいいんだけどねぇ……」
そう言いながら僕は豚達の前に草をやってからこの養豚場を出ていこうとした。
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「ブヒッ」
(まだだ……)
豚達が、神がここから立ち去る所を見守っている。
神が今…………扉を出た。
だが、油断は禁物だ。またすぐに帰ってくるかも知れない。
「ブヒッ」
(おい、お前フライングすんなよ。)
神が扉の鍵を閉めた。
そして、そのまま3秒たったとき……!!!
「ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
(突撃ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!)
ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!
(うぉぉおおおおおお!!!!!)
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僕は、養豚場の鍵を閉めて数歩あるいた時、
「ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
ドカドカドカドカドカドカドカドカ!!!!
豚達が暴れ始めた音を聞いた。多分餌を食べているのだろう。
「あぁ、良かった。ちゃんと食べてくれてるんだな。」
僕は、胸を撫で下ろしゆっくりと家へと帰る事にした。
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「ぶひぃぃぃぃぶひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
(おい!!これは、俺のだ!!)
「ぶひひっ!!!ぶひっ!」
(バカ言うな!それは俺のだ!!)
ドドドドドドドドドドド!!!!!!!
豚達の餌取り合戦が始まった!!
餌の置いてある場所へと一匹残らず突っ込んでいく!!
ぶひひっ!!!ぶひっ!ぶひひっ!!!ぶひっ!
ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!
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「あ、養豚場に家の鍵忘れた。」
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戦争が始まって10分が経とうとしていた!!
既に餌を無事確保できた者と、出来ていない者が別れている。
もう少しで餌が無くなってしまう!
「ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
(その餌は俺のだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)
ガチャッ
扉の解錠音がした。
「「「「「「「「あ」」」」」」」」
「……ご飯ちゃんと食べてる?」
「「「「「「「「ういっす」」」」」」」」