駐車場
「ん?何だ、こりゃ?」
変なメールがきてる…あ、こないだのヤバそうなサイトのメルマガってやつか…しかし、やけに飾り気の無いメルマガだな…
『☆月△△日、△〇□駐車場、午後23時』
ん?画像ファイルがついてるな…
「うわわっ!?」
頭の上半分が無い人間を地面すれすれから見た画像…キモい、キモ過ぎる…つーか、普通こんなコト起きねーって…
そんなツッコミをいれたりしたのに、俺はそんなメルマガなんかすっかり忘れて遊びに出た。
「…んでさぁ、ミオの奴がさぁ…」
コンビニ前でダベってたらダチの携帯が鳴った。
「やべ、先輩だよ…」
俺等の共通の
「先輩」。急に呼び出して、オールにつきあわされる。まぁ、全部ゴチてくれるから、まるっきり迷惑なわけじゃない。
「クルマ買ったから試乗会やるってさ」
△〇□駐車場、時間は午後10時過ぎ――ん?△○□駐車場?どっかで聞いたような気が…?
「先輩、リアウィングすごいっすね!」
今流行りのスポーツカーに人気のパーツ。特に、後部につける羽根のようなパーツは、今一番人気の大きな薄いタイプだった。
「おい、気を付けろよ、それ、へたに触ると切れるからな…」
確かに、先の方は剃刀のような鋭さだ。
「よし、それじゃ試乗会やりますか…そっちに出すから後ろ見てくれ」
たまたま後ろにいた俺が合図を送る。
「オーライ、オーライ」
ゆっくりと下がりだす車、いきなり…パチッという音がして、顔に衝撃がきた。
「痛てっ…!?」
小石が俺の頬に当たったみたいだ。多分、後輪がはねたのだろう。
「あぶな…っ!!」
ダチの声が聞こえた瞬間、鼻の上辺りに痛みと衝撃がきた。一瞬目を閉じ、開くと俺は上を見上げていた。…立ち尽くし、頭の上半分が切断された俺の後ろ姿…これって、あのメルマガの………俺の記憶は、そこで途切れた――