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「神父さま。今日はお母さんが家を出ていきました。お父さんは、僕を無視します。どうすればいいのでしょうか。」


少年は神父に尋ねました。


神父はしばらく考えたあと、口にしました。


「一生懸命、勉強しなさい。偉くなれば、きっとお父さんも君のことを見てくれるようになるはずだよ。」


ありがとう。少年はそう言って、教会を出ていきました。



「神父さま。今日はともだちに石を投げられました。僕はなにも悪いことをしていません。どうすればいいのでしょうか。」


あくる日、少年は神父にそう尋ねました。


神父はしばらく考えたあと、口にしました。


「石を投げてくるともだちは、気にしないことだよ。そのうち、仲良くなれるかもしれないし、そうでなくても、他にすてきなともだちがいっぱいいるさ。」


ありがとう。少年はそう言って、教会を出ていきました。



「神父さま。今日は先生に叩かれました。僕は悪いことしていないのに。どうしたらいいのでしょうか?」


そのまたあくる日、少年は神父にそう尋ねました。


神父はしばらく考えたあと、口にしました。


「きっと、先生は勘違いをしていたんだよ。僕から話しておくから、心配しなくていいよ。」


ありがとう。少年はそう言って、教会を出ていきました。



「神父さま。今日は知らない人に転ばされました。転ばされた上に、踏みつけられました。僕が怒ってその人を殴ると、警察を呼ばれました。僕ひとりが悪者です。どうしてでしょうか?」


「それだけではありません。お父さんは僕のことを無視したままだし、ともだちもみんな石を投げてくるし、先生はずっと僕ばかり叩きます。どうしてでしょうか?」


少年は、傷だらけの身体で神父にそう尋ねました。


神父はしばらく考えたあと、口にしました。


「あまり言いたくなかったけど、見た目、じゃないかな。」


少年はうなだれました。その小さな目には、涙がいっぱい溢れていました。


神父はそれ以上、なにも言えませんでした。


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